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(2021/11/26 追記)

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黒澤明「生きる」言葉
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ルポ・エッセイ
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元気になりたい時

『黒澤明「生きる」言葉』
[著]黒澤和子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:13分
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前向きなんて言うけど、

人間みんな前に歩くんだ


「前向きにと、この頃よく言うけど、前に向いて歩くのが人間だよ。後ろ向きに歩くのは、ずっと難しいんじゃない」


 相変わらずの、わけの分からんことを面白がっている父。


 後ろに向かって歩くと安眠に良い、そんなことを聞いてきて後ろ向きにテーブルの周りをグルグルと歩いていた人は誰ですか、と父に言ってやった。

「だから、後ろ向きに歩くのは難しいって分かったんだよ。大体ね、歩きながらものを考えていると、考えがまとまるんだ。人間はきっと、ちゃんと前進して、成長するわけだから、前向きには当たり前なんだ」


 何にでも興味を持ち、何でだろうと考えるから、この人はいつも飽きずに夢中でいられるんだなと思う。まさに、前向きな御仁、その時気になっているテーマをトコトン追求しないではいられない。


 そのテーマは何日かごとに変わるが、何カ月も続くこともある。


 娘を話し相手に、自分の頭の中のテーマの答えをまとめ上げていくのだ。


 今にして思えば、もっと聞いておけば良かったと思うが、後の祭りである。


サボるのだって、

思い切って

正々堂々としたほうがいい


「言い訳をするぐらいなら、しなけりゃいい」と、豪語する父。


 撮影に疲れたり行き詰まると、風邪っぽいとか何とかブツブツ言って休みたがるのだが、年齢を重ねて、正々堂々駄目な時は駄目と言うのが良いと思うようになったそうである。

「緩急ハッキリさせて、休む時は休む、働く時はトコトン働く、それがいいに決まっている。だらたらやっているのは、かえって疲れて力が出ないんだ。


 スタッフだって、思い切って休ませなけりゃ実力が出なくなる、キッチリ休ませて心身共に元気だから努力も工夫も出来るんでね、クタクタじゃ使い物にならないのが当たり前だよね」


 スタッフのことを何より大切にする父は、食事から休養などの待遇に心を配り、あれこれと注意していた。映画撮影中も、年と共に余裕が出て気分転換もうまくなり、クヨクヨせずに映画のことを忘れて遊べるようになったと言う。

「でもね、無我夢中で余裕も何もなくってさ、頭がパンパンで他のことなんか考えられなかった若い頃は、思い出すと青臭くて照れちゃうけど、本当に楽しかったしね、今思うと(うらや)ましくもある」

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