『面白くて眠れなくなる遺伝子』
[著]竹内薫
[著] 丸山篤史
[発行]PHP研究所
「DNAが一致した」はウソ
現在、警察が使っているDNA捜査は、DNA型鑑定といって、犯行現場の遺留品から抽出されたDNAと容疑者のDNAを比較しています。
誤解している人も多いのですが、DNA型鑑定は、DNAを全て比較しているわけではありません。これは、簡易的な遺伝子検査でも同じです(遺伝子検査で分かること)。驚かないでくださいね。ニュースでは、よく「DNAが一致した」と言いますが、ハッキリ言って、それは嘘です。「塩基配列パターンの一部が酷似している」というのが正確な表現になります。
もちろん、一卵性多胎児やクローン(前述)以外で、ヒトの持つ全ての遺伝子情報(ヒトゲノム:ヒトゲノムを解読せよ!)、つまり三一億個の核酸塩基配列が、偶然に完全一致する確率は、ありえないくらい小さいはずです。
しかし、今のところ、個々人のヒトゲノムを解読するのは、時間的にも費用的にも難しいので(現行、主流のDNAシーケンサーだと、約十日で一〇万円ほど)、幾つかの方法で、DNAの塩基配列パターンを調べて鑑定しています。