読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

12/21に全サービスをRenta!に統合します

(2021/12/6 追記)

犬耳書店は2021年12月21日に、姉妹店「Renta!(レンタ)」へ、全サービスを統合いたします。
詳しくはこちらでご確認ください。

0
-2
kiji
0
0
1211236
0
日本の伝統精神 この国はいかに進むべきか
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
古今の大臣

『日本の伝統精神 この国はいかに進むべきか』
[著]安岡正篤 [発行]PHP研究所


読了目安時間:17分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ

命もいらず名もいらず官位もいらぬ人は始末に困るものなり。此の始末に困る人ならでは艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。

西郷南洲 



人間と権勢欲



 今日は古今の大臣という題でお話をすることになっておりますが、実は、このお話をしたいと思う根柢には、今日の政治家や世の指導者達に対して大きな不安や遺憾の念を持つからであります。


 考えてみると、人間にはいろいろと欲望がありますが、その欲望の中で最大最強の欲望は何かと言うと、余り好ましいことではありませぬが、結局名誉・権勢の欲望に外ならぬようであります。


 欲望にも金銭の欲望であるとか、娯楽の欲望であるとか、或は異性に対する欲望であるとか限り無くありますが、特に男性は権力・支配の欲望が大きいし、それも才能や知力や成功に恵まれた人々ほど強いのであります。


 女性は幸いにしてそれ程強くは持っておりませぬが、しかし誠に立派な内政に富んだ女性でも、一度世々の権勢の舞台に出て、栄光の味を覚えると、これは又男性のあきれる様な強烈深刻なものになるようであります。中国の歴史を眺めても、(そく)(てん)()(こう)だの()(こう)だのという婦人達の権力・支配に対する欲望は、異常と言うか、病的と言うか、実にどうも恐るべきものがあります。せめて女性だけでもそういう世界から救っておきたい、と古人もしばしば述べておりますが、本当にそういうことを痛感致します。


 まあ、そういうことはとにかくとして、この権力・支配、これを中心とする政治の世界というものは、今日人民大衆、或は人間の、生活・運命を支配することが最も強大になって参りました。


 或る考え方によると人間が進歩すれば自治力が発達して、そのために政治機能というものの必要が次第になくなって来る。いわゆるrule(ルール)はするが、govern(ガバーン)はしないと言う。即ちすべての人々が夫々(それぞれ)の本業に精を出して、それを楽しんで、政治などという様なことに余り(わずら)わされずに済むようにならなければ、人間の進歩ではないという考え方であります。


権勢の中心は大臣なり



 これは深く考えるべき内容のある思想でありますが、しかし今日は全くその反対でありまして、国家も個人もだんだんと政治に支配される程度が強くなって参りました。そうしてこの政治の中心をなすものはなんと言っても政治家、特に大臣であります。従って猫も杓子も大臣になりたがる。これは保守政党ばかりではありませぬ。革新政党でも同様であって、もう政権を獲得する、大臣になるということは、政治家の又そういう人々につながる家族・友人の、最も熱望するものであります。


 ご承知の様に戦後片山内閣が出来ました時に、社会党の内閣でもあり、又あの混沌として(すさ)んでおった時でもありましたから、恐らく大臣などという名称を止めようというに違いない、と多くの人々が予期しておったのでありますが、事実は反対で、二、三内部ではそういう意見もあったようでありますが、いざ自分がなってみると、そういう意見は抹殺されてしまって、みな(とく)々として大臣たるを誇りとしました。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:6846文字/本文:8149文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次