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(2021/11/26 追記)

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モザイクの向こう側
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ルポ・エッセイ
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はじめに

『モザイクの向こう側』
[著]井川楊枝 [発行]_双葉社


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 2016年7月25日、NHKのクローズアップ現代で、「私はAV出演を強要された ~“普通の子”が狙われる~」と題された番組が放送された。


 番組内ではAV出演を強要された女性たちが登場し、それぞれの被害を語った。また、番組に出演したプロダクションの元社長は、女の子を口説く際、いかに考えさせる間を与えず契約に至らせるかが肝であり、それは洗脳に似たものだと打ち明けた。

「AVはまるでオレオレ詐欺のような扱いですね」


 AV業界に関わりの深い知人が、ため息まじりに呟いた。


 2016年3月、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)の報告書を契機に、突如、AV業界で沸き起こった「出演強要問題」。その後、大手事務所の摘発や、大手メーカーが制作したファン感謝AVにまつわる一斉検挙が相次ぎ、業界を激震が襲った。



 なぜ、こうした問題が今、このタイミングで噴出したのか。業界人からしたら()に落ちない部分が多かったようだ。


 80年代初頭にAVが誕生してから35年ほどの月日が経つが、業界は徐々にクリーンになってきていると多くのAV関係者が考えていた。かつてのAV業界にはヤクザのような者が(うごめ)き、借金のかたに連れてこられた女性が、無理やり出演させられることも日常茶飯事だった。


 しかし今や、一流大学卒業の大学生がAVメーカーに就職し、女の子たちの中にはアイドルを目指すようにAV女優になる者もいるほどだ。AV女優を中心に結成されたアイドルユニット「恵比寿マスカッツ」は発売したCDがオリコンで10位以内にランクインするほどの人気を獲得した。トップクラスのAV女優は、アイドル顔負けのルックスとタレント性を兼ね備えている。


 また、中国や韓国、東南アジアなどのアジア各国では、日本のAVが絶大な人気を誇っており、人気AV女優がそれらの国を訪れるとハリウッドスター並みの歓待を受ける。


 もはやAVは、無理やりやらされるような類のものではない。望んでやりたいとプロダクションに応募する女の子たちの多くが面接で落とされ、たとえAV女優になっても、過当競争のため、ろくに仕事が舞い込んでこないのが現状だった。業界人が認知する世界と、世間で騒がれているAV業界の姿の間には、大きな(かい)()があったのだ。


 であれば、この一連の「出演強要問題」というのは、根も葉もないデマなのかというと、そういうわけではない。むしろAVのイメージが少なからず世間でよくなったことにより、新たな強要被害の手口が生み出されていたとも言えるのだ。



 この書では、被害者の支援団体の方々をはじめ、AV監督やAV女優、男優、AVメーカーのプロデューサー、AVマネージャー、スカウトマン、そしてこの問題をキッカケに業界内で誕生した一般社団法人表現者ネットワーク・AVANへのインタビューを通して、業界の実情を(あぶ)りだしていく。


 そこから見えてきたのは、業界を取り巻く環境の変貌と、それに苦悩する業界人たちの姿だった。


 レンタルからセルへの転換、アンダーグラウンドに存在していたAVのメジャー化、海外配信やネットの無料サイトをはじめとする新たなエロコンテンツの隆盛、(ちまた)のアイドルビジネスの影響も受けたAV女優とファンとの距離感、視聴者の趣向の変化……。


 こうした変化が業界をよい方向へ導くこともあれば、逆に(ゆが)みを生み出し、大きな負荷となることもあった。



 モザイクの向こう側の世界が、いったいどうなっているのか。


 業界で何が起こっているのか。


 業界人は今、何に苦悩しているのか。


 そしてなぜ、出演を強要される被害者が生まれてしまったのか。


 AV業界の偽らざる、モザイクを取り払った露わな姿をこの書では明らかにしていきたい。


井川 揚枝 

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