『資格で起業 ノーリスクで年収3000万円稼ぐ方法』
[著]丸山学
[発行]PHP研究所
これは、資格を取得して独立しよう──という本ではありません!
いえいえ、慌てて表紙を見直さなくても間違ってはいませんので安心してください。
但し、この本を手にしたあなたには「資格で独立」に対しての考え方をシフトしていただきたいのです。資格で「起業するのだ」と。
「資格で独立」と「資格で起業」は、言葉は似ていてもその意味合いは全く異なります。
「資格で独立」という表現には、資格に対する依存の意味合いが色濃くあります。
「○○資格を取って独立すれば平均年収2000万円」という資格予備校のパンフレットに目を惹かれたことはないでしょうか?
あるいは、「士業で独立しても3年は食えないぞ」という表現を書籍などで目にしているかもしれません。
この二つの表現は、言っていることは全く正反対ですがその根底にある考え方は共通しています。両方とも資格に依存しているのです。資格を取って独立すれば稼げる。あるいは、資格を取って独立してもしばらくは食えないのは仕方のないこと。いずれも、資格を中心にした依存した考え方なのです。
では、「資格で起業する」とはどういうことなのでしょうか?
起業とは文字通り、自ら「業」を起こすことです。
自分で全てを切り開いていくということなのです。
ここには、依存はありません。資格で起業をするというのは、資格に頼るのではなく資格をフルに活用して自らのビジネスを成功させていく手法を言います。そこには、「平均年収」などといったヤワな考え方は存在しません。年収目標も各人が欲しい分だけ自由に設定すればいいだけです。
そして、これからの時代はいくら国家資格を取得したからといって、それに依存していて食えるほど甘くはないのです。
新聞等で報じられている通り、国は士業の最高峰である弁護士を今後大幅に増やしていく方針を打ち出しています。
近い将来、弁護士あまりの時代が来て、食えなくなる弁護士が大量に出始めるかもしれません。
そうなると、食えない弁護士は従来の裁判業務から他士業の領域に流出しはじめることが考えられます。弁護士は他の士業にも登録することが法律的に可能だからです。
弁護士の中でも税理士業務を行う人が出てきます。
行政書士が扱っていた許認可業務に進出してくる人も大勢現れます。
あるいは社会保険労務士の業務を……。
もう、士業の世界がサバイバル状態に陥ります。それも、そう遠くない将来の話です。
そうなると、そもそも難関の国家資格などを取って資格で独立する意味や旨味はなくなってしまうのでしょうか?
答えは「Yes」です。従来の通り、「資格で独立」という意識でいる限りは。
現に、税理士試験を通って独立したってお客さんが取れずに暇にしている税理士の先生はたくさんいるのです。
行政書士でも社会保険労務士でも司法書士でも実情は一緒です。
一昔前であれば資格に依存していても良かったのです。役所のそばで看板さえ掲げておけばお客さんのほうから「よろしくお願いします」と、仕事を依頼してきた時代も確かにあったのです。
私の生業である行政書士でも、自動車免許の更新のお客さんが次から次へとやってきたので、それを補助者にやらせておけば寝ていても毎日何十万円と儲かったという、笑ってしまうような時代もあったと聞きます。
しかし、それは過去の話です。現在では行政書士で開業して看板を掲げても、訪ねてくるのはコピー機の営業マンくらいのものです。
ところがその一方で、今、士業で開業して一年目から食っていけるどころか何千万円も稼いでしまうような人たちも出始めています。
開業しても三年は食えないという世界で、いきなり何千万円も稼いでいる人たちは一口で言うならば、「起業」の意識を持っているということです。資格はあくまで自分のビジネスを成功させるためのツールであるという意識で取り組んでいるのです。
国家資格者というステイタスを彼らは存分に活用してビジネスを成功させているのです。
きっと彼らは、資格など取らなくても起業を成功させたかもしれません。しかし、資格という大きな武器を手にしたことにより、より確実に、より早く、より大きく起業を成功させているのです。
面白いことに従来から開業している士業者は、こうした動きに全く気づいていません。
資格に依存して生きている人も、資格をコキ使って起業している人も同じ会合に出ていたりします。
しかし、資格に依存している人々は資格で起業している人が一体何をやっているかさえ見えていないのです。
この本は、
・今、資格取得を目指して頑張っている方
・これから「起業」をしたいと考えている方
たちに読んでいただきたいと思って書きました。
資格取得を目指して受験勉強まっさかりの方は、まずは試験に合格することが第一で合格後の独立・開業のことまではまだ頭が回らないかもしれません。しかし、今、資格での独立がどんな状態なのか、成功している人はそうでない人とどこが違うのかを予め見ていただくことに大きな意味があると考えました。
しかし、何よりもこの本を読んでいただきたいのは、資格のことなど考えたこともない、いや、資格なんかあっても起業の役には立たないと考えている起業家予備軍の方々です。
確かに資格があれば成功できるとは言いきれませんが、もし、起業家スピリットを持っているあなたが国家資格という大きな武器を持ったならば、どれほどの威力を発揮するか分かりません。いや、自分で国家資格など取らなくても、持っている人と組むだけで大きなチャンスが広がります。
ただでさえマーケティングや営業の勉強をしているあなたが古い体質の資格者業界(マーケティングのことなど多分、99%の人が考えていない羊の群れのような業界)に飛び込んだら、恐ろしいほどの成果を上げるかもしれません。
また、自分のビジネスを成功させるために国家資格という独占業務をツールとして何らかの形で活用する──という発想をしたならば色々なアイデアが思いつくかもしれません。
さあ、あなたは「資格で独立」でしょうか?
それとも「資格で起業」でしょうか?
もし、あなたの答えが「資格で起業」ならば、起業家らしく戦略を持たなければなりません。是非、本書の中から、あなたのための「資格起業」戦略のヒントを掴んでください。
※本書の「年収3000万円」とはあくまでも目標値であり、それを保証するものではありません。