『資格で起業 ノーリスクで年収3000万円稼ぐ方法』
[著]丸山学
[発行]PHP研究所
1 資格起業ならノーリスクで年収3000万円が十分に可能
さて、資格で独立(資格に依存して独立する状態)と資格で起業(自ら業を起こすという意識で開業する状態)についての違いを、まずは具体的にお話ししていくことが必要だと思います。
この二つの違いがもたらす最たるものは何でしょう?
それはズバリ、収入です。
残念ながら士業の世界では、「独立しても3年は食えないと思え」という格言が脈々と受け継がれています。これを実証するように、私が持っている資格(行政書士)はある調査では平均年収300万円という結果が出ました。その調査結果がどこまで実態を表しているかは定かではありません。
しかし、実際に私が士業の世界に飛び込んでみると、その数字があながち冗談とも思えないことに気づかされました。私は開業当初、とにかくどうやって顧客を獲得し生計を立てられるかが最重要課題でしたから、同業者がどのように営業しているのかを研究したり、教えを請うたりしてみました。
その結果、分かった恐ろしい実態……それは……
ほとんど営業活動をしていない!
という、にわかには信じがたいものでした。
「営業って、電話帳広告に載せることでしょ。そうだな、年に2件くらい電話帳広告から仕事の依頼がくるかな」
「独立して半年経つけど、営業活動っていってもまだしてないね。ほら、パソコンの準備とか業務の本を揃えたりしていると、なかなか忙しいし……」
そのような会話が当たり前のように飛び交っているのです。
もし、これを読んでいるあなたが既に起業を考え、日々、マーケティングやセールスについて勉強している人ならば、今の話を聞いて慌てて本書を投げ出して行政書士、社会保険労務士、税理士といった士業の受験手続に走るかもしれませんね。そんなに競争が楽な業界があったのか、と。
実は私も、こうした実態を知って唖然とするとともに、ようやく合点がいったということもあるのです。すなわち、インターネットの掲示板では、やれ○○士で独立したって仕事がないとか、○○士の業務は世間にニーズがないとかいう噂がいっぱい書き込まれていたことの真相が分かったのです。
実は、世間にニーズがなかったのではなく、士業者にマーケティングやセールスの知識がなかったので世間のニーズを満たす方法を知らなかっただけの話なのです。
そして、密かにこう考えました。
(3年は食えないと言われているけど、実はすぐに食えるようになるかもしれない……)
さて、これは、それから3年経過した直近の私の行政書士事務所の口座明細のコピーです。「資格起業」を実践している人たちから見れば少ない収入なのでお恥ずかしいのですが。
行政書士の平均年収だか年商だかが300万円という先の調査結果と比較すると、ウチの事務所の売上はその10倍程度はあります。
しかし、実はその全てを純粋な行政書士としての業務(書類の作成)だけで稼ぎ出している訳ではありません。私の場合は、「起業コンサルタント」というもう一つの肩書きを持っています(というか、自分で勝手に創り出しました)。
行政書士の業務としては、会社設立、契約書の作成などの法務を行うのですが、それと起業コンサルタントとしての業務が共に相乗効果を生んでいるのです。起業コンサルから入ったお客さんが会社設立などの行政書士業務を依頼してくださるケースもありますし、逆に会社設立で行政書士業務を依頼された方が起業コンサルを受ける場合もあります。
資格に依存せずに、資格を核として「起業」する気持ちがあれば様々な形で事業展開が可能で相乗効果を生み出せます。
また、私の場合、これらの他に法務の専門家としての知識を活かして実務書籍を、起業コンサルタントの知識を活かしてビジネス書を数冊出版しており、それらの印税収入もあります。テレビ、ラジオの出演による出演料、雑誌に寄稿したことによる原稿料……などといったものもあります。
これらのマスコミへの露出による効果は印税などの副収入だけではありません。それらがまた無料の広告宣伝活動、顧客への信頼感の醸成にもつながり、結果、士業としての収入アップにもつながっています。ここでも全てが相乗効果です。
これが、資格で「独立」するのと「起業」することとの収入の差を生み出します。
また、こうしたマスコミへの露出というのは何も特別なハードルがある訳ではありません。マスコミも常に情報を必要としていますので、士業のように専門知識を持った人には実は敷居が思ったよりも低いものです。資格で起業するという意識さえ持っていればの話ですが。
また、資格で起業した場合には在庫を抱えるなどのリスクがないのも大きな魅力です。
基本的には自身の知識が商品ですから、粗利も100%近くになります。また、インターネットを使えば(使い方は第4章でじっくり解説します)宣伝広告費をほとんど使わずとも顧客獲得は可能です。実際、私も月商200~300万円に達するまでは宣伝広告費は皆無と言っていいほど使いませんでした。それでも、少しマーケティングの勉強をしてそれに忠実に仕掛けをしていくだけでお客さんが来てくれたのです。