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第1章 京都でフランス料理を頂く醍醐味

『グルメタクシーが案内する おいしい京都』
[著]岩間孝志 [発行]PHP研究所


読了目安時間:39分
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 「京都フレンチ」が表現する四つの方向性


 京都を訪問される観光客の多くには、和食希望という流れが長年にわたってあり、洋食や西洋料理を希望される方は実はそう多くはいらっしゃいませんでした。やはり、「京都に来たからには和食」というイメージが先行しているからでしょうか。


 私が料理人だった一九九二年頃は、東京のフランス料理店に修業に行くのがトレンドで、「フランス料理の勉強をするなら関東」という流れもありました。確かに、東京には京都よりもはるかに多くの外国人が住んでおられることもあり、国際的に、そして政治的、経済的にもフランス料理店の利用者が多いでしょう。また飲食店につぎ込む資本は多く、「しつらえ」についても優位に立っていました。


 ところが、最近では少し様子が変わってきたように思います。京都という和食全盛のエリアに、フランス料理がうまく関わってきたように感じられる機会が増えてきました。


 まず近年、京都エリアを対象としたミシュラン本が出版され、日本料理だけでなく「フランス料理」の評価についても非常に注目されてきましたし、私個人としてそのフランス料理のカテゴリーにおいて(まつと)うな評価をしているように思いました。現時点で京都にはミシュラン三ツ星のフランス料理店はありませんが、現在一ツ星の評価を得ているお店は確実に京都のフランス料理界、さらに日本のフランス料理界において重要な位置付けにあるように思います。そして日本家屋をうまくリノベーションして、和の部分を上手に表現できているお店も、もちろん空間そのものにこだわるお店も、京都のフランス料理店において個々にできてきたのではないでしょうか。


 私はその京都におけるフランス料理を「京都フレンチ」という言葉で広めようと思っています。

「京都フレンチ」としてもっとも強調したいところは、「野菜がメインにもなりうる」「単なる創作ではなく、創造と経験の料理」「日本茶とのペアリング」「家族、マダム、そして日常のおいしさ」、この四本の柱が(きわ)()っている点です。


 京都には千年の都がかつて存在していましたし、人々の出入りも多く、文化そのものが刺激を受け、逆にその文化に人々が刺激を与えている面もあるでしょう。


 京都を取り上げた番組は非常に多く、ますます世界的にも注目されています。また「歴史」に(いろど)られた街でもあり、そこで生まれた「和食」「日本料理」は、大きな歴史の中で生き生きと輝いています。


 その時代の途中に加わった京都の「フランス料理」は、当然既存の文化や歴史にも影響を受けて日々進化を遂げています。またグルメブログの発達によってお店の評価は様々なかたちで語られて、メディアへの露出も増えてきました。私がよくテレビ出演や雑誌取材の依頼を受けて、「京都のフランス料理」について意見を求められるのもその流れからなのかもしれませんね。その勢いはますます人々を(とりこ)にして、遠方からのファンを徐々に増やし始めています。では、先に述べた際立った四つの特徴を、その代表ともいえるお店を紹介しながらご説明します。



 「野菜がメインにもなりうる」


 従来はやはりメインといえば、肉や魚を思い浮かべますが、そうなると付け合わせは野菜となるのが自然な流れですね。京都は飲食店が比較的野菜畑に近いこともあり、京都の飲食店を紹介するテレビ番組では畑で生の野菜をかじるシェフの姿をよく見かけます。単なる演出ではないと思っていますし、私もフランス料理店で働いていたときは、実際に畑によく出かけました。京都は野菜の産地が近いことで、野菜をメインに表現できるシェフが多くなってきたのではないかと思います。


 付け合わせという概念を超えてメインにもなりうる野菜。たとえば代表格の「京野菜」は、今やレストランでは見慣れた食材ですが、非常においしいけれど、種類によっては調理が難しいものがあります。これをフランス料理にうまく利用できれば、京都特有の料理ジャンルが確立するわけです。


 そして普段あまり料理店では好まれない、「渋み」「えぐみ」「酸っぱさ」などを巧みに利用して、それらを旨味と調和させて提供してくれるお店も増えています。さらに繊細な調理技術があれば、季節感を織り交ぜて、野菜という存在がお皿の上でさらに大きく主張するものと思います。


 そうなれば、「京都フレンチ」の独特の方向性が生まれるのではないでしょうか。それでは、今注目のお店をご紹介します。




 私も目指していた道のり、菜園仕立ての合わせ技の究極……「青いけ」



 烏丸(からすま)(まる)()(まち)の交差点をちょっと東南に入った地域にあるお店ですが、この(かい)(わい)には同ジャンルが多く、特に今注目の(えびす)(がわ)(どおり)付近にはフランス料理店がひしめき合っています。そのなかでも注目なのがこの「青いけ」さん。こちらの(あお)(いけ)(ひろ)(ゆき)シェフの師匠であるレストランスポンタネ(西京区大原野)の(たに)(おか)(ひろ)(ゆき)シェフは、実は私の料理人時代の恩師でもあります。師匠が同じということもあり、「私が目指していた料理」がまさにここにあります。


 野菜を使った料理で代表的なものが、「農園野菜のプレッセ菜園仕立て」。だいたい一五種類の新鮮な野菜を、円形のテリーヌ状に固めたものをスライスして提供されるものです。実は肉より野菜のテリーヌのほうが技術的に難しく、特に輪切りにするときに崩れやすいのですが、こちらのものは全くそれがなく芸術的な美しさがあります。

(なま)で提供すべきものは生で。浸透圧で塩を操って柔らかくする。最小限の調理法で最大限おいしく感じさせるシンプルさ。そして色合いは見事な鮮やかさにつながる」


 訪問したときのブログに私はそう書いていますが、とにかく野菜本来の持ち味が十分に表現されている料理だと思いますし、実はこの料理はさらに進化しています。「ヴィシソワーズ」にはじゅんさいが浮かび、ジャガイモを極限までクリーミーに仕上げたスープが、まるで白みそ仕立てのように感じられます。


 また、メインの「岐阜県 養老ポークフィレ肉のピカタ ソースヴァンルージュ」は、鮮明なピンク色の豚肉に、クラシカルな赤ワインソース、そして付け合わせも野菜そのものをシンプルに調理して、新鮮さと彩りを保てるベストな状態で盛り付けられています。この付け合わせの味付けは薄味ですので、濃厚な味付けを好む人には不向きかもしれせん。しかし、そこはシェフのコンセプトを理解すれば最小限の調理は「野菜をもっとも感じることができる近道」に違いないのです♪

「野菜がメインにもなりうる」という言葉が、この店の料理を見ると思い浮かんできます。一体感──そう表現できるのかもしれませんね。青池シェフの料理からはその新たな「野菜重視」のコンセプトが非常に強く感じ取れます。スタッフとの息もぴったりで、二階席でも十分調理場の臨場感が伝わってきます。そのライブ感覚をぜひお楽しみください♪



 「単なる創作ではなく、創造と経験の料理」


 和洋(せつ)(ちゆう)となると、湯葉や(なま)油などを使って、漬物をサラダに入れたりする料理店を見かけることがあります。

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