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たった一人の熱狂 仕事と人生に効く51の言葉
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ルポ・エッセイ
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はじめに−755の奇跡−

『たった一人の熱狂 仕事と人生に効く51の言葉』
[著]見城徹 [発行]_双葉社


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はじめに755の奇跡


 囚人番号755番。2013年3月27日、長野刑務所に服役していた懲役囚・堀江貴文が仮釈放された。その瞬間、彼は「755」という無機質な記号ではなく「堀江貴文」という有機質な氏名を娑婆で奪還した。


 堀江が刑期を満了したのは、仮釈放から7カ月半後の2013年1110日だ。仮釈放されて娑婆に戻って来たからといって、刑期が終わる前に法律に触れることをやらかせば、堀江は再び刑務所へ収監されてしまう。


 そんなリスクが残る中、盟友であるサイバーエージェントの藤田晋社長はただちに行動を開始した。2013年6月3日、堀江と資金を折半し、新会社「7gogo」を創立したのだ。社名の由来は言うまでもなく、長野刑務所時代の屈辱的な囚人番号を指す。


 出所した堀江は懲役囚時代の疲れを癒やす間もなく、藤田と共にすさまじい勢いで活動を開始した。ツイッターやフェイスブック、LINEに続く新しいSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「755」を立ち上げたのだ。


 スマートフォンを使い、AKB48やE-girlsをはじめとする著名人がメッセージを発信する。メッセージを読んだ無名の人々が「やじうまコメント」を自由に付け、著名人はどんどん直接答えを返す。有名と無名の垣根が取り払われた、まったく新しい情報のプラットフォームが日本に誕生した。


 堀江貴文と藤田晋は、僕が素敵だなと思う経営者の二人だ。その二人が、どうしても僕に755を始めて欲しいと言う。僕は機械オンチだから、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレット端末の使い方なんてよく解らなかった。「スマホを使うならフリック入力が便利ですよ」と言われても、何のことやら理解できない。ツイッターやフェイスブックの使い方も知らなかった。スマートフォンとSNSから最も縁遠いはずの僕だが、堀江と藤田の熱意にほだされ、期間限定で755を始めてみることにした。


 こうして2014年8月29日、僕は755に第1号の投稿をすることになる。

「見城です。今日から始めます。宜しくお願いします。」


 たった24文字をスマートフォンで打ち込むだけで、大変な時間がかかった。実に億劫だった。755の世界では、幻冬舎はともかく見城徹という名前を一度も聞いたこともない人たちも多いだろう。まさにアウェイだ。


 人から頼まれ、まったくの利害関係なしで755を始めたからといって、せっかく「やじコメ」を投げかけてくれる人に無下な対応をしたり無視したくはない。僕は基本的にすべての「やじコメ」に応え、真剣勝負でユーザーと切り結ぶことを決めた。


 僕を茶化すことが目的の匿名ユーザーもいる。忙しかったり眠かったりして、きちんと返事をできない時もある。だが僕はできる限り、自分の肉声によって相手が問うていることに真摯に答えようと努力してきた。


 僕の存在は、SNSの世界ではかなり特殊だと思う。本業を抱えて忙しい中、僕ほど755と真剣に向き合っている人はいないだろうという自負がある。いつしか僕の755は、ユーザーと見城徹によるガチンコの人生問答と化していった。手前味噌だが「見城徹の千本ノック道場」と呼ぶ人もいる。「奇跡のSNS」とも言われた。


 しかし、そもそも僕にはSNSがどんなものなのか解らなかった。


 ただ僕は相手が無名であろうが、自分の孫くらいに年齢が離れていようが、頭を高くふんぞり返りたくはないだけだ。


 彼ら無名の人々と交流を重ねるうちに、僕は755の魅力にはまり込んでいった。人生に真剣に悩む彼らにボールを打ち返すうちに、実は僕の方こそ彼らから教えられていることに気付いたのだ。


 幻冬舎や見城徹が何者かも知らない彼らが、755でやりとりするうちに幻冬舎から出た小説や他社から出た僕の本を読んでくれるようになった。直接感想を届けてくれた。


 僕の著書『編集者という病い』は2007年2月に太田出版から単行本が出版され、2009年3月に集英社から文庫化されている。累計10万部売れたこの本は長らく増刷していなかったのだが、奇跡が起きた。秋元康が感想を755に書き込んでくれてから755のユーザーを中心に本の評判が再燃し、単行本刊行から7年近くを経て再び、単行本、文庫本ともに増刷されたのだ。堀江と藤田が生んだスマートフォンのプラットフォームが、思わぬ形で紙の本との架け橋になった。


 本書は755で発した僕の言葉を土台とし、全面的に再構成した書き下ろしである。1トピックごとに4ページで完結しているため、どこから読んでもらっても構わない。興味がない項目は読み飛ばし、好きなところから読み始めてくれても結構だ。


 本書を通じて、僕はこれからもまた未知なる読者と出会うことができる。


 755の奇跡はまだ続いている。


 


 2015年3月  見城徹

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