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パブリック・ディプロマシー戦略 イメージを競う国家間ゲームにいかに勝利するか
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政治・社会
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はじめに

『パブリック・ディプロマシー戦略 イメージを競う国家間ゲームにいかに勝利するか』
[編著]金子将史 [編著] 北野充 [発行]PHP研究所


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 今日ほど日本の主張や実態に対する国際社会の理解を得る必要がある時代はない。領土問題や歴史問題において、中国などによる国際的な宣伝攻勢が強まっており、日本がいつの間にか苦しい立場に追い込まれることもありえない話ではない。政権の安定やアベノミクス効果で、停滞する日本というイメージは幾分克服されつつあるものの、中国をはじめとする新興国が台頭する中、日本が積極的に声をあげなければ国際的な存在感は相対的に低下してしまうだろう。


 情報通信技術や移動手段の発達により、グローバルに影響を持つ人物同士が結びつく傾向が強まり、ダボス会議が典型であるが、そうしたインフォーマルなネットワークの持つ影響力は無視できないものになっている。政府が他国の人々や組織に働きかけるだけでは十分ではなく、日本の人々や組織が世界のカウンターパートと深く結びつき、ともに汗を流し、知恵を出し合って、成果をあげることがこれまで以上に重要になっている。主要分野における有力な国際的ネットワークの中に自国のさまざまなアクターを位置づけることは日本にとって喫緊の課題といえる。


 とりわけ2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まる過程を通じて、日本の多くの人々が、効果的な対外メッセージの発信、キーパーソンへの働きかけ、さまざまなレベルでの人的ネットワークの構築がいかに重要かを実感したのではないだろうか。加えて、最終選考直前になって福島第一原発汚染水問題が浮上したことは、実態面でネガティブな要素を適切に処理することは当然として、コミュニケーション面での成否が、現実のいかんにかかわらず、非常に大きなインパクトを持ちうることを再認識させる出来事だった。安倍総理は、2013年12月に靖国神社に参拝した際、中国、韓国に対するメッセージを組み入れた談話を発表したが、この靖国神社への参拝も、国際社会の理解を得るためのコミュニケーションの重要性を再認識させる事例であった。


 自国の存在感を高め、自国と世界の人々の結びつきを強めようとしているのは、日本ばかりではない。世界中の国々が、イメージやパーセプション、ネットワークを自らに有利なものにしようとしのぎを削っている。そこで各国が重視するようになっているのが、対外広報や人的交流、国際放送、オリンピックなどの大型国際イベントなどを通じて海外の世論に働きかけ、人的ネットワークを強化して、自国の考えや理想、制度や文化、展開している政策に対する理解を促進する「パブリック・ディプロマシー」である。


 本書は、PHP研究所から2007年に発刊され、関係者の間で教科書的存在になった『パブリック・ディプロマシー──「世論の時代」の外交戦略』の続編でもある。同書の刊行後、パブリック・ディプロマシーをめぐる状況は大きく変化した。パワーバランスが変化する中で国際宣伝戦が活発化し、またSNSの急激な発達により、メディア環境、情報環境は様変わりした。東日本大震災、そして福島第一原発事故は、復興や原発事故処理という大きな課題をもたらすとともに、世界の対日認識にも巨大な影響を及ぼし続けている。危機時、そして危機後の対外的なコミュニケーションのあり方について学ぶべき教訓も多い。


 再登板した安倍首相が「主張する外交」を唱え、多くの日本人も対外広報や国際交流を強化する必要性を感じているが、その実態について包括的に紹介した書籍は日本では数少ない。2007年発刊の『パブリック・ディプロマシー──「世論の時代」の外交戦略』が日本ではまだほとんどなじみのなかったパブリック・ディプロマシーを概論的に紹介することを目指していたのに対し、本書は、日本はもちろん、海外の実務家の寄稿も得て、パブリック・ディプロマシーのより具体的な姿を浮き彫りにしようとしている。特に3・11が日本のパブリック・ディプロマシーに及ぼした影響やそこから得られた教訓については重点的に扱った。日本におけるパブリック・ディプロマシーの主なプレイヤーは従来、外務省、国際交流基金だったが、本書では近年重要性を増している官邸の国際広報の実態にも焦点を当てている。前著では十分紹介できなかった国際放送や自国語教育、ソーシャル・メディアの影響についても、独立した章で考察している。


 本書は政策シンクタンクPHP総研の研究プロジェクトの成果であるが、個々の論文は各執筆者の個人的見解に基づくものである。日本がパブリック・ディプロマシー大国に脱皮していく上で何が必要なのかについて、読者のみなさまが考え、実践に生かしていただくきっかけになれば著者一同これにまさる喜びはない。



 2014年2月

金子将史 

北野 充 

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