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[新版]自分を高め会社を動かす99の鉄則
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ビジネス
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「できる人」と「できた人」

『[新版]自分を高め会社を動かす99の鉄則』
[著]新将命 [発行]PHP研究所


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──〓bility


「実はわたし、今自分の後継者を選ぼうと社内を見回しとるんです。キレる奴は何人かいるのですが、さて経営者にとなると、いずれも帯に短し、たすきに長し……というところで考えあぐねているんですよ。新さんなら、どんな規準で選択なさいますかね」


 あるエグゼクティブ講習会で、一人の企業の経営者から、こんな質問をされたことがあった。“後継者”選びというのは、本人にとってはもちろん、企業にとっても重大な“仕事”である。そうそう簡単に、どの会社にもよい選択規準などあり得るはずもないが、その問にわたしはこう答えた。

「最終的には、わたしは〈人間的能力〉が、経営者に一番必要な能力だと思うのです。それは……」


 こうして、わたしは初対面のこの経営者に、わたしの考える「能力論」を語り始めたのだった。


      *

“能力”と一般的によく口にするが、どうも一口にいえるものではない。とわたしは考えている。能力の種類を意識して(つちか)う必要があるのではないか、ということだ。


 それでは、能力にはどんな種類があるのだろうか。


 先ず一番目には〈技術的・専門的能力〉がある。よくいわれる「一芸一能」というのがそれで、営業なら営業、企画といった機能的能力のことである。ただし、能力に幅を持たせて、いわゆる“専門馬鹿”になるのを防ぐためには、「一芸一能」を「複芸複能」にふくらませることが望ましい。


 二番目には〈マネジメント能力〉がある。これはよく、先に挙げた〈技術的・専門的能力〉と混同され、時によっては同じものだぐらいに錯覚されがちだ。この〈マネジメント能力〉は基本的にはP(Plan)─D(Do)─C(Check)のサイクルがベースになっているわけだが、人によっては、この三つのベースに“決断力”や“先見性”、“リーダーシップ”などを加える人もいて、それぞれもっともとは思うが、わたしはあえて三つの“C”を加えたい。


 三つのCとは──。


 Communication(コミュニケーション力)とCoordination(調整力)とCreativity(創造性)である。


 この三つのCを加えた〈マネジメント能力〉は、一番目に挙げた〈技術的・専門的能力〉とは本質的に異なるものだが、この点をはっきりと意識している人は、わたしのみた限りではきわめて少ない。


 こんな例がある。


 ある消費財の会社で、経理出身の幹部がトップになった。彼は“経理”という専門的能力では卓越していたが、どうも〈マネジメント能力〉が不足していたために、その会社は業績不振におちいって悲劇だった。これは、トップとしての立場の人に必要な能力のバランスがとれていなかったことによるものである。


 また、この〈マネジメント能力〉は、組織内の立場とか部下の数とかには関係なく、企業に働く人全員にとって必要不可欠な能力である。


 さて三番目に、人生哲学・価値観・行動指針等を踏まえた広い意味の〈人格的能力〉がある。


 この能力は、一般的にあまり強く意識されないし、口の端にものぼらない。が、この能力は重要なポイントである。組織の中での立場が上にいき、責任権限の範囲が広まれば広まるほど大切な点だと思われる。


 そして、以上の三つの能力が成り立っていて初めて“能力のバランスがとれている”といえる。


 その配分は次図を参考にしてほしい。トップに近づくほど、人格的能力に要求される比重は大きいのである。




      *

「……ビジネスというのは、しょせん人間がやるものです。機械を動かすのもですし、金が重要だというけれど、金を生み出すのもです。わたしが、あなたの後継者選びの際の規準で〈人格的能力〉が五〇パーセントだと思うと申し上げたのは、トップの座につく人にとっては、専門家としての技術的側面やPDC+CCCをベースとしたマネジメント能力を合わせたのと同じくらいの比重で、人格的能力が必要だという意味なのです。ある専門的技術を持った部下たち──その中には営業の人も企画も経理も技術スタッフもいて──を上手に動かし、気持よく働いてもらえるためには〈人格的能力〉の一環としての“人間に対する感受性”が必要です。ビジネスというものが〈人〉によって作られるものだとすれば、人間に対する、あるいは人間の感情に対する“感受性”がなければ、人を納得ベースで動かすことはできないと思います。いくら自分が、専門的能力に優れていて、職人として優秀であってもね……」


 わたしに相談を持ちかけた先般の人は「いくらなんでも五〇パーセントの人格的能力は(いきすぎではないか)ね……」と小首を(かし)げながら帰って行った。


 数週間後、オフィスの机に一通の手紙が届いた。差出人は、くだんの後継者選びに苦慮していた人で、手紙はこんなふうに結ばれていた。「……五〇パーセントの人格的能力というのは、ちといきすぎではないかと思って帰ったわたしでしたが、リストに載っていた数人の候補者は、いずれも人柄のいい奴ばかりが残っていました。日本には昔から〈人望のある人〉といういい方がありますが、人望のある人というのは、やはり仕事ができるだけでなく、人間的に優れた人である場合がほとんどですね。やはりそういう人柄のよい人間に任せて隠居したい心境です」


      *


 会社では、年に何度か資産のタナおろしをする。この辺で、個人レベルでも自分の能力のタナおろしを具体的にやってみて、組織の中で自分の適性を考え、自分としては今どの辺に目標を置きたいのか、何が足りないのか、どの面を伸ばしていこうか等々、考えてみてはどうだろうか。それも、先に挙げた三種類の能力の「レベル」と「バランス」を意識しながら。


 二〇代は、とにかく与えられた仕事を何でもこなしていく必要がある。が、三〇代で、こういったことに気づくか気づかないかというちょっとしたことで、その後の自分の成長やキャリア・パスに大きな差が出ることは、わたしの経験からも断言できる。


 技術的に優れた人やマネジメント能力のある人を、日本では「でき人」というが、人間的能力がある人は「でき人」と呼ばれる。二〇代の間は「でき人」でよかろうが、三〇代、四〇代ともなれば「できる、できた人」を標榜すべきであろう。


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