読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

12/21に全サービスをRenta!に統合します

(2021/12/6 追記)

犬耳書店は2021年12月21日に、姉妹店「Renta!(レンタ)」へ、全サービスを統合いたします。
詳しくはこちらでご確認ください。

0
-2
kiji
0
0
1217394
0
日本を讒する人々 不作為の「現実主義」に堕した徒輩を名指しで糺す
2
0
0
0
0
0
0
政治・社会
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第一章 国民を欺いて「市民中心社会」の実現を目指すのは誰か

『日本を讒する人々 不作為の「現実主義」に堕した徒輩を名指しで糺す』
[著]渡部昇一 [著] 金美齢 [著] 八木秀次 [発行]PHP研究所


読了目安時間:43分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ



自民・民主の双方が抱える「左」の質的な差異



 八木 ついに、自民党に代わって民主党が政権の座に就き、鳩山由紀夫総理が誕生──。


 本年(平成二十一年)八月三十日の第四十五回衆議院議員総選挙の結果をそのように“予測”し、そうした事態を“前提”として本(てい)(だん)にわれわれが臨んでいることを、まずは読者の方々にお断りしておきます(平成二十一年八月十八日現在)。


 さて、平成六年の小選挙区比例代表並立制の導入から十五年、「政権交代可能な二大政党」による政権交代が初めてなったわけですが、そもそも「政権交代可能」であるためには、国家の基本に関わる問題についての二つの政党の有する価値観、政治イデオロギーに質的差異があってはならないはずです。


 安全保障、外交、経済政策、社会保障、教育などについて、二つの政党の基本理念には質的な差異がなく、したがって二大政党はその政策をめぐって切磋琢磨する。国民は二大政党の有する政治イデオロギーに大きな差異がないことを前提として、より良き政策を支持すべく、どちらかの政党に投票する。アメリカの共和・民主、イギリスの保守・労働の二大政党がそうで、英米両国の二大政党はともに自由と民主主義を重視し、マルクス=レーニン主義は厳しく拒絶しています。


 しかし、今回政権与党の座に就いた民主党の体質はどうか。民主党は小沢一郎氏、岡田克也氏など自民党田中派出身者、鳩山由紀夫氏、菅直人氏など新党さきがけ出身者(鳩山氏はそれ以前に田中派出身でもある)、野田佳彦氏、前原誠司氏など日本新党出身者、直嶋正行氏など民社党出身者に加えて輿石東氏など日本社会党出身者によって構成される「寄り合い所帯」です。その政治イデオロギーは、右から左まで幅広い。


 渡部 自民党のそれよりも、よっぽど広いものです。そして明らかに左側の勢力のほうが党のキャスティングボートを握っている。保守政治を志向する人たちも少なくないことは認めますが、党内での発言力が大きいとは言いがたい。八木さんがかねてご指摘になっておられるように、自民党も右から左までの寄り合い所帯です。河野洋平氏、加藤紘一氏、中川秀直氏、塩崎恭久氏などリベラル色の強い議員も多い。


 八木 けれども、両党の間には質的な差異があります。それは双方が抱える「左」の体質です。


 自民党の左派の多くが利権の関係や「なんとなくリベラル」といった位置であるのに対し、民主党の場合は本物の左翼、職業左翼で、プロの活動家を抱えているのです。社会党出身者がそうで、党事務局もそちらの陣営に握られているという指摘もあります。政権党となったことで、彼らは村山富市政権以来、再び日本の舵取りに本格的に関われる立場になったわけです。


  民主党は総選挙前の七月二十三日、『民主党政策集INDEX2009』を発表しましたね。そこには「国会図書館に恒久平和調査局を設置する国立国会図書館法の改正、(中略)慰安婦問題等に引き続き取り組みます」とか、靖国神社に代わる「特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置に向けて取り組みを進めます」と書かれていました。


 八木 「恒久平和調査局」というのは、わが国の戦争時の「加害」行為を調査する部局のことです。それ以外にも、選択的夫婦別姓の早期実現、住民投票法の制定、永住外国人の地方参政権付与、アジア外交の重視、自衛権の行使は専守防衛に限定、中央教育委員会の設置、学習指導要領の大綱化などが書き込まれている。


 いずれも民主党の左派が年来主張してきたものですが、驚くべきことに七月二十七日に発表されたマニフェスト(政権公約)には、まったく触れられていませんでした。これは明らかに、左派色を薄めて国民の目を(あざむ)こうとしたものです。


わが国は冷戦時代を“清算”しないままに「政権交代」を迎えた



 渡部 それについては、民主党の現役都議会議員である土屋敬之氏(板橋区)が、七月末から自身のホームページで、「ふざけるなマニフェスト! 本心をひた隠し」と強い調子で批判し、「そんな政策を掲げて選挙をやれば民主は『第二社会党』だと批判を受けるからだ」とはっきり述べていました。


 それに対し、民主党の政調幹部らは、「われわれが選挙で国民に示して約束するのはマニフェストであり、政策集は公約ではない」と“釈明”しましたが、土屋都議はそれを「ねこだまし」「姑息」などと批判を重ね、「政党たるもの、議員たるもの、政策は正直に国民に示して選挙を行うべきだ」と反発した。こういう民主党議員もいるのですが、この声は党内での多数派にはならない。


 八木 八月十四日付の『産経新聞』が一面のトップで大きく報じたことですが、「民主党は13日、次期衆院選後に政権を獲得した場合、靖国神社に代わる新たな国立戦没者追悼施設の建設を目指す方針を固めた。政権発足後、政府に有識者懇談会を設置し、答申を受けて建設に向けた動きを本格化させる」──。こんなことも、マニフェストには一言も書かれていません。しかし、『政策集』にはしっかり書かれている。おそらく今後もマニフェストには書かれていない政策が次々に現実のものになるでしょうね。そして、その際には「『政策集』には、すでに書いている」と(うそぶ)くに違いない。


 ここで確認しておかなければならないことですが、民主党の有力支持母体には自治労や日教組、部落解放同盟などいまだマルクス=レーニン主義を脱却していない組織があるということです。民主党には組織票と言えるものは労働組合票しかありません。労働組合にも旧同盟系など健全な国家観を持ったところもありますが、民主党で影響力を持っているのは旧同盟系ではない。旧総評系、それも自治労や日教組など官公労ががっちり政策決定の実権を握っているのです。


 その官公労の組織内候補や彼らによって全面的に支援された候補者が今回の総選挙でも「民主党」の名前で立候補し、自民党の候補を抑えて当選しています。候補者本人は保守系であっても選挙で全面的に支援された以上、官公労の言うことを無視するわけにはいかない。新党日本の田中康夫氏や「みんなの党」の渡辺喜美氏が「自民党は官僚依存、民主党は労組依存」と言っていましたが、たしかに、その色はきわめて濃い。


 テレビの政治番組などに出てくる民主党の政治家は、松下政経塾出身者などの、若い、いわゆるイケメンが多く、彼らの意見を聞くかぎりは、自民党の世襲議員よりは新鮮で、わが国の将来を託したくなるのですが(苦笑)、そのイケメン政治家の背後には、冷戦時代の遺物であるマルクス=レーニン主義を信奉するような古色蒼然とした政治家が控えているという構造です。今回の選挙を経ても、それは変わっていません。むしろ強化されたと言えます。


 また、年金問題の国会質問で「ミスター年金」として名を馳せた長妻昭政調会長代理(当時)も、「自民党は、従来のしがらみを断ち切れないから、ムダを省く改革ができない」などと嘯いていますが、たとえば年金問題における彼の批判の矛先は、直接責任のある厚生労働省や社会保険庁の職員ではなく、政府や与党にばかり向けられました。


 國會新聞社の宇田川敬介編集次長が〈長妻代理の年金問題追及をみて感じるのは、民主党と自治労の癒着関係である。民主党がいかに取り繕おうとも、官僚批判は「自治労に参加していない「管理職」に限定される。「官僚による独走を防ぐため、与党議員が百人以上政府に入る」という霞が関改革案は、そのまま「管理職でない自治労を温存し民主党と自治労の独裁体制を作る」ということを意味する〉と鋭い指摘をしていますが(『正論』平成二十一年九月号「鳩山“友愛”体制を支える民主党七幹部の裏の顔」)、私もまったく同感です。


 本書が世に出る頃には枠組みがはっきりしているでしょうが、社民党との連立政権ならば、民主党の政策決定の実権はどの陣営が握るのかは目に見えています。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:17849文字/本文:21100文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次