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若き日の和辻哲郎
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ルポ・エッセイ
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まえがき

『若き日の和辻哲郎』
[著]勝部真長 [発行]PHP研究所


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 本書は、和辻哲郎の青春時代に焦点をあてて、その生活と文芸と思想との関係を理解しようとした試論である。


 和辻哲郎は、わが国の思想家のなかでも詩人哲学者である点に、その特色があると思われるが、その詩人性の面がこれまで理解されていなかったのではなかろうか。


 その点をかつて安倍能成が「和辻君のストゥルム・ウント・ドラング時代」とか「放情時代」とよび、また雑誌『心』の座談会「大正・昭和の文化人」(昭和四十六年二月号)で、竹山道雄が、「和辻先生は、一寸謎の人だと思う」といい、唐木順三は「纏まったという点では実に纏まった仕事をなされた」といいながら「和辻さんから直接聞いたのでは、小宮さんと相当遊んだようですね」といい、竹山が「和辻先生でもう一つ分らないのは、どうしてああ奥さんに対して絶対帰依したかということ」というと、唐木も「それは僕も疑問だな」という。こうした座談会に対して、早速、和辻未亡人から抗議の反論が『心』に寄せられ、亀井高孝の証言が出たりしたことは、知る人ももう少なくなっているのでないかと思われる。


 そのような故人のゴシップやスキャンダルめいた事は、プライバシーを犯すものであって、和辻哲郎の学問的業績の理解のためにはなんら資するところはない、として無関心な人もいるであろう。哲学は哲学、思想は思想だけの世界を扱えばよい、というでもあろう。しかし和辻は『ゼエレン・キェルケゴオル』において前篇「キェルケゴオルの人格と生活」のほうに、後篇「キェルケゴオルの哲学」よりも、より多くの頁を費やしているのである。


 ソクラテスの偉大さは、プラトンの初期『対話篇』とアリストテレス『メタフュシカ』において知られ、クセノフォーンの『メモラビリア』ははるかに劣るともいわれる。蟹は甲羅に似せて穴を掘る、というから、所詮この本もわたくしの愚かさを示すにすぎないであろう。しかしわたくしは自分の知るところを書き残して置きたかったのである。


 とくに谷崎潤一郎との関係においての和辻哲郎を、誰もとり上げていないのが、わたくしには気がかりであった。


 なお本書では、原著からの引用を、現代かなづかいに改めてあることを、一言おことわりしておく。



 一九八七年六月

著 者 

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