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若き日の和辻哲郎
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ルポ・エッセイ
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あとがき

『若き日の和辻哲郎』
[著]勝部真長 [発行]PHP研究所


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 本書はもと中公新書の一冊として、一九八七年の秋に出したものであるが、出るとすぐ谷崎未亡人松子女史からの横槍が入ったらしく、中央公論社は絶版同様の扱いをするようになった。何が松子夫人の気に入らなかったのか。明治四十四年二月十日、向島から谷崎が弟の谷崎精二あての手紙で、「二、三年前にわづらった梅毒が再燃して此の頃はコマカイ事を云ふ根気がない。いづれ気分のいゝ時に細かい事を書く」という手紙は、すでに谷崎全集(昭和五十八年)の第二十五巻、書簡集二十四頁に掲載されているので、私は構わないと思って引用したが、それも中公編集部がゲラの段階で削ってしまっていた。とすると和辻の外套を谷崎が借り出して、そのまま入質して流してしまった事件が、引掛ったからであろうか。しかし友人の外套を質に入れて流す話は、谷崎自身、小説「金と銀」で詳しくその掛け引きを描写しているくらいで、今更騒ぎたてるほどの事でもないのである。とかく未亡人というのは、「あが仏尊し」で、自分の亭主を完全無欠の存在にしておきたいらしい。


 あれから九年たって、松子夫人も亡くなり、ここでPHP文庫版として、新装して出してもらうこととなった。その間に、新しい資料がみつかって、この本は充実してきたように思う。第一は、和辻が東大入学匆々、学長訓戒をうけた時の、和辻自筆の「始末書」がみつかったことである。これにより事件の真相が明らかになった。第二は、和辻の郷里、姫路市仁豊野の実家に、和辻の若い日の手紙類が、そっくり保存されてあったことである。その中から、和辻家の諒解のもとに引用させて頂いて、若き日の和辻の息づかいを、そのまま伝えることができ、いかにも「青春」らしい雰囲気を再現することができたように思えるのである。


 これら資料の扱いに関して、いつもながら和辻雅子さんの、一方ならぬご配慮に与った。記して謝意を表する。また文庫版の実現については、PHP研究所の大久保龍也、岡田光司両氏のお世話になった。これも記して謝意を表する。



 一九九五年一月末日

音羽にて 勝部真長 

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