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本当に怖いキラーストレス 頑張らない、あきらめる、空気を読まない
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くらし
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第2章 脳の神経ネットワークを破壊し、ホルモンを殺人犯に変える「キラーストレス」

『本当に怖いキラーストレス 頑張らない、あきらめる、空気を読まない』
[著]茅野分 [発行]PHP研究所


読了目安時間:28分
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〓ストレスを管理するのは「脳」である



 ストレスが心身をむしばむ。そのイメージを理解していただくため、私たちの体がどこでストレスをキャッチし、どう体に影響していくのか、その流れを見ていきましょう。


 屁理屈はいらない、ストレスを(ふっ)(しょく)する方法だけ知りたいという人は、この章は飛ばして読んでもらって構いません。ただ、ストレスが過多になりがちな人は、真面目で理論的な考え方をする人が多いものです。ストレスがなぜ、自分を苦しめ、体の不調まで起こすのか、そのメカニズムを知っておくと、ストレスとの対峙の仕方をよりスムーズに理解できると思います。



 ストレスという言葉は、もともと物理学の用語で、物体に圧力が加わったとき、物体の内部に生じる力の大きさのことを言います。形ある物は、力を加えることで変形したり、壊れたりしますが、その際に、物のほうが受ける負担の大小を示すために用いられるのが、物理的なストレスという言葉になります。


 生理学の分野で、初めてストレスを学説として提言したのは生理学者のハンス・セリエ博士です。ストレスという言葉そのものは使用していませんが、一九三六年にイギリスのネイチャー誌で「非特異的有害要因によって引き起こされる全身適応症候群」と名付け、何らかの原因により、人体に反応が起こると発表し、ここから人体とストレスに関する研究が盛んに進められるようになっていきました。


 その後、人体が受けるストレスについての研究は、生物学のみならず、脳科学、社会学など、さまざまな方向から行われるようになり、現在はストレスを感じ、その影響が体に現れる大きなきっかけをつくるのが「脳」であるというのは常識の(はん)(ちゅう)です。


 ストレスでもっともダメージを受ける部分といえば、「心」をイメージする人もいるかもしれませんが、そもそも「心」という臓器はありません。実態のないものでありながら、私たちは、快適なことがあると「心地よい」「心が安らぐ」「心が躍る」、不快なことがあれば「心が痛い」「心が苦しい」「心が()える」など、いかにも「心」が中心にあるような表現方法を用います。


 確かに驚いたときには心臓が「ビクッ」とするような感覚に襲われますし、緊張で鼓動が速くなることもありますから、なんとなく、心臓の近くに、「心」の存在を定義づけ、ストレスは心が受けていると想起してしまうのです。


 しかし、ストレスに対する体の反応のすべては、脳が得た情報により、脳内で発生する機序を経て、体の各部位が反応しているというのが、現時点での脳科学と生物学の出した結論になっています。


〓脳内神経細胞のネットワークに異常が起きることがストレスの始まり



 目、耳、鼻などでキャッチした危険な情報や、不安な要素は脳に送られます。脳は、その情報がどれだけ正確なのか、すぐ反応すべきことなのか、しばらく様子を見てよいものなのかを判断し、危険や不安に対処するよう、体の各部位に指示を出すのです。


 たとえば、上司から理不尽な指摘を受け、同僚の前でこっぴどく叱られた経験をすると、その上司を目にするだけで、負の感情がわき起こってくるものです。


 このとき、脳の中では一瞬にして多くの情報処理が行われています。目から得た「上司の顔」という情報が脳へ伝達されたあと、過去の記憶と照らし合わせ、「こいつは嫌な奴だ」「気をつけろ」と脳が判断する。そして、また怒られるかもしれない。嫌味を言われるかもしれない。だから、この上司とは距離をおこう、コミュニケーションの取り方に気を付けようという思考が生まれ、行動を変化させていきます。


 この場合、ストレスの元となっているのは「上司」という人間そのものですが、脳が得る情報は「上司」という存在ではなく、上司の声、顔、上司の書いた文字、臭いなど、五感が感じる一つ一つの情報です。ですから、目だけでなく、耳や鼻、触覚など五感から得た些細な情報で、本人が「ストレス」として自覚していない情報であっても、脳内では危険を感知し、上司の声をなるべく聞かないようにとか、姿を目にしないようにして、ストレスと闘うための行動を起こすように情報を伝達しているのです。


 このとき、脳内の情報処理は、千数百億個とも言われるものすごい数の神経細胞により行われています(図2)。一つの神経細胞からは、長く伸びる「(じく)(さく)」と、枝分かれした「(じゅ)(じょう)(とっ)()」が出て、網の目状に張り巡らされています。まるで、複雑なネットワークシステムです。




 それぞれの神経細胞は密着せず、電気信号で情報のやりとりを行っています。密着していると、一つの回線が切断されたことで、脳内全体がフリーズしてしまう可能性があるため、神経細胞同士の間には隙間をつくるという選択をしたと考えられます。生物の進化というのは、このようなところにも生き残るための工夫をしてきたのだと感心させられます。


 神経細胞の末端には、コブ状の「シナプス」という部分があり、ここが信号のやりとりの場になっています。シナプスとシナプスの間隔は数万分の一ミリほどですが、その隙間に軸索が「神経伝達物質」という化学物質を放出し、別の神経細胞が樹状突起で電気信号を受け取る仕組みです。

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