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宇宙一わかりやすい 相対性理論 図解イラスト超入門
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人文・科学
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はじめに

『宇宙一わかりやすい 相対性理論 図解イラスト超入門』
[著]小谷太郎 [発行]すばる舎


読了目安時間:4分
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キャッチボールをするとき、エスカレータに乗るとき、自動車を運転するとき、私たちは頭の中で運動方程式を積分してから次の動作を決めたりしません。そんなことをしていたら転ぶか、アザを作るか、ろくな目にあわないでしょう。
けれどもカーブを描いて飛んでくるボールに手を伸ばす瞬間にも、繰り出すステップに足を乗せる際にも、車線を無理に変更しようとしてクラクションを鳴らされあわてるあいだにも、私たちは無意識のうちに複雑な力学的演算を行い、筋肉に指令を出しているのです。私たちは(ときおり計算をまちがえてボールをとりそこねますが、おおむね)ニュートン力学を直観的に理解しているのです。
さて、相対性理論(相対論)は大変に奇妙な物理理論と思われています。その教えによれば、光に近い速度のロケットは収縮し、質量は増え、時空はよじれ、ふたごの年齢はくい違います。相対論の世界でニュートン力学は役に立たず、私たちの直観は伸び縮みするロケットの中で途方に暮れます。
しかし、もし宇宙空間を生活圏とする生物がいて、さしわたし何光年もの体や、何万年もの寿命をもっていたら、あるいは光に近い速度でブラック・ホールすれすれを駆け抜けるとしたら、と想像してみてください。
そのような生物は相対論を直観的に理解しているはずです。変形した景色から自分のいる場所と時代と速度を読みとり、何年も何光年も遠方の友人に速度と重力と宇宙膨張を補正した波長の信号を送り、ゆがんだ時空を貫いてエサ場に向かう最適な経路の選択をやってのけるでしょう。どれほど複雑な計算を行ったか、まるで意識しないままで。
そのような相対論的生物の直観を身につけ、数式を使わずに相対論を理解できたらなぁ、というのが本書に込められた願いです。本書では、
• 光速に近い銀河鉄道の車内と地球のあいだでは、どんな会話が交わされるか(お互いの年齢の話は避けるのが無難です)
• ビーム兵器や光速に近い弾を撃ち合う宇宙戦争では、何に気をつけるべきか(ヒント:弾の速度は見かけどおりではありません)
• 進路にブラック・ホールがあったら、よけるべきなのか(吸い込まれるのか吸い込まれないのか、それが問題です)
• タイム・マシンで祖父を若いころに殺すことは(倫理的にではなく物理的に)許されるか
• 宇宙の彼方(かなた)を見ると自分の後頭部が見えるのか(見えるとしたら、そのつむじは右巻きでしょうか、左巻きでしょうか)
こういった問題を、専門用語も数式もほとんど使わずに説明していきます。
数式なしで相対論を理解するとなると、いろいろ工夫が必要になります。本書では、超光速が不可能なことを示すためのカンニングの思考実験や、質量増加を導くためのゴムひものおもちゃなど、さまざまな小道具を用いて、独特なやり方で相対論を説明します。
(ちょっと注意しておくと、この本の重力の説明方法は普通と違います。座標系によらない議論に限る普通の教科書では、このような説明はアウトでしょう。しかし座標系の華麗な数式操作を見せつけてほしいわけではない読者には、本書のような説明のしかたがありうるのでは、と筆者は考えます。)
また、数式を使うばかりが数学ではありません。宇宙の彼方に自分の後頭部が見えるかどうか研究する学問分野はトポロジーと呼ばれます。この分野は数式なしでもけっこう深い議論ができ、相対論とも密接に関わっているので、本書では1章をさいて解説します。クラインの壺や、その三次元版の、つむじが逆向きに見える宇宙を探索しましょう。
さらに巻末に、本書で解説する相対論の命題をまとめてあります。さっと目を通せば、相対論の大筋はわかるようになっています。復習に、また本文を読み飛ばす場合に、ご利用ください。
読者のみなさんが、将来、光速に近い宇宙船を(そう)()するとき、未来や過去を訪問するとき、トポロジー構造の異なる宇宙を探検するとき、本書を読んだ経験が役立てば幸いです。
とはいうものの、相対論的直観は数学的訓練の末に身につくものだという意見もあるでしょう。また、キャッチボールの本を読んでもキャッチボールはさほどうまくならないかもしれません。そういうご指摘にはあらかじめ謝っておきます。ごめんなさい。
著者しるす
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