『リンボウ先生のへそまがりなる生活』
[著]林望
[発行]PHP研究所
秋は運動会の季節である。下は幼稚園から、上は会社、はたまた、町内会の運動会まで、秋の良日を浮かれて過ごすのは、決して悪いことではない。
運動会というと、私は思い出す。朝、天気が良いと、パン、パパーン、と花火が上がり、真新しいシャツとパンツ、それにこの時だけしか履かない「運動会用地下足袋」を履いて(どうして昔はああいう妙な履物を運動会の時だけ履いたんだろうね)ウキウキしながら学校へ行く。そうすると、校庭には花飾りをつけた「入場門」「退場門」が出来ていて、先生たちが白いトレパン姿で、校庭にかいがいしく石灰のラインなんかを引いている。