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会社人生、五十路の壁 サラリーマンの分岐点
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1 バブルの壁

『会社人生、五十路の壁 サラリーマンの分岐点』
[著]江上剛 [発行]PHP研究所


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バブル世代にもっと光を



 今、五〇代前後の会社員はバブル採用組と言われている。泡沫採用なんてなんだか嫌な表現だ。中身がまったくない気がする。


 一九八八年から一九九二年頃のバブル時代、日本は本当に元気がよかった。日本がアメリカを買ってしまうなんて言われるほど、勢いがあった。


 アメリカの財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」をなんとかするために各国の財務大臣が集まってドル安、円高誘導することに合意したのが一九八五年のことだ。


 これが有名なプラザ合意。その時の日本の首相は、中曽根康弘氏。アメリカの大統領はロナルド・レーガン氏。この二人は「ロン・ヤス」と呼び合って意気投合。


 なんだか今の安倍首相、トランプ大統領の「ドナルド・シンゾウ」みたいだね。


 アメリカの大統領と日本の首相がファーストネームで呼び合うのはいいけど、そんな時ってたいていアメリカの要求が強力で、無理やり言うことを聞かされる場合が多い気がする。


 この時もそうで、中曽根首相はアメリカの「双子の赤字」を解消するために円高にした。そのため国内は円高不況となり、日銀は低金利政策を採用。日本国内にジャバジャバとお金を供給した。そして中曽根首相は、NTTやJR、JTなど公社の民営化を図り、内需拡大政策を進めた。


 その結果、銀行から湯水のようにお金が供給され、それらは株と不動産に集中してしまったわけだ。


 株長者や不動産長者が現れ、国内は金満家が溢れ、ディスコでは髪型はワンレン、服装はボディコンの女性たちがひらひらと扇を振り回してお立ち台で踊りまくった。


 その頃、私は都内の支店、続いて本部で働いていたが、毎日、朝の二時、三時まで働いたり飲んだりして、タクシーで帰宅し、また朝七時には家を出るという気がおかしくなるような働きぶりだったが、まったく疲れなかった。


 バブルって意識はなかったけれど、やりたいことはなんでもできる。予算は使い放題。仕事が楽しくって仕方がなかった。楽しいと疲れないんだね。


 その頃は、どの会社でも採用予定人数が例えば一〇〇人だったら二〇〇人、三〇〇人と、例年の二倍、三倍も採用した。


 とにかく人だったら誰でもいいという雰囲気だった。オイルショック後の就職難だった昭和五二年に入社した私は、信じられない思いで採用風景を見ていた。


 採用の応援に駆り出された私は、人事部の採用担当が、「とにかく内定を出してください」と言うのに驚いた。とても採用基準に達しない学生もおり、「名前さえ書ければ採用するのか」と怒鳴ったほどだ。

「行きはよいよい 帰りはこわい」という歌があるけど、バブル採用の人は、この歌の通りだ。


 なぜこんなに大量採用したのだろうか。


 日本経済は、まさに爆発していた。グローバル、インターナショナル、証券化、システム化などの言葉が飛び交い、未来はどこまでも広がっていた。


 だからどんどん部署を拡大していたのだ。未来(えい)(ごう)、人材不足になるのではないかと懸念されていた。


人数は多いがポストは少ない


 ところがバブルが崩壊。日本経済は、長い低迷のトンネルに入り込む。


 バブル採用の社員たちは、入社時が会社人生のピークで、そこからは下りっぱなし。


 銀行で言えば、新しい業務に就かされることもなく、巨額の不良債権の発生、それらの回収、取引先に対してはひたすら貸し渋り、貸しはがし。


 二〇一三年に放送され、大ヒットしたテレビドラマ『半沢直樹』(TBS系列)のお父さんが自殺したのはこの時代。バブル世代は、なんのために銀行に入ったのか、ストレスが溜まり放題で勤務するようになる。


 そしてようやく景気が回復し始めたのだが、今度はAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の時代となり、バブル採用世代に回すポストはなくなってしまった。


 今や東証一部上場企業の六人に一人はバブル世代と言われ、完全なお荷物となっている。


 早期退職制度などを採用して、退職金を数千万円も上乗せしてもいいので会社から出ていってほしいと言われる始末だ。


 国会で議論されている働き方改革だって、実は、バブル世代をいかに活性化させ、生産性を上げるかが課題なのだ。


 今や企業の枠を超え、日本社会の働き方問題の中心となった感のあるバブル採用世代。この世代をどれだけ活性化できるかという課題の解決が企業の生死を分けることになる。


 どうせ俺はバブル採用だからってひねくれている場合じゃありませんよ。


 しかし、バブル採用世代の長所もある。バブル世代は思いの外、忠誠心が強いということだ。浮かれた学生生活を過ごした割には、現実直視能力に優れていて、経営が苦しい会社を必死で支えて来た経験もある。


 そんなバブル世代は、もっと(むく)われてもいいはずなのにリストラ対象とは、あまりにも無慈悲。私はリストラされるべきは「老害」経営者の方だと思うが、皆さんはどう思うだろうか。

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