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ライバル駅格差 「鉄道史」から読み解く主要駅の実力
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雑学
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大阪ライバル駅対決

『ライバル駅格差 「鉄道史」から読み解く主要駅の実力』
[著]小川裕夫 [発行]イースト・プレス


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 本書では、ここまで東京のライバル駅を比較、検証してきたが、鉄道が通勤、通学で利用されているのは東京圏だけの現象ではない。ほかの地域ではどうだろうか。


 第4章では全国3大都市の主な駅をピックアップしてみたい。


 東の東京と比較される西の大都市・大阪は、2018年4月から市営地下鉄が民営化され、新たに大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)が発足した。


 また、JR西日本を筆頭に(きん)()(にっ)(ぽん)鉄道((きん)(てつ))、(なん)(かい)電気鉄道、阪急電鉄、(はん)(しん)電気鉄道、(けい)(はん)電気鉄道といった私鉄が京都や神戸といった隣県の大都市とも結びつき、東京圏同様に通勤、通学で多くの利用が見られる。


大阪駅、梅田駅──阪急百貨店によって発展したキタのターミナル


 いわずと知れた大阪市の中心となる駅。JRは「大阪」、阪急、阪神、Osaka Metroなどは「(うめ)()」という駅名を使用している。


 梅田界隈には多くの駅があり、Osaka Metroの西(にし)(うめ)()駅、(ひがし)(うめ)()駅もほぼ同一の駅とされている。また、1997年に開業したJR(とう)西(ざい)線の(きた)(しん)()駅なども地下街で梅田駅と直結しており、ほぼ同一の駅としてみなすことができる。


 大阪市の中心になっている大阪駅だが、開業前の計画では(どう)(じま)界隈に設置されることが計画されていた。堂島は江戸時代から米取引でにぎわった地であり、政府としても大阪の中心地に駅を開設することで、需要を見込めると考えていたのだろう。しかし、用地買収などが困難という理由により、1874年に現在の地に開設されることになった。


 東京駅が大正に入ってから竣工したのに比べると、大阪駅はかなり早い時期から大阪の鉄道の要衝という地位を得た。そんな大阪駅だが、設計者はお雇い外国人の手によるものとまでは判明しているものの、誰が手がけたのかは不詳のまま、いまにいたっている。


 1889年に東海道本線(現在の愛称はJR京都線、JR神戸線)が全通すると、大阪駅は想定を上回る数の利用者であふれた。そのため、大阪駅は拡張で位置を少しだけ東に移した。その後も拡張や高架化などにより、大阪駅は変貌を遂げていく。


 大阪駅に隣接する阪急、阪神の梅田駅も同様に、拡張しながら位置を微妙に変えている。とくに現在は東海道本線をはじめとするJRの線路より北側(外側)に梅田駅を構える阪急だが、1934年までは違った。


 阪急の梅田駅は東海道本線の線路をオーバークロスするように敷設されており、駅舎は線路より南側(内側)に設置されていた。阪急の電車は東海道本線を見下ろすように高架線で走っていたのだ。ところが、政府の意向によって半ば強制的に東海道線が上、阪急が下という具合に切り替えられている。


 阪急の梅田駅舎は豪華(けん)(らん)とまではいいがたいが、特徴的な内装が施されていた。それらも改築工事を繰り返しているうちに消失。とくに2005年ごろから始まった駅改築工事では、美しいステンドグラスや()(とう)(ちゅう)()の設計によるドーム型屋根が消失した。


 阪急では○番線とは呼ばず、○号線という呼称を用いる。梅田駅は9号線までホームがあり、その規模は東京駅や新宿駅などと比べると大きくはないが、構造が頭端式になっているため、神戸本線、宝塚本線、京都本線の3線が同時に発着する壮大な光景を眺めることができる。


新大阪駅──「おおさか東線」「なにわ筋線」は起爆剤になるか


 1964年に東海道新幹線が東京‐大阪間で開業するにあたり、大阪側の玄関口として新たに開設された。東京側は在来線と同じ駅に新幹線が乗り入れたのに対して、大阪側は用地の関係やその後に計画されていた(さん)(よう)方面への延伸を容易にするためといった事情で、大阪駅とは別の場所に計画された。


 大阪市の中心地である大阪駅、梅田駅界隈から、JRなら1駅、Osaka Metro()(どう)(すじ)線なら3駅という至近距離にあるが、駅周辺のにぎわいは、大阪駅、梅田駅と比べて段違いに乏しい。そうした土地であるがゆえに、広大な新大阪駅を開設できたという事情もある。


 新大阪駅と似た境遇の駅として、東京圏には(しん)(よこ)(はま)駅がある。新横浜駅は東海道新幹線から東海道本線へと乗り継ぎができず、横浜駅にもJR横浜線や市営地下鉄ブルーラインなどを使って移動するしかない。大阪駅‐新大阪駅間と比べると、横浜駅‐新横浜駅間のほうが距離的には離れているが、東京圏ということもあり、新横浜駅界隈は発展が著しい。新大阪駅も新横浜駅同様、今後に期待が集まる。


 今後、新大阪駅界隈の発展の起爆剤になりそうと目されているのが、2019年に乗り入れが予定されている、おおさか(ひがし)線だ。同線は貨物線を旅客転用した路線で、(きゅう)(ほう)()駅‐(はな)(てん)駅間の約9・2キロメートルはすでに開業ずみ。旅客転用によって開業を果たした駅はすっかり様変わりしている。


 また、大阪駅北側の貨物駅跡を再開発した土地に新設される(きた)(うめ)()駅(仮称)とJR(なん)()駅、南海の(しん)(いま)(みや)駅のあいだを結ぶ、なにわ(すじ)線の整備計画も公表され、2023年春の開業を目指して環境影響評価手続きが始まっている。同時に北梅田駅‐新大阪駅間の貨物線が地下化され、なにわ筋線の電車が新大阪駅に乗り入れる予定だ。阪急も新大阪駅‐(じゅう)(そう)駅‐北梅田駅間を結ぶ新線の計画を発表。新大阪駅と京都本線、宝塚本線、神戸本線が集まる十三駅が直結することで、新大阪駅の拠点性は飛躍的に向上するだろう。


なんば駅──国鉄を抑えて私鉄が切り拓いたミナミのターミナル


 大阪駅、梅田駅は大阪市内で“キタ”と呼ばれる。対して、“ミナミ”と呼ばれるエリアの中心が難波駅だ。難波には1885年から南海電鉄の前身である(はん)(かい)鉄道(現在の阪堺電気軌道とは別)が駅を構えていた。ミナミの中心地である難波に大阪市営地下鉄が進出したのは1935年で、地下鉄によってキタとミナミが結ばれた。


 近鉄が近鉄難波駅(現・大阪難波駅)を開業したのは、かなり下った1970年。本拠地の(うえ)(ほん)(まち)(現・大阪上本町)駅から線路を延ばして進出。各社の駅が難波に集まったことで、大阪ミナミの中心街となる難波が形成、発展した。


 そうしたなか、国鉄は(かたく)なに“なんば”という呼称を使わず、駅名には「(みなと)(まち)」を使い続けてきた。湊町駅は大阪環状線から少し内側に入った場所にあり、1889年にJR西日本の前身・大阪鉄道によって開設された。湊町駅は南海や近鉄、Osaka Metroなどの難波駅とは離れた場所にあるため、むしろ湊町駅といった具合に別の名称を用いたほうが区別はしやすいが、大阪市民にとって、「JR湊町駅」といわれてもピンとこないのが実情だ。


 国鉄としては私鉄が切り開いた“なんば”という呼称を使うことに抵抗があったのだろう。JR西日本がようやく湊町駅を「JR難波駅」へと改称したのは1994年のことだった。


 関東とは異なり、関西は私鉄王国と形容される。京都、大阪、神戸の3都では、明治期から私鉄が競い合うようにネットワークを拡大してきた。


 現在、JR西日本も巻き返しを図っているが、南海の難波駅とJR難波駅とでは、距離はそれほど離れていないにもかかわらず、周辺のにぎわいは比較にならないほど大差をつけられている。


天王寺駅、大阪阿部野橋駅──JRと近鉄で駅名がまったく異なる理由


 大阪駅、梅田駅と同様に、ここでも官vs.民の対決構図を目の当たりにすることができる。JRが(てん)(のう)()駅を名乗るのに対して、道路を挟んで向かい合う近鉄は(おお)(さか)()()()(ばし)駅を譲らない。JRの天王寺駅と近鉄の大阪阿部野橋駅は長年にわたってライバル関係にある。


 天王寺駅は湊町駅同様に、大阪鉄道が1889年に開設した。現在でも天王寺駅からは関西空港に向かう列車が多く発着しているが、天王寺駅は大阪環状線の一部にもなっているため、関西空港駅から天王寺駅に到着し、そのまま大阪環状線を一周回って再び天王寺駅に着くという、東京の人間には不思議と思えるような列車もある。


 天王寺駅に対抗する大阪阿部野橋駅からは、奈良県の(よし)()方面へと向かう(みなみ)(おお)(さか)線の特急が発着している。こちらは行楽シーズンに混雑することでも知られる。


 2011年には大阪阿部野橋駅と阪堺電気軌道の線路を挟んで向かい合う複合商業施設「あべのキューズタウン」がオープン。その一画をなすあべのキューズモールは、東急不動産が運営するショッピングモールで、JRと近鉄が火花を散らす天王寺駅、大阪阿部野橋駅に東京の私鉄が割って入った格好だ。


 大阪阿部野橋駅には近鉄百貨店が併設されているが、2014年には高さ300メートルの超高層ビル「あべのハルカス」が開業。日本一の高さを誇るビルとして全国的に話題を集めた。都市開発が活発化する天王寺駅、大阪阿倍野橋駅界隈はJR、近鉄、東急という()(どもえ)の争いによって、今後とも天王寺、大阪阿部野橋をにぎやかにすることだろう。



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