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ビジネスエリートのための!リベラルアーツ 哲学
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Prologue リベラルアーツとしての哲学

『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ 哲学』
[著]小川仁志 [発行]すばる舎


読了目安時間:8分
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◆新しい世界で生き抜くために



 今、私たちはどんな時代を生きているのだろうか。そんな問いを投げかけなければいけないほど、変化が速いということだ。


 今世紀に入って、テロとの戦いやグローバリスムが急速に進み、従来の政治・経済の体制が揺らぎ始めている。インターネット上の情報は秒速よりも速く更新され、AI(人工知能)は指数関数的に進化している。これらのせいで、先の読めない不確かさが蔓延しているのだ。


 いわゆるVUCA時代、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性) 、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)、と言われることもあるように、複雑で予測困難、何が起きるかわからないのが、これから私たちが生きていく世界だ。そんな時代を生き抜くためには、これまでとは違う能力が求められる。


 とりわけ、時代を切り拓こうとするビジネスパーソンにとって、そうした能力を身につけることは喫緊の課題であるといっていいだろう。具体的には、


混沌(こんとん)とした事態を分析する力

・正解がない中で決断する力

・難問を解決する力

・新しい価値を生み出す力



 などが挙げられる。これらの力を鍛えるためには、まず確かな知識を身につける必要がある。そのうえで、その知識を自由自在に活用し、自分自身で思考することが求められるのだ。


 一言でいうと、今私たちに求められているのは、そんな確かな知識をベースにした強靭な思考力にほかならない。本書では、その思考力を「教養=リベラルアーツ」と位置づけている。


◆現代の教養「リベラルアーツ」



 教養はリベラルアーツと称されることもある。狭義のリベラルアーツは、古代ギリシア以来ヨーロッパに伝統を持つ人が身につけるべき技芸のことをいうわけであるが、広義ではエリートが身につけるべき基礎知識や基礎的能力を総称する語として用いられているといっていいだろう。


 本書のタイトル『ビジネスエリートのための! リベラルアーツ 哲学』における「リベラルアーツ」は、後者の意味で使っている。これからの世界を生き抜くビジネスパーソンに必須の武器として「教養=リベラルアーツ」を、さらにはその一つとして哲学を位置づけているわけである。


 では、なぜ現代のビジネスパーソンにリベラルアーツが求められるのか? 


 答えは簡単である。冒頭でも述べたように、複雑で変化の速い環境において、新しい価値を作り出し、リーダーシップを発揮していくためには、これまでとは異なる知識や能力が求められるからだ。


 それは表層的な知識やちょっとした計算能力のことではない。従来、優秀なビジネスパーソンに必要とされてきた、英語やIT、会計の知識などは、やがてAIに取って代わられる可能性が高いと言える。


 また、MBA等で学ぶフレームワークやロジカルシンキング、戦略やマーケティングの手法は、効率よく業務をこなすためには確かに役立つツールだが、そこから大胆な発想やイノベーションはなかなか生まれてこない。 そんなとき威力を発揮するのが、先ほど言及したような、確かな知識とそれをベースにした強靭な思考力なのだ。


 ちなみに教養とは、決して知識を丸暗記していることではない。難解なラテン語の詩の一節を口ずさめるとか、中世のマニアックな楽曲を知っているとか、そういうことでもない。


 教養とは、何らかの物や事柄について考えるための基礎となる知識や思考の型のことだ。多様な文化や歴史を知り、世界について考えるための力であり、5年、10年先まで見渡すことのできる思考のベースとなるものを指す。



 これこそ、私が「教養=リベラルアーツ」と呼ぶものであり、これからのビジネスパーソンに必須のリテラシーであるといってよい。


◆自由に生きるための技術



 教養というと、大学の「一般教養」が真っ先に思い浮かぶ人も多いだろう。単位取得のためにテスト前に仕方なく学ぶもの、自分の専攻や将来の仕事には直接的に役立たないが、とりあえず広く浅く知っておくべきもの、くらいに思っているかもしれない。


 ところが、この「教養」の本来の意味はまったく違う。「教養=リベラルアーツ」とは、古代ギリシアやローマ時代において、奴隷としてでなく、自由に生きる者に必要とされた技術・技芸のことを指す言葉であり、具体的には、文法、修辞、弁証、算術、幾何、天文、音楽の「自由七科」を指していた。


 その後、中世ヨーロッパの大学制度に受け継がれ、神学や哲学なども加わり、さらには近現代において、エリートが身につけるべき、人文科学、社会科学、自然科学の多様な学問の基礎にあたるものがそう呼ばれている。


 特に欧米では、大学の4年間をかけて、このリベラルアーツをみっちり学ぶ人も多い。アメリカにはこれらを学ぶことが目的のリベラルアーツ・カレッジも数多くあるほどだ。したがって、法律、経済、会計、経営等、実社会で必要な専門分野は、その後の大学院で学ぶのである。


 このため、グローバルなビジネス環境ともなれば、彼らの振ってくる話題は幅広く、かつ考えさせられるものとなる。「日本の働き方について教えてほしい」「夫婦別姓に賛成? 反対?」「捕鯨についてどう思うか」など、とっさには答えられない仕事以外の質問が容赦なく飛んでくる。もちろん、これらの問いに絶対的な正解はない。要はあなたがどんな価値観を持つ人物なのか知りたくて相手は質問するのだが、ここでそれまでに培った「教養」が効いてくるというわけだ。


 しどろもどろの答えでお茶を濁すのか、自分なりの考えを堂々と述べることができるのかで、その後の関係性は大いに変わる。幅広い知識や多様な価値観に慣れ親しむことが、より多くの人とつながり、新しいものを生み出す力にもなるのだ。


 これは私の経験からもいえることである。私は商社マンとして社会人のキャリアをスタートし、グローバルビジネスの最前線に放り込まれた。しかし、当時の私にはこの意味での教養が欠けていた。だから思考力も足りず、多くの失敗を重ねることとなったのである。


 その後哲学を学んだことで、足りなかった教養を身につけ、今ではグローバル人材を育成する大学の学部で教鞭を執るに至っている。


◆あらゆる学問の基礎としての哲学



 そう、私の場合、哲学が教養を身につけるきっかけとなった。教養やリベラルアーツは、哲学のみによって身につくものではないが、私は哲学こそが最も基礎になるものであると考えている。


 そもそもリベラルアーツにおいては、古典を学ぶことが重視される。これは時間がたっても決して劣化しない知を身につけるためである。古典は長い時間をかけて吟味された結果生き残ったという点で、普遍的な内容を持ち備えている。


 その意味で、哲学もまた古典同様長い時間の中で吟味され、それでも生き残ってきた知だといえるわけである。それに、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが示したように、哲学はもともとあらゆる学問の母であった。したがって、今こそ哲学を学び直すことで、教養の基礎固めをすることができる。


 ここで哲学とは何なのか、あらかじめ簡単に紹介しておきたいと思う。一言でいうと、哲学とは物事の本質を探究する営みである。つまり、自分を取り囲むこの世界を、言葉によって理解し、意味づけるための道具だといってよい。とりもなおさずそれは、概念の創造であり、ひいては世界そのものを創造することでもある。それを思考という動作を徹底的に繰り返すことで成し遂げるのである。


 ただ、それをやるためには、最低限の知識が必要になる。本書ではそうした最低限の知識の紹介から、強靭な思考の方法まで、すべてを1冊にまとめている。本書の構成と使い方について簡単に述べておこう。


◆本書の内容



 まず構成は以下の通りとなっている。


Chapter1 哲学とは何か?


 ここでは、哲学とは何かという点について、様々な角度から説明を試みる。この問いは、最も重要なものであるにもかかわらず、実は答えるのが最も難しいものでもある。


Chapter2 速習! 基本の概念


 ここでは、哲学的思考を行ううえでツールとして使える必須の30概念を紹介する。


Chapter3 21世紀の問題に対峙するための哲学


 ここでは、21世紀の新しい問題に対峙する現代の哲学を紹介しながら、私なりの解を模索する。


Chapter4 もっと「哲学する」ための実践ガイド


 ここでは、実際に哲学をするための具体的なノウハウについて紹介する。


 常々私は、哲学を思考の探検になぞらえている。それは道なき道を行き、宝を探し当てる旅に似ているからだ。その意味で、本書の使い方としては、思考の探検のハンドブック、あるいはサバイバルマニュアルとして常に携帯し、思考が必要になるごとに参照していただけると幸いである。

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