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ビジネスエリートのための!リベラルアーツ 哲学
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01 哲学とは何か?

『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ 哲学』
[著]小川仁志 [発行]すばる舎


読了目安時間:5分
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◆物事の正体を暴く営み



 哲学の定義ほど難しいものはない。はっきりいって定まった定義はないといっても過言ではないだろう。ただ、哲学が徹底的に思考することであること、言葉を使って行うものであることは間違いない。そしてその目的が、物事の本質の探究にあることもおそらく万人の理解を得られることと思われる。つまり、哲学とは徹底的に考えることで、言葉によって物事の本質を探究する営みだといってよい。


 たとえば、目の前にコップがある。このとき、このコップをどう使うか考えるのは哲学ではない。そうではなくて、コップの本質を問うのが哲学なのだ。そのためには、「コップとは何か?」という問いを投げかけなければならない。そうしてはじめて、コップがいったい何者で、この世界においてどのような意味を持っているのかがわかるのである。いわば、コップの正体が明らかになるということだ。


 そう、このように正体を暴くことこそが本質の探究だと思ってもらえばいいだろう。正体というのは、普段は隠れていて見えない。物事の本質もそうだ。だから探究する必要がある。


◆本質ってどういうこと?



 ここで本質という言葉について少し補足しておきたい。本質を探究するのが哲学の目的だといっても、そもそもその本質という言葉自体が何を意味しているのかよくわからないからだ。


 詳しくいうと、本質というのはその物事のすべてだということができる。コップの本質はコップのすべての側面なのだ。横から見ると長方形に見える、上から見ると丸い、中が空洞、片手で持てる等。こうした描写は理論上、いくらでもできる。


 したがって、コップのすべてを表現しようと思ったら、永遠に言葉を尽くさないといけなくなる。それだと逆によくわからないので、コップのそのすべての側面を一言でいい表したものを、コップの本質と呼んでいるわけだ。


 コップのすべての側面を一言でいい表すと、水分(液体)の移動手段となろうか。どんな形をしていようが、これがコップの本質であり、同時に正体なのだ。私たちは普段、コップは水を飲むための容器だと思っている。でも、植木鉢に水をやるときに使ったりもする。だから水を飲むための容器では、すべてをいい表していないのだ。そこで、もっと広く水分の移動手段と考えてみると、すべてに当てはまるはずである。


 しかもこの答えは、普段私たちが気づいていないのだから、その意味で隠れているわけである。それを探究するのが哲学というわけだ。


◆新しい意味や考えを作り出す



 ところで、この答えが出たのは、「コップとは何か?」という問いを投げかけて、思考したからである。この部分もとても重要だといえる。哲学は隠れた本質を暴く作業なので、問いかけないといけない。しかも「◯◯とは何か?」と問いかけるのだ。

「コップはどう使うのか?」とか、「コップはどんな形か?」という問いでは、本質は探究できない。本質を問うための問いは常に「◯◯とは何か?」という、その対象物の意味をストレートに尋ねる形でなければならないのだ。


 このストレートな問いが、私たちの思い込みや常識を突き崩し、隠れている本質探究の扉を開くわけである。こんな森の中に財宝があるわけないと思い込んでいては、財宝は見つからないのと同じで、もしかしたら自分は間違っているかもしれないと、疑いを持つところから探検は始まるのである。


 今、探検という言葉を使ったが、私は哲学を思考の探検みたいなものだと思っている。森をかきわけ、険しい道を行き、洞窟の中を突き進むことでようやく財宝が得られるように、ああでもないこうでもないと思考をめぐらせることでようやく、物事の本質を知ることができるのである。具体的なやり方は最終章で詳しく述べる予定である。


 ここではその思考の探検がもたらす結果についてだけ、もう少しお話ししておきたい。それは概念の創造ということである。思考の探検では金貨や銀貨のような財宝は得られない。その代わり、物事の意味が明らかになる。でも、この場合、自分が考えて意味を見出し、それを言葉で表現するわけだから、自分で物事の意味を作っていることにもなる。


 さっきのコップの本質もそうだ。「コップとは水分の移動手段である」などという答えを聞いたことがあるだろうか? おそらくないと思う。なぜなら、これは私が思考の末にたどり着いた答えだからだ。つまり、今私が作り出した答えなのだ。


◆世界の意味やルールが変わる



 これが概念の創造の意味するところである。フランスの哲学者ジル・ドゥルーズが、まさにこういっている。哲学とは概念の創造であると。だから思考の探検は、すでにあるものを探すのではなく、自分自身が新しいものを作り出す営みだと思ってもらったほうがいい。


 それは物事に新しい意味を与える行為だといってもいいだろう。世界に新たな意味を持たせる、世界の有意味化だ。哲学にはそんなすごい力と使命があるのだ。私たちは哲学をすることによって、その都度物事の新たな意味を生み出していることになる。


 そしてあらゆるものの意味を書き換えたとき、世界全体の意味が変わることもありうる。歴史上の哲学者には、そのことに成功した人たちもいる。たとえば、社会契約説を唱えてフランス革命につなげたルソー、社会主義を唱えて世界の半分を社会主義国にしたマルクスらがその例だ。哲学にはそんなポテンシャルもある。


 だから私は、哲学によって世の中のルールややり方をがらっと変えることも可能だと思っている。それは自分自身がゲームチェンジャーになることを意味する。


 もしそんなことに成功したなら、世界があっと驚くようなビジネスを作り出せるかもしれない。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのように。


 もちろん、そこまで大げさに考えなくててもいい。日々の業務に追われながらも、誰もが夢中になる商品やサービス、そして多くの人が抱える悩みを解決するようなすごい仕組みを生み出せすことだってできるはずだ。さあ、どうだろうか、そろそろ哲学に興味が出てきたのではないだろうか?

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