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池上彰の「天皇とは何ですか?」
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政治・社会
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第四章 天皇と皇室の仕事

『池上彰の「天皇とは何ですか?」』
[著]池上彰 [発行]PHP研究所


読了目安時間:27分
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国事行為で多忙な天皇のデスクワーク



 この章では、天皇や皇后のお務めや皇室のさまざまな活動を見ていきましょう。


 第一章では、日本国憲法によって、天皇の国事行為が定められていることを説明しました。



 ただ、これは天皇の活動は国事行為「だけ」に限られるという意味ではありません。一般的に、天皇の活動は次の三種類に分けられます。



  ①国事行為


  ②公的行為


  ③その他の行為


「公的行為」というのは、国会の開会式でのお言葉や被災地のお見舞い、式典への出席、外国公式訪問などが含まれます。そして、のちほど詳しく説明する(きゆう)(ちゆう)(さい)()は「その他の行為」に分類されます。


 そこで以下では、この三種類から代表的な公務の内容を取り上げて、日々、天皇陛下がどのようなお務めをされているのかを説明します。



 最初は、「国事行為」です。第一章の復習になりますが、憲法第七条には、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」と定められ、憲法改正、法律、政令及び条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、総選挙の施行の公示、大臣の任命などの項目が挙げられています。


 では、天皇はこうしたお務めをどこでどのようになさっているのでしょうか。実は、その多くは、皇居にある「(おもて)()()(しよ)」という建物の中でのデスクワークになります。


 曜日は火曜日と金曜日の午後と決まっています。なぜかというと、原則として、火曜日と金曜日の午前中に閣議が開かれるからです。


 閣議では、内閣総理大臣と国務大臣全員が集まって、政府がしなければいけないことを決定します。決定すると、そこで決裁された書類がすぐに内閣から宮内庁に届くので、天皇陛下はそれらに署名したり、許可印を押したりするのです。


 一見、簡単な仕事のように思えるかもしれませんが、なんといっても量が膨大です。年間では一〇〇〇件以上になるといわれています。


 今回対談した、元侍従長の(わた)(なべ)(まこと)さんによると、書類の内容を見ずに署名をしたり、許可印を押したりせず、必ずどの文書にもきちんと目を通し、納得した上で署名捺印をされるといいます。


 では、天皇が地方へお出かけになっているときはどうするのでしょうか。その場合は、内閣府の事務官が電車や飛行機で、書類をその日の夕方までに届け、天皇はホテルに戻られてから、それらに署名捺印をすることになります。


天皇の認証を必要とする「認証官」の任命



 憲法に定められている国事行為の中で、頻繁に行われるのが「認証官」の任命です。

「認証官」とはあまり聞き慣れない言葉かもしれません。これは、天皇の認証を必要とする国務大臣や(かん)()(役人)のことをいいます。具体的には、国務大臣や副大臣、さまざまな特命全権大使、最高裁判所判事、検事総長、公正取引委員会委員長などが認証官に含まれます。


 こうした役職に就いた人々を任命する儀式を「認証官任命式」といいます。年によって人数の違いはありますが、年間を通じて、一〇〇人前後の認証官を任命します。


 たとえば、衆議院を解散して総選挙が行われたあとには、新しい内閣が誕生します。そうすると、認証官任命式が開かれるわけです。


 憲法第六条第一項には、「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」とあります。


 実際の内閣総理大臣親任式(任命の儀式)も、この決まりをなぞるように行われます。まず、衆参両院議長が皇居の中にある宮殿に来て、「国会で○○○○を内閣総理大臣に指名いたしました」と天皇に報告します。その次には、前総理大臣が来て、「○○○○を新しい内閣総理大臣として任命していただきたい」と言うと、天皇は新しい内閣総理大臣の辞令に署名され、侍従職の職員が(ぎよ)()(天皇の公印)()して、「親任式」が行われるのです。


 親任式では、新しい内閣総理大臣に指名された者が陛下の前に進み、陛下から「内閣総理大臣に任命します」というお言葉をいただきます。ここでようやく新しい内閣総理大臣が誕生したことになるわけです。


 では、その他の国務大臣は誰が任命するのでしょうか。憲法では「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する」と決められています。つまり、天皇は内閣総理大臣を任命し、内閣総理大臣は国務大臣を任命するというしくみになっているのですね。


 そこで、総理大臣の任命が終わると、それぞれの閣僚に対する認証官任命式が行われ、天皇の前で、内閣総理大臣から各閣僚に辞令が手渡されます。このとき、陛下からは、一人一人に「重任、ご苦労に思います」というお言葉があります。



各国の大使を認証する信任状捧呈式



 第一章『天皇は日本の「国家元首」となるのか?』の項で取り上げた「信任状捧呈式」も、天皇の重要な国事行為です。

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