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相続&遺言ノート
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08 遺言書を書こう

『相続&遺言ノート』
[著]税理士法人和 [著] 司法書士法人グループ・グローバルグループ [発行]すばる舎


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様式を満たせば
財産を自分の意思に沿って処分できる
08-1 遺言書の種類、遺言執行者の仕事
1. 遺言とは

 被相続人が亡くなった場合、原則として法定相続人が法定相続分を相続することが民法に定められていますが、この原則は、被相続人が意思表示をすることで変更できます。

 この意思表示を「遺言」といいます。

 「自分の財産は自分で処分する」という希望を最も簡単に実現できる手段といえます。遺言は満15歳以上で意思能力があれば誰でもつくることができます。

 遺言制度の優れている点としては、以下の点が挙げられます。
(1)本人の意思が尊重される、思いを託せる、要望希望を反映させることができ、相続人以外にも財産を承継させることができる。
(2)相続トラブルを未然に防ぎ、余計な争いを避けられる。
(3)遺言は作成後も変更、修正もしくは撤回ができる(ただし、前の遺言において相反しない限りは前の遺言も有効となる)。
(4)遺言執行者をおくことで手続きをスムーズに遂行できる。

 相続は被相続人の財産を承継するものなので、被相続人が自分の財産の行方について生前に意思があればその意思が尊重されるのは当然です。しかし、その意思は本人の死亡後についてのことなので、民法では遺言に規定を設け、定められた方式に従った遺言がなされている限り、その内容の実現を法的に保障しているのです。
2. 普通の方式による遺言

 遺言の方式には、大きく分けて「普通の方式」による遺言と「特別の方式」による遺言の2 種類があります。

 後者の「特別の方式」による遺言というのは、たとえば疾病その他の理由で死亡の危険が迫った場合や、船に乗っているときなどに遺言をする方式を定めたものとなっています。ここでは前者の「普通の方式」による遺言について説明します。

 「普通の方式」による遺言には、つぎの3 種類があります。

 ①自筆証書遺言

 ②公正証書遺言

 ③秘密証書遺言

 民法はそれぞれについて方式を定めていますが、メリット・デメリットはさまざまです。


(1)自筆証書遺言

 最も簡単な方法でつくれるのが、この自筆証書遺言です。遺言の全文、日付および氏名を自分で書いて、押印するだけでよいとされています。

 遺言者が自分1人で遺言を作成することができて、特別の費用もかからず、さらに遺言の存在自体を秘密にできる、といったメリットがあります。他方で、せっかく作成した遺言を紛失する、偽造、変造されるおそれや、方式違反として無効とされる場合も多く、相続開始後に出てきた遺言の真偽をめぐって相続人間での争いが生じやすいというデメリットがあります。簡単につくれますが、普通の方式による3種類の遺言のなかでは最も慎重につくらなくてはいけない遺言ともいえるでしょう。

 この自筆証書遺言作成のポイントとしては、「自書」「日付」「押印」が挙げられます。
①自書

 必ず遺言者本人が遺言の全文を書いてください。パソコンやワープロでつくったものは有効とは認められませんので、気をつけましょう。また、「自書」は自筆で筆記する能力がないとできませんから、遺言者本人が文字を書けない場合には自筆証書遺言をつくることはできません。この場合は後述する公正証書遺言の利用を検討してみてください。
②日付

 遺言がつくられた時期を明確にするために、日付をしっかりと書きましょう。暦の上で日付を特定できればよいので、「60 歳の誕生日」とか「還暦の日」という記載でも有効です。これに対し、「平成23年8月吉日」のように日付の特定ができないものは無効とされますから、注意が必要です。
③押印

 遺言者の同一性と真意に基づいてつくられた遺言であるということを示すために、押印が必要です。ただし、実印が求められているわけではなく、認印、三文判でも問題ありません。過去には押印ではなく拇印であっても遺言は有効であるとした裁判例もあります。
※共同遺言の禁止

 遺言作成に当たって気をつけなければならない点として、「共同遺言の禁止」があります。

 遺言は「被相続人の最後の意思」ですから、内容が他人の意思に左右されるようなことがあってはいけません。また、共同で作成すると、その後に一方だけで自由に内容を取り消すことができなくなってしまいます。そういった理由から、2人以上が共同でつくった遺言は無効とされています。この「共同遺言の禁止」は、自筆証書遺言に限らず、公正証書遺言、秘密証書遺言についても同様です。
(2)公正証書遺言

 最も信頼性の高い遺言といえるのが、この公正証書遺言です。この遺言は、遺言者が証人2人の立会いのもとで遺言の趣旨を公証人に伝え、公証人がこれを筆記し、遺言者および証人に読み聞かせて(または閲覧させて)作成するものです。

 公正証書遺言は、公証人の面前で作成し、作成後、遺言の原本は公証役場に保管されるので、偽造や変造、紛失といった心配がありませんし、法律専門家である公証人が関与するので遺言の効力が問題になる危険性も少ないといったメリットがあります。

 デメリットとしては、公証人や証人に内容まで知られてしまうことや、手続きが面倒、公証人への手数料がかかる、といった点が挙げられますが、近年は利用が増えています。

 公正証書遺言の作成に立ち会う「証人」というのは、遺言者が本人であり、遺言者自身の意思に基づいて公証人へ遺言の内容を伝えていること、公証人による筆記が正確であることなどを確認する人のことです。

 未成年者や推定相続人、受遺者、公証人の関係者といった人は、証人になることができません。

 公正証書遺言のメリットとして、ほかに口がきけない人・耳が聞こえない人も遺言が可能なことが挙げられます。

 口がきけない人の場合は、公証人および証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述、または自書することで、公証人への遺言内容の口授に代えることができます。

 耳が聞こえない人の場合は、公証人による筆記内容の閲覧や、公証人による読み聞かせに代えて通訳人による通訳によって遺言の内容確認を行なうことも可能です。
(3)秘密証書遺言

 自筆証書遺言と公正証書遺言のほかに、普通の方式による遺言として民法に規定されているのが、この秘密証書遺言です。公証人1人と証人2人以上が関与するのは公正証書遺言と同じですが、遺言の存在のみを公証人と証人の前で明らかにしておき、内容は秘密にしておく、という方式の遺言です。利用の少ない制度です。

 手続きとしては、つぎの流れになります。
①遺言者が遺言書に署名・押印し、それを封じたうえで遺言書に押印したものと同じ印章で封印する。
②公証人1人と証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨ならびに遺言書の筆者の氏名および住所を述べる。
③公証人がその遺言書が提出された日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともに署名・押印する。


3. 加除・訂正や撤回について
(1)遺言の検認

 相続開始によって遺言の効力が生じた場合に、遺言の内容を実現させるためには、公正証書遺言を除き、家庭裁判所で検認という手続きを経なければなりません。

 検認は、遺言の現状を確認し、変造や偽造を防止する、一種の証拠保全手続きです。通常、どのような筆記用具でどの紙に何が書かれ、署名や押印はどうなっているのかといった点を記録しておきます。なお検認は、遺言が遺言者の真意に基づくものかどうかなど、遺言の有効性を判定する手続きではありません。この手続きを怠ると罰金が課せられたり、遺言通りの不動産の名義変更の登記手続が通りませんので要注意です。
(2)加除・訂正の仕方

 遺言の内容に関して加除その他の変更をするには、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記してこれに署名し、さらにその変更した箇所に押印が必要とされています。

 一般に文章を訂正する際には、訂正箇所または欄外に印を押すこと(いわゆる訂正印や捨印といったもの)が多いと思いますが、遺言における加除・訂正にはより厳格な方法が必要になる点に注意してください。
(3)遺言の撤回

 いったん遺言を作成しても、遺言者の気が変わることもあります。そういった場合には、遺言の撤回が認められています。

 遺言者は、①いつでも自由に、②遺言の方式に従って(もとの遺言の方式に従う必要はありません)、③遺言の一部または全部を撤回できる、のです。

 具体的には、①前の遺言を撤回する旨の遺言を新たに作成する、②新たに遺言をつくって、前の遺言と抵触する部分については前の遺言が撤回されたものとみなされる、③生前に遺言に反して財産を処分する(これも遺言と抵触する部分について、遺言が撤回されたものとみなされる)、といった手段が考えられます。
4. 遺言執行者

 遺言は生前に本人が書くものですが、その効力が発生するのは本人が死亡した時点からです。

 そこで、民法はこの遺言の内容を実現させる行為(=「遺言の執行」といいます)をするために、「遺言執行者」というものを設けています。

 遺言執行者は、遺言の効力の発生時(つまり本人が亡くなったとき)以後、具体的に実現する人です。遺言書に書かれている内容に沿って、相続人の代理人として相続財産を管理し、名義変更等の各種手続きを行ないます。遺言執行者は、相続財産の管理その他、遺言の内容の実現に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
(1)相続人・受遺者に、遺言執行者に就任した旨の通知を出す。
(2)財産目録を作成し、相続人・受遺者へ交付する。
(3)受遺者に対して、遺贈を受ける意思があるかどうか確認する。
(4)遺言による認知があった場合、市町村役場に戸籍の届出をする。
(5)相続人を廃除する旨の遺言があった場合、家庭裁判所に廃除の申立てをする。
(6)自宅等の不動産があるときは、相続登記の手続をする。
(7)銀行預金があれば、払い戻しの手続きをする。
などがその具体的な職務です。

08-2 自筆証書遺言を書いてみよう

 では、どうやって遺言書を書けばいいのか。ここでは、自筆証書遺言の書き方を、サンプルを使って説明していきます。
■作成の流れ
自筆証書遺言の作成は、いたってシンプルです。
(1)紙とペンを用意します。
(2)上記のサンプルを参考に、遺言の内容を記入します。
(3)書き終わったら、最後に日付と住所・氏名を記入の上、押印します。
(4)封筒に入れて、封をして保管しておきます。


08-3 遺言書の文例

 自分の財産は残された妻にすべて相続させたい、という遺言も可能です。上記のように「一切の財産を」相続させると記載すればよいのです。同様に、子にすべてを相続させることも可能です。ただし、その場合は「遺留分」に注意が必要です。




 相続させる財産も人それぞれですが、「誰に」「何を」相続させるのかをまずは明確に記載しましょう。

 上記の例だと、長男は仙台市の土地と建物、および株式会社△△商事の株式を250株、長女は遺言者名義の財産のうち銀行預金を相続することになっています。

 財産の種類によって記載方法が異なっていますが、遺言者名義の財産を特定するうえで重要な事項を、しっかりと記載しています。

 不動産の場合、「自宅」とか「宮城県の土地」では特定が不十分とされており、不動産の名義変更(相続登記)をする際に遺言が使えない可能性があります。記載例のように、「所在・地番(家屋番号)・地目(種類・構造)・地積(床面積)」までしっかりと記載しましょう。



 遺言によって、相続人ではない人(内縁の妻、子が生存中の場合の孫など)に財産を引き継がせることも可能です。その場合は、「相続」ではなく「遺贈」という言葉を使います。注意してください。

 遺贈で相続人以外の第三者が財産を取得した場合、のちに相続人とのあいだで遺留分の問題が生じるおそれがあります。相続人が存在するのであれば、遺留分について手当しておくことも重要になってきます。この例では、遺言者は同居している内縁の妻に自宅不動産を遺贈し、その代わりに長男に遺留分に相当する額の銀行預金を相続させることで事後の紛争を防ぐ配慮をしています。

 なお、相続人以外の第三者に遺贈する場合、遺言書中の第三者の記載は誰が見てもその人であるとわかるように、氏名だけでなく、生年月日なども記載し、詳しく特定しておいたほうがよいでしょう。



 遺贈先は、法人などの団体でもかまいません。慈善団体にすべて寄付したい、ということも可能です。

 寄付先に寄付を受け入れてもらえるか、受け入れてもらえる場合は使途を指定することもできるのかなどを事前に確認しておくほうがよいでしょう。

 このような寄付の場合、不動産等の財産をそのまま寄付するよりも、現金で寄付したほうが受ける側の事情に適していることが多いようです。例も、財産をすべて換価し現金で寄付をする場合を想定しています。また、寄付の場合は、遺言で遺言執行者を指定しておいたほうが手続きがスムーズに進むでしょう。



 祭祀主宰者とは、お墓や仏具といった祭祀財産を引き継いで先祖の供養をする人のことです。

 現在の民法においては、お墓などは相続財産に含まれないものとされていて、相続人が当然に承継する財産とはなりません。祭祀主宰者が単独で祭祀財産を承継することになります。

 祭祀主宰者は生前に決めておいたり、慣習によって決まったりしますが、この遺言の例のように、遺言で指定することも可能です。なお、祭祀主宰者になるからといってその人の相続分が増えるわけではないですし、親族以外の人を祭祀主宰者に指定することも可能です。

08-4 遺言書はどこに保管すればいいのか

 人目につきやすいところに保管しておくと、生前に家族に内容を見られてしまう可能性があります。といって、まったく人目につかないような場所に保管しておくと、こんどは遺言書そのものが発見されない、ということになりかねません。

 公正証書遺言であれば、原本は公証役場で保管されていますから、そういった危険性は低いのですが、自筆証書遺言の場合、原本が紛失・毀損されてしまえば、遺言内容が実現できなくなってしまいます。

 それだけに保管場所をどうするかが重要になってきますが、自宅内なら、①金庫、②タンス、③仏壇、自宅外であれば、①銀行の貸金庫、②遺言執行者、③専門家(弁護士・司法書士・施設など)、④友人に預けておくといったところでしょうか。

 保管方法に関してとくに制限はありません。

 第三者に預けて中身を見られてしまうリスクと、自身で管理するリスクをよく検討したうえで、自身に最も適していると思われる方法を選択ください。

08-5 公正証書遺言の作成方法
1. 依頼から公正証書遺言ができるまで


2. どこの公証役場で作成すればよいのか

 遺言者自身が公証役場に出向いて公証人に公正証書遺言を作成してもらう場合は、どこの公証役場でも手続きすることができます。

 遺言者の身体が不自由であったり、入院中だったりして公証役場に出向くことができない場合には、公証人に出張してもらうことも可能ですが、その場合には遺言者の所在地と同一の都道府県内の公証人でなければなりません。
3. 手数料

 それぞれの相続人・受遺者ごとに、相続させる遺贈する財産の価額によって目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定します。その合計額がその証書の手数料額となります。遺言書作成の場合には、遺言加算手数料(1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は1 万1,000 円)が加わります。

 公証人が出張して遺言公正証書を作成する場合には、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに遺言加算手数料を加えます。このほかに、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1 万円)が必要になります。


4. 公証役場へ行くときに持参するもの
(1)遺言者の印鑑証明書1 通
(2)遺言者の実印
(3)遺言者と相続人との関係、相続人の現在の氏がわかる戸籍謄本
(4)財産を相続人以外の人に遺贈する場合は、その人の住民票
(5)相続させる、または遺贈する財産に応じた書類

 ①不動産の場合は、登記簿謄本及び固定資産評価証明書

 ②銀行預金の場合は、預金通帳

 ③上記以外の財産の場合は、それらを記載したメモ
(6)証人2 人の住所、氏名、生年月日、職業を記載したメモ
(7)証人各人の認印

 上記はあくまでも一般的な必要書類です。実際には公証役場に確認をとったうえで用意してください。

08-6 遺言執行者を決めておく

 遺言の執行は相続人自身が行なってもよく、遺言執行者の選任が不可欠なわけではありません。

 しかし、子の認知、相続人の廃除ならびにその取消しを行なうには、遺言執行者を置かなければならないとされています。

 遺言執行者は親族が就任しなくてはならないものではなく、弁護士や司法書士といった法律家もなることができます。

 遺言書の内容をスムーズに実現させるためにも、遺言執行者を生前に決めておくことをお勧めします。

 なお、未成年者と破産者は遺言執行者にはなれません。

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