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(2021/11/26 追記)

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私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音
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くらし
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あとがき

『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』
[著]姫野桂 [監修]五十嵐良雄(メディカルケア大手町 院長) [発行]イースト・プレス


読了目安時間:5分
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「はぁっ!? なんでこんなに税金が高いの!?


 ある日、区から届いた区民税と国民健康保険料のとんでもない額の通知書に絶句した。たしかに昨年より売上は増えたけど、ここまで高くなるものなのだろうか。国にこんなにおカネを搾取されては生きていけない。もしかして、確定申告時に間違えてしまったのだろうか……。


 そこで、フリーランス歴30年以上の父に、区からの税金の通知書と昨年度の確定申告の控えをPDFで送って確認してもらったところ、大幅に間違えていた。私はここ数年ずっと、国に税金を納めすぎていたことが分かった。


 確定申告は毎年、ネットで調べながらなんとか自力で作成し、税務署に郵送していた。自分ではきちんと申告できていると思っていた。しかし、間違っていた。すぐに税務署に電話をかけた。修正をしたいと言うと、国税庁のホームページから修正できる欄があると言われ、修正して再び郵送した。これで当初より還付金が増えるし、税金も減るし、一件落着。そのときはそう思っていた。


 それから約1週間後、税務署から未納だった還付金が入るという通知書が届いた。そう言えば、修正した確定申告書はどうなったのだろう。そろそろ向こうに書類が届いて処理が進んでいる頃ではなかろうか。

「あの、はっきり言いますとこのままだとちょっと厳しいです……」


 電話口で申し訳なさそうに税務署の男性職員が言う。そして、その職員の指示に従い、再度修正をすることになった。国税庁のホームページにアクセスし、修正申告のページへ飛ぶ。電話口で言われたとおりの欄に、言われたとおりの額を記入していく。しかし、職員が説明している画面が表示されなかったり、エラーが出てしまったりということが何度も続いた。記入欄がたくさんあるので、記入に時間もかかるが、職員は辛抱強く待ってくれている。ようやく全部記入が終わり、さあこれで正しい還付金の額が出る! と思いながら「計算」をクリックすると、還付金額が250万円以上というありえない数字が表示された。

「もうこちらで、収支内訳書と前回送っていただいた申告書をもとに作成しますんで! こっちで作ったものをお送りするので、捺印して再度郵送してください!」


 職員は呆れたようにそう言い放った。きっと税務署には確定申告の仕方がまったくわからない人や、クレーマーのような人も訪れるはずだ。そんな人と日々接しているであろう税務署の人をお手上げ状態にさせてしまうとは、私はなんとアホなんだろうか……。おそらく、LDで数字を扱うこと自体が苦手なのと、ADHDの不注意で記入ミスなどがあり、このような結果になったと思われる。


 他のフリーランスの人もヒィヒィ言いながらではあるが、きちんとこなしている確定申告をできなかったことにショックを受けた。しかし、会社員時代はこれが毎日のことだったと思い出した。ライターの仕事をはじめてからは、「自分は仕事ができない」と感じることは極端に減ったので(もちろんたまに失敗はある)、久しぶりの敗北感に打ちひしがれた。


 自分ができないことは専門の人に任せよう。そう決意し、税理士探しをはじめた。税理士に確定申告を依頼しているというライター仲間数名に連絡し、税理士情報を収集。そして、いろんな税理士の情報を総合した結果、業界歴30年以上のベテランライターのYさんが依頼している税理士を紹介してもらうことにした。

「我々は普通の人とは違うんだから、そういうライターを多く抱えている税理士さんがいいよ。俺の周りだと、A山さんにB田さん、C本さんとD谷さんもこの税理士さんが担当してる」


 たしかに、Yさんが挙げたライター陣は、少し特殊なジャンルの取材を行っている人ばかりだ。

“我々は普通の人とは違う”


 Yさんが言ったこの言葉が頭の中でリフレインする。私にはできること・できないことの差が大きいから、普通の人とは違う。改めてこの事実を受け入れることにした。


 これからもきっとまた、できないことに出会い、そのたび落ち込むと思う。でも、こうやって文章を書いて生計を立てられたり、適切な環境と愛情をもって猫を飼育できていたりと、できることもある。できることに自信を持ちつつ、できないことは今後も対策と工夫を重ねていきたい。



 最後に、本書を出すにあたり、かかわっていただいたすべての方に感謝いたします。


 インタビュー取材にご協力いただいた当事者の皆様、当事者のオフ会などでお話させていただいた皆様、連載の感想を送っていただいた読者の方々、監修していただいたメディカルケア大手町の院長・五十嵐良雄先生、心療内科の主治医と看護師さん、臨床心理士の先生、テープ起こしを手伝ってくれたライター仲間の谷口さん、安里さん、松嶋さん、デザイナーのアルビレオ草苅さん、フォトグラファーのMEGUMIさん、推薦文を寄せていただいた雨宮処凛さん、「東洋経済ONLINE」担当編集の武政さん、この本の担当編集のイースト・プレスの圓尾さん、そして、ここまで読んでいただいた読者のみなさん、ありがとうございました。


 多くの方が抱える、さまざまな種類の生きづらさが、少しでもやわらぎますように。

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