このごろ、人々の話す声がおしなべて大きくなった。
耳の遠い人は大声になるものだが、みんな仲よくどこか耳に故障ができたのかもしれない。
廊下へもれてくる声をきいて、てっきりケンカだと思って部屋へ入ると、みんなが勝手に発言している。ただの会合だった、というようなこともある。
駅のホームで、後ろ姿の女の人が何か叫んだから、どうしたのかと見ると、電話をかけているのだった。ごく平和な話だったらしかったが、声は緊急事態を告げる調子だった。おもしろくない、うるさい、と思う人はないらしい。
このごろの女性は男よりも声が大きいのではあるまいか。