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(2021/11/26 追記)

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定年からが面白い
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生き方・教養
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1 定年を迎える

『定年からが面白い』
[著]小林淳宏 [発行]PHP研究所


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 第二就職を拒否して自由人に


 給与生活者の多くは定年後の生活をいろいろ考える。

 考える内容はさまざまだ。それまで毎月銀行振り込みで入っていた給与が無くなる。その後の生活をどうして維持するか。これが最大の問題だろう。

 元の会社になんらかの形で残る。子会社に行く。全く別の第二就職をする。自分で会社をつくる。商売を始める。先生になる。評論家になる。形は違うが、いずれも働くことに変わりはない。悠々自適の生活に入ろうとする人は少ないだろう。私はその数少ない「悠々自適」の道を選ぶことを決めていた。

 しかし貯金や財産がふんだんにあったからではない。

 私は戦争末期(昭和二十年)に軍隊に入った。この時は命を日本に捧げる覚悟をした。死にたくはない。しかし兵隊にとられた以上、日増しに敗色を濃くしていた祖国のため戦って死ぬのはやむを得ない。運命論的あきらめの上で、とにかく日本のため死ぬ覚悟をしていた。

 敗戦後は同世代のみんなと同じように働きに働き、働きまくってきた。そしてあのどん底の日本は世界第二の経済大国になった。もう祖国日本への御奉公はいいだろう。定年で会社と縁が切れるのをチャンスに、これからは会社のためとか、社会のためとか、日本や世界のためなど、他者(たしや)のためではなく、自分自身のために生きて行こう。それだけのわがままは許されるはずだ。定年を迎える私はこのように考えていた。

 だから私の定年後の理想は、就職しないで自由人になることだった。

 しかし、これには多くの人が反論するだろう。
「だれだってそうしたい。それでは飯を食えないからみんな第二就職するんじゃないか」
「定年後みんなぶらぶら遊び出したら日本はどうなるんだ。日本経済は衰亡するではないか」
「定年後、家にごろごろしていたんでは家族から邪魔者扱いされる。第一、生きがいがなくなるだろう」

 一々ごもっともである。私はこういう反論に対して論争するつもりはない。

 人にはそれぞれの生き方がある。私にとって「定年」は「引退」であり、第二就職など少しも考えなかった。

 それに勤めていた会社の時事通信社では、定年時に私は一般社員と違って商法上「使用主」である経営者の一人の役員になっていた。経営者は在職中に第二の就職運動をすべきでない。これは株主に対するモラルであると信じていた。
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