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(2021/11/26 追記)

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定年からが面白い
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生き方・教養
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2 引退生活の喜び

『定年からが面白い』
[著]小林淳宏 [発行]PHP研究所


読了目安時間:12分
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 ピタリと消えた下痢症状


 昭和五十九年七月から私は自由人になった。この時の感じをせんじつめれば「解放された」という思いであろう。これは、戦争に負け、軍隊から除隊した時を思い出させた。
「これで死なずにすむ」と四十年昔には考えた。今度は「これで通勤電車に乗らないですむ」という実感を毎朝かみしめることになった。

 引退生活に入るや否や肉体的大変化が起きた。それは下痢という症状がぴたりと影をひそめたことだ。

 私は昭和四十六年暮、長年の欧州特派員生活を終えて帰国し、初めて管理職というものに就いた。それを十三年続けて引退したのだが、この間の半分近くは、下痢にとりつかれていた。原因は二つである。

 第一は深酒とこれに伴う睡眠不足

 第二はストレス

 この症状の困るのは、朝のバスに乗ってから始まることだ。三つ目の終点の鶴見で降り、国電の駅でトイレにかけ込む。「大」は二つしかなく、たいていふさがっている。空くのを待つ苦しみに何百回耐えたことだろう。

 電車に乗ってから症状を催すことも多かった。だから通勤途上の鶴見―川崎―蒲田―大森……と各駅のトイレの所在はもちろんのこと、その混み具合からトイレの壁や扉のどこにどんな落書きがあるかまで詳細に頭に入っていたほどだ。

 ところが引退したらすぐさま、この症状は完全に消えた。胃腸の調子が大変いい。これでますます私の解放感は強まり、さらに「これだと長生きする」と確信するようにもなった。


 爽快にして充実した日々


 引退生活に入った私の一日は、囲碁、エレクトーン、ゴルフでつぶれた。このどれも好きで好きでたまらないものばかりだった。その三つの全部で毎日を過ごして行ける。それは現役時代には夢のまた夢だった。それが現実となったのだ。

 まず朝、目が覚めると、モリモリと体内から力があふれ出し、
「よし、今日も頑張るぞ

 と勢いよくベッドを離れる。午前三時が標準の起床時刻なので、家人の眠りを妨げないように忍び足で一階に降りて行くものの、胸の中は今日一日への期待と希望でふくらみにふくらんでいく。

 この朝の目覚めが現役時代と違った理由はもう一つある。引退してからは飲み相手がいないので、夕食時にウイスキーをボトルの四分の一飲むという定量を簡単に守ることができた。
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