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(2021/11/26 追記)

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定年からが面白い
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生き方・教養
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12 ルンルン気分のお正月

『定年からが面白い』
[著]小林淳宏 [発行]PHP研究所


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 演奏速度アップの難題


 定年退職したら万年3級であえいでいた私は二カ月ちょっとで2級になり、さらに一カ月少したった暮には1級にトントンと昇った。ルンルン気分で正月を迎えたのはいうまでもない。

 引退後の初正月はさらに特筆すべき幸福を私にもたらした。これは引退しなければ味わえないことだった。

 現役の最後の四年間、私は毎年正月は急性胃かいようになり、一週間はおかゆと梅干しで過ごしていた。忘年会のたたりが一挙に正月になって現れたのだった。私は、酒が好きで人間が好きで、交際がまた好きときている。だから忘年会シーズンになると胃の負担が自然に積み重なっていく。無給の社長を兼務していた子会社が二つあり、その他の団体の役員もしていた。その忘年会を全部こなしたばかりか、二次会から三次会までつき合っていたのだから胃がおかしくなるのは当然だった。

 正月休みに入って気が弛むと忘年会のツケが胃にくるのだ。一週間はオカユ、一カ月は禁酒、というのが現役最後の四年間繰り返したパターンである。だが私の胃は元来強靱に出来ている。一度は吐血したけれども医者には行かなかった。自分勝手に「急性胃かいよう」と診断し、「一カ月禁酒すれば必ず完治する」という処方箋を書いてきた。結果はその通りで“完治”してきたのだが、こんなことを毎年繰り返していればそのうち本物の胃かいようか、もしかしたら胃ガンになるかもしれないという不安をチラチラ感じていた。

 引退したら忘年会がばったり無くなった。私は毎晩ウイスキーをボトルの四分の一飲むことにしており、この定量さえ守っていれば胃の調子は非常にいい。忘年会ゼロの年を初めて送ったら今度はオカユと縁の無い普通の正月をやっと迎えることができた。
「引退してよかったなあ」

 としみじみ思いながら、今度は二年目のエスパス・ジローでの発表会の準備のピッチを上げていった。


 ヤクルト・ホールで「ラ・クンパルシータ」を演奏した私はすぐさま大坪先生に、
「次は『オリーブの首飾り』をやります」

 と報告し、指導を受けていた。楽譜は今回も道志郎先生編曲のプロの演奏会用だ。レコードになっている。このレコードの他に斎藤英美先生のレコードも探し出した。
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