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(2021/11/26 追記)

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定年からが面白い
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生き方・教養
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文庫版へのあとがき

『定年からが面白い』
[著]小林淳宏 [発行]PHP研究所


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 この本を書いた時は昭和六十三年、六十三歳だった。現在七十歳。この七年間、私に起きた変化を御報告する。

 本書の原稿を書き終えた後八十八歳の義母が亡くなった。葬式をすませ、四国遍路に出たのが七月十日である。完全徒歩を四十一日間続け、巡礼を終えた(この記録は『定年からは同行二人』の題でPHP文庫に収められている)。

 平成元年、新設の名古屋明徳短期大学(女子)に再就職。新幹線で新横浜から名古屋に行き、ホテルに二泊、授業を三日間行って横浜へ帰宅する生活が始まった。「気に入らない再就職はしない」といって貧乏な無職生活を約五年間続けた私にとって、新職場は理想的である。貧乏ともお別れになった。

 教師となって有難いのは、長い休みのあることだ。平成二年の夏休み、いよいよ子供の時からの夢だった富士登山に出かけた。横浜鶴見の自宅から歩き出し、吉田口から登山開始、須走に下り、東海道を歩いて帰宅。完全徒歩で十一日間かかった。現在、毎週乗る新幹線から富士山を仰ぎ見る度に、なんともいえない満足感にひたっている。

 長年の夢だった四国遍路と富士登山をすませたとたんに、「今度は日本一周だ」という考えがひらめいた。

「夏休み、一カ月歩く」ことにし、平成三年、新潟を起点に西回りを始めた。初年度は琵琶湖まで、二年目の平成四年は松江まで、三年目の平成五年は佐賀まで、四年目の昨年(平成六年)は九州を一周した。三年目には豪雨続きに見舞われ、しかたなしに列車に乗った。この頃から、日本と日本文学の歴史探求に重点が移ってきた。この結果、必要な時は交通機関を利用することにし、昨年はJR九州周遊券を使った。徒歩主体の日本歴史探訪が、私のライフワークになりそうである。

 心情的には日本回帰一筋なのだが、仕事の上では海外から抜け出せない。平成六年から女子学生二十人以上を連れて三月に二週間、オーストラリアで現地演習する計画が始まった。これが第二定年の七十五歳まで、あと五年続く。私生活では、本書に登場している息子と娘はそれぞれ結婚して家を出ており、妻と二人きりという典型的老人生活を送っている。

 教師という現役に復帰したので趣味は二の次にし、書道、エレクトーン、テレビでの碁観賞を細々と続けていることを報告しなければならない。趣味没頭は、第二定年後の楽しみにとっておくつもりでいる。

 第一定年で全く予想しなかった変化は、女子短大に就職したこと。女子学生を連れて毎年オーストラリアに行くこと。日本分割一周旅行を始めたこと。日本と日本文学の歴史探求に関心が集中してきたことの四点である。いずれも七十歳の私をわくわくさせる変化だった。災難や不幸に見舞われたことを報告せずにすむことに感謝したい。


 平成七年四月初旬
 
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