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自立と依存の心理
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生き方・教養
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第2章 「依存と恐れ」が生きるのを辛くする

『自立と依存の心理』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


読了目安時間:25分
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大人の世界に無条件の愛は持ち込まない


 この母親に愛されているという経験は受け身の経験である。そこには愛されるために自分がしなければならないことは何一つない。

 母親の愛は無条件なのである。自分がしなければならないことは「であること」、つまり「彼女の子ども『であること』」に尽きるのである。
「母親の愛は至福であり、平和であり、獲得される必要はなく、それに報いる必要もな((註))

 母なるものに接しているときとは、どういうときか? 何かをしてもらいながら気が引けなくてもいい心理状態のときである。

 何をしてもらっても、そのお返しをしなくてもいいときである。いろいろのことをしてもらいながら恐縮しなくてもいい心理状態のことである。

 安心して何かをしてもらえる。それはギブ・アンド・テイクの関係ではない。一方的に与えられても何も負い目を感じなくていいという関係である。

 自分にいろいろと与えていることが相手にとっても幸せだとこちらが確信している心理状態である。私を愛することが相手にとっての最大の幸せと私が信じている。それが母なるものと接しているときの感覚である。
「もし母の愛がそこにあるならば、それは祝福のようなものである。またもしそれがそこにないならば、人生のあらゆるよいものは消え去ってしまったようなものだ──そこには私が自分で創りうるものはなにもないのであ((註))

 大人の世界ではそれはないし、あってはならないことである。大人の世界にこれが持ち込まれれば善良な人は搾取タイプの人の餌食(えじき)になる。


 では、「保護と確実性を与える最初の化身である」母親とは具体的にはどういう母親であろうか。
「お母さんにおむつを換えてもらった」と赤ん坊が思ったときは、それは「保護と確実性を与える最初の化身である」母親ではない。母親という名の保母さんである。
「保護と確実性を与える最初の化身である」母親は空気のようなものである。何かをしてもらいながら何かをしてもらっていると意識していない。

 よその家に行き、何かをしてもらえば、おばちゃんにしてもらったと分かる。
「保護と確実性を与える最初の化身である」母親の愛とは、こちらが「申し訳ない」と意識しないものである。

 子どもは「あー、これが愛だ」と実感しないものである。この人なら気が引けることなく甘えられるという感覚である。

 気がつかないでわがままを言っている。

 もちろん大人になれば「あー、これが愛だ」と実感することはあるだろう。


 子どもを成長させる場合には母親と子どもの間に信頼関係が成り立っている。

 母親と自分の間に壁がない。人は壁を感じたときに「偉大な愛」の演説を始める。壁がなくなったときが本当の母親の愛なのである。

 お互いにお互いを愛していると意識していないで、相手を愛し、自分を愛し、わがままを言っている。母なるものを持った母親の愛とは、そんな愛である。

 それは「これはジャガイモですね」と確認して食べているのではない。そんなジャガイモの食べ方である。
「近親相姦的固着の病理は、明らかに退行段階のものであ((註))

文句は言っても解決の意志はない人たち


 うつ病者も母親固着から離れられないのである。うつ病者は母なるものを持った母親の愛を知らない。その愛の体験がないままに力尽きてしまったのである。

 うつ病の権威者アーロン・ベックはうつ病患者の特徴的な動機として退行的性質を挙げてい((註))

 こういう動機を持っている人にとっては、大人の仕事は辛い。

 退行動機で行動した者が、それを妨害されると深く傷つく。甘えたい気持ちを持つ子どもが何かをしたときに親からもの凄く誉められるだろうと期待していた、ところがその誉め言葉がなかった。

 そのときに子どもは深く傷つく。

 退行願望を持つ者は、さらにリスクは避けたい。だから怖くて自分からは動かない。

 夫は許せない。しかし離婚はしたくない。「誰か夫を変えてくれ」というのが退行願望を持つ者の訴えである。

 彼らは安全確実な母親の胎内にまで退行していきたい。

 長年にわたって深刻に悩んで疲れてしまっている人は、自分で悩みを解決するための行動を起こせない。今のこのままで救ってくれというのが彼らの姿勢である。

 悩みを解決するために「こうしたら」とアドバイスしても決してそうはしない。

 彼らは退行したいので、前向きに行動はできない。


 近親相姦的固着の病理的兆候は「依存と恐れ」が強まり、正気の生活が難しくなることである。そして「理性や客観性と藤す((註))」ようになる。
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