『小笠原流礼法が教える 正しいビジネスマナー』
[著]柴崎直人
[発行]PHP研究所
小笠原流礼法 その九
字頭をわが方へなして参らすべきなり
──名刺や文書は、相手から見てきちんと字が読める向きにして渡す
名刺の正しい渡し方
文書や書籍、名刺など、文字の書いてあるものを渡すやり方がある。
文字の先頭をぐるりと自分に向けて、相手から見てきちんと字が読める向きに回してから渡す、というやり方である。相手が読みやすいように渡そうという心遣いは昔からあったということが分かる。
名刺を渡そうとしたら、怪訝な顔をされた。よく見ると、自分に正面を向けて、逆さに渡してしまっていた。こんな経験はないだろうか。
名刺は自分の分身であり、会社の顔でもある。大事な物と心得て扱うこと。そのため必ず名刺入れに入れて持ち歩く。定期券入れから取り出すようではいけない。必要に応じて内ポケットからすみやかに差し出せるよう準備しておく。これがビジネスパーソンの嗜みというものだ。