読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-2
kiji
0
0
1232793
0
日本人として学んでおきたい世界の宗教
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第一講 風土と宗教

『日本人として学んでおきたい世界の宗教』
[著]呉善花 [発行]PHP研究所


読了目安時間:18分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


講義で採り上げる宗教


 宗教とは何かを一口でいうことはできませんが、ひとまずは、超越的なものを信じ、あの世観(死生観)をもつものとしてとらえておきます。そこには、死後の世界、天国と地獄などについての、民族の違いと共通性があります。なお、ここでの民族はネイション(国民)としての民族ではなく、文化的なエスニシティとしての民族を意味しています。

 この講義では次の三つの宗教について採り上げていきます。


 1 地域や民族の違いが生まれる以前の宗教(宗教のユニバーサリズム)

   ・意識の深層に広がる人類的な共通性とかかわります。

   ・自然信仰と自然信仰以前の宗教性であり、アニミズム、シャーマニズムなどを含みます。講義では日本の神道のところで触れていきます。

 2 地域や民族に根ざした宗教(宗教のローカリズム)

   ・気候・風土・地勢および民族(エスニシティ)の形成とかかわります。

   ・講義では、ユダヤ教、バラモン教、ヒンドゥー教、儒教、日本の神道を採り上げます。儒教は宗教ではありませんが、先祖崇拝にかかわる宗教性が基盤にあるので採り上げます。

 3 地域や民族の違いを超えて広がった宗教(宗教のグローバリズム)

   ・特定の地域に発生しながら、人類的な理念の普遍性とかかわっていきます。

   ・講義ではキリスト教、イスラム教、仏教を採り上げます。

気候風土と精神性・宗教性


 世界の諸宗教にはそれぞれ独自の性格があります。それは、さまざまな歴史的経緯の中で形成されてきたものですが、性格を決定づけている根幹にあるのは、それぞれの宗教が発生した地域の風土、自然環境であると考えられます。

 風土はもともと中国語で、季節の循環に対応する土地の生命力を意味する言葉でした。土地は天から降り注ぐ光や熱や水を受け止めて生命を育んでいきます。人間はみな同じ生を受けながらも、それぞれの土地の生命力に応じて涵養のされ方に違いがあります。中国の古文献『後漢書』(四三二年完成)では、風土は場所ごとに異なる地方差を意味する言葉として使われていました。

 西欧では、気候を意味する climate(英)や Klima(独)が、風土という意味を併せもっています。しかし、近代西洋哲学の関心は風土という土地の空間性(地域性)よりも、時間性(歴史性)に大きく傾いていました。それに対して東洋哲学は、より空間性・場所性に傾いて論じられてきたといえるでしょう。

 地域の自然のあり方──風土は、地域の文化のあり方や地域に生きる人々の気質などに、どれだけの影響をもたらしているものなのでしょうか。このテーマを日本で初めて体系的に論じたのが、和哲郎の『風土』(一九三五年、岩波書店)です。

 和の『風土』では、人間存在の特殊性を風土の側から把握するために、モンスーン的風土(アジア・湿潤)、沙漠的風土(オリエント・乾燥)、牧場的風土(ヨーロッパ・湿潤と乾燥の総合)の三つの類型が提示されています。ここではこの和の『風土』に拠りながら、それぞれの気候風土と民族的な精神性・宗教性との関係を考えていきたいと思います。

三つの気候風土と降水量


 高温多湿なモンスーン・アジアに稲作が、乾燥気候の西アジアで遊牧が、そして温和な温帯気候のヨーロッパに畑作と牧畜を中心とする農業が営まれてきました。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:7433文字/本文:8800文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次