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日本人として学んでおきたい世界の宗教
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生き方・教養
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第五講 イスラム教

『日本人として学んでおきたい世界の宗教』
[著]呉善花 [発行]PHP研究所


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帝国の拡大と交易


 イスラム教(Islam イスラーム)はアラブの預言者ムハンマド(五七〇年頃〜六三二年)が六一〇年に創唱した唯一神教で、西アジア(中東)、アフリカ、インド亜大陸、東南アジアを中心に多数の信者をもっています。「イスラム(イスラーム)」はアラビア語で、「唯一の神アッラーに絶対的に服従すること」を意味します。信者をムスリムといい、「絶対的に服従する者」を意味します。「イスラム」それ自体が宗教名であるので、「教」を付けて呼ぶのは本来からすれば正しくありません。

 ムハンマドはアラビア半島全域にイスラム教を普及させましたが、それは戦争を通しての諸部族権力の統一と歩を一にしています。ムハンマド自身、自ら軍勢を率いて二十六回の戦いを展開しています。ムハンマドは宗教指導者であるとともに、すぐれた軍事的指導者でもあり、外交手腕に長けた政治家でもありました。ムハンマドの死後、弟子たちの指導でイスラム大帝国が築かれ、わずか一世紀の間に中央アジアから北アフリカ、イベリア半島にまで広がりました。十一世紀以降は、アフリカ内陸へ、インドへと広がり、十三世紀以降は貿易を通じて東南アジアにまで広まっていきました。

 当時、アラビア半島に生活していたアラブ人は国家をつくることもなく、民族としてのまとまりもなく、それぞれが血縁関係でつながる部族単位の生活を送っていました。彼らの生業は、ラクダや羊の遊牧、ラクダに荷を乗せて隊を組んで移動する隊商貿易、小規模農業などでした。アラビア半島西側がインド洋と地中海を結ぶ交易ルートでしたので、隊商貿易の商人たちが各地に都市をつくっていました。この地にメッカという隊商貿易で栄えていた町があり、ムハンマドはそこで生まれイスラム教を興しました。

 イスラム教もユダヤ教やキリスト教と同じく沙漠に発した宗教であり、なかでも最も厳格な唯一神信仰の宗教です。イスラム教の背景には、主として「沙漠の隊商」たちの生活があったといえるでしょう。隊商は自己防衛力を備えた武装集団でもあり、行く先々で各地の人々と接触する、グローバルな広域移動集団ともいえました。もともとは、遊牧で得られる乳や肉と農耕で得られる穀物や野菜との食糧交換、あるいは岩塩の交換などから生じたのが、沙漠の交易だったと思われます。

 そうした沙漠の民たちは、潜在的にすべての地域の人々が共通に信仰する唯一の神を求めていたといえるでしょう。イスラム教の普及によって、たとえば商契約では、「唯一の神アッラーの名のもとで約束する」ことで見ず知らずの取引相手との相互信頼が得られるようになりました。

 イスラム教が世界大に拡大していった要因として、武力征服もさることながら、広範な地域にまたがる隊商活動の伝統を挙げることができるでしょう。諸国・諸民族との交易を通してイスラム教は世界に広がっていったのです。

イスラムの聖典


 イスラム教の聖典は『コーラン』(クルアーン)ですが、『コーラン』だけではなく以下の四つの教典を、神が預言者を通じて人類に下した啓示を記した「啓典」(キターブ)として定めています。ちなみにイスラム教ではキリスト教徒、ユダヤ教徒を「啓典の民」と呼んでいます。

 ・ムーサー(モーゼ)に下された『タウラート』(『旧約聖書』の「モーゼ五書」)

 ・ダーウード(ダビデ)に下された『ザブール』(『旧約聖書』の「詩」)

 ・イーサー(イエス)に下された『インジール』(『新約聖書』の四つの「福音書」)

 ・ムハンマドに下された『コーラン』
『コーラン』では、『旧約聖書』は「完全無欠」と、『新約聖書』は「真理を照らす光」と書かれています。そして『コーラン』だけではなく聖書も読めと勧めています。
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