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教科書には載せられない 日本軍の秘密組織
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歴史
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はじめに

『教科書には載せられない 日本軍の秘密組織』
[著]日本軍の謎検証委員会 [発行]彩図社


読了目安時間:4分
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 人が3人寄れば、派閥ができるといわれている。とくに政治の世界において、安定した政権を担うには、派閥による駆け引きも重要だ。


 とはいえ、派閥は何も、同じ意志を持ったメンバーだけで構成されているわけではない。そのつながりは、出身校であったり出身地であったり、もしくは利害関係であったりと様々で、各自が思惑を持っていることが多い。そのため、平時であればまとまりもあるが、いざ事が起きると意見の食い違いで分裂することもあるわけだ。


 そのような事態に、約70年前まで存在した日本軍も陥っていた。


 日本軍部の巨大派閥といえば、薩摩閥と長州閥である。明治維新の立役者である薩長両藩の出身者は、「海の薩摩、陸の長州」といわれるように、陸軍と海軍で住み分けがなされていた。しかし、幕末の同盟時代とは打って変わって、軍部内での派閥抗争を繰り広げていたことも事実。そのために、陸海軍は終戦まで確固とした協力体制を築くことはなく、敗戦の一因にもなったとされている。


 ただ、巨大派閥である薩長閥は、出身地で区別されたに過ぎない。薩摩なら薩摩、長州なら長州なりのイデオロギーは希薄だ。そこで、同じ志を抱いた小派閥も誕生する。それが「王師会」や「桜会」、「一夕会」といった派閥である。これらの中には、派閥抗争に明け暮れる軍上層部に反発し、クーデターまで起こしたところもある。さらに、陸軍省・海軍省の軍政機関と陸軍参謀本部・海軍軍令部といった軍令機関との対立もある。


 つまり、日本軍は決して、一枚岩ではなかった。そして、それぞれがそれぞれの考えで戦争を進めていった結果、責任の所在が曖昧となり、終戦が長引いたともいえる。



 本書は、これらの派閥に加え、様々な日本軍の組織について記した一冊である。とくに、その実態があまり知られていない「特務機関」についても、分かりやすく解説を行っている。


 第一章は、それら、諜報と謀略によって日本を支えた数々の特務機関や、「731部隊」や「516部隊」など、機密の任務を負った組織をとりあげる。


 続く第二章は、先に加えて、陸軍を二分した「皇道派」と「統制派」、海軍の行く末を変えた「艦隊派」と「条約派」、政治の世界まで巻き込んだ「三国同盟推進派」と「対米協調派」といった派閥を紹介。そして、満州を牛耳った「関東軍」、技術開発を担った「登戸研究所」「科学技術研究所」、戦時の最高統帥機関である「大本営」、海軍の「海上護衛総隊」についても説明を行っている。


 第三章は、永田鉄山、石原莞爾、板垣征四郎、服部卓四郎、辻政信、米内光政など、極秘作戦に直面した軍人を紹介。そして第四章では、日本軍が行った情報作戦について解説している。



 一般的に、日本軍は情報戦が苦手だったとされている。情報収集力がアメリカより劣っていたため、ミッドウェー海戦に敗れ、山本五十六司令長官も命を落としたとも考えることができるだろう。しかし、日本軍の諜報能力は決して侮られるようなものではなく、それどころか、実は世界有数の実力を誇っていた。


 にもかかわらず、なぜ「劣っていた」という通説がまかり通るのか。その理由として考えられるのは、せっかくの情報を巧く活用できなかった点にある。諜報部員がどんなにいい情報を提供したとしても、上に立つ軍の作戦将校や組織がその重要性に理解を示さず、作戦遂行に役立てようとしなかったのである。


 戦争は何も、艦艇や航空機、戦車などによる物理的な衝突ばかりで成り立っているのではない。その舞台裏で繰り広げられた「情報戦」や、人脈や情報を駆使して組織をつくり上げ、改革や謀略に取り組んだ人々も、国家の運命を左右する重要な要素なのである。


 本書をお読みいただいた方が、少し違った方向から日本軍を知り、日中戦争や太平洋戦争に関する理解を深めていただけたら、筆者として嬉しい限りである。


2016年6月 日本軍の謎検証委員会

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