生の豊かな感情は、動かないと出てこないものである。日常のなかで感動することが減っていれば、それは「計算して動く」ことはあっても、「感じて動く」ことが少なくなっているからに違いない。その意味で「感動」という感情は、いきいきとして天然の感情をどれだけもっているかの大きな目安となるものである。
映画やテレビドラマで「泣ける話」というのは、最近人気が高いらしい。
「泣ける」とはすなわち、「心から感動できる」ということなのだろうが、こうした感動物語が流行る裏には、実際の生活における感動が少なくなっている事実があると思う。
たしかに世知辛い世の中の景色ばかり見ていると、生活のなかで感動する心の余裕などなくなるのかもしれない。