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暗号に敗れた日本
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歴史
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第六章 ストリップ乱数・「天」暗号・暗号区制

『暗号に敗れた日本』
[著]原勝洋 [著] 北村新三 [発行]PHP研究所


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 日本海軍の利用した暗号はその種類だけでも非常に多く、資料も残らず未知のところも多いが、この章ではとくに乱数の発生に簡単な器具を用いたストリップ乱数、D暗号とは別系統である「天」暗号、暗号区制について紹介する。

六・一 ストリップ乱数と零なしコード



ストリップ暗号

 ストリップ暗号という方式は古くから知られ、米国第三代大統領であったトーマス・ジェファーソンが回転リング式の暗号機(シリンダーサイファー)を作成していた記録がある(文献K‐1)。ストリップ(Strip)とは細長い棒(たとえば箸)のようなものも意味する。この暗号法は、文献M‐1、N‐1に詳しく説明されているので、ここでは簡単に述べよう。

 一本のストリップにアルファベットの二六文字をでたらめな順序で、縦方向に二回繰り返し(計五二文字)書く。もちろん、各ストリップの文字の順はそれぞれ異なっている。

 次に、これらのストリップを縦に並べ、ある横一行がある平文となるように、各ストリップをずらしていく。たとえば、NAVYなら、ある一行に一本目の文字はN、二本目はA、三本目はV、四本目はYを選ぶ。この時、その行以外の行は意味の通じない綴りとなるであろう。そこで、どの行でもよいのであるが、意味のわからない行の綴りを、暗号文として使うのである。暗号文の受信者は、同じ順にストリップを並べ(これは鍵として予め決められている)、送られて来た綴りのようにストリップをずらして、他の行を見ればどこかに意味の通じる平文を発見できる。この方式は、道具としては簡単なものであったが、戦前から戦中、米国の外交や軍事暗号に用いられた。これは換字法の一種であるが、その組み合わせは非常に多く暗号法としては頑強であった。しかし、日本側は開戦前にストリップ暗号による米国外交暗号を読んでいたが、鍵が変更されてからはほとんど成功しなかったとされている(文献K‐2、M‐2、M‐3、N‐1)。

 この際、鍵とは何であろうか。まず、ストリップに記入する文字の配列が一つ目の鍵になる。アルファベット二六文字の場合、それを並べる組み合わせは26の階乗(26×25×……×1)あり、これは膨大な数となる。ストリップを何十本も作成すれば、次の鍵はそのどのストリップを何本選び、さらに選んだストリップをどのように並べるかも鍵になる。結論としてはこれらは膨大な組み合せわ数になる。このことを頭に入れておいて、ここでのストリップ乱数に入る。

ストリップ乱数

 ストリップ暗号にヒントを得たものがストリップ乱数で、昭和一九年一一月一日から、JN25(D暗号系の呂1、図2‐10参照)とJN11(次節の「天」暗号)に使用開始された。これは使い方が相当に複雑になっているが、一度器具を配布しておけば、その記載文字の変更は、紙切れをストリップに貼り替えるだけで済んだから、印刷物の配布よりはずっと楽だったであろう。ストリップ乱数の開発の経緯については文献M‐1に詳しい。以下では、これと呂1ケ3とケ14を参考にしてその概略を紹介する(「ケ」はストリップ乱数を示す海軍記号である)。

 まず、暗号作成者は、乱数盤を用意し、これにストリップを差し込む。盤にはストリップを縦方向に二一本差し込めるようにスロット(溝)が刻まれているが、その最も左のスロットは、転置鍵用のストリップ(文献T‐1にはYAKUHENと書いてある)、その右二〇本は乱数用ストリップ(「乱片」と呼ばれた)のスロットである。

 転置鍵用のストリップには、縦に1から20までの数字が縦方向にでたらめ順に書いてある。
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