本当に指導者になろうとすればノイローゼ患者に気を奪われてはならない。ここでいうノイローゼ患者とはウルフのいっている意味である。彼は「ノイローゼ患者は一〇の特徴を持っている」といっている(『どうしたら幸福になれるか』下巻、周郷博訳、岩波新書)。
そのうちの一つは、人生の意味と社会的な協力についての無知である。彼は利己主義をノイローゼの特徴としている。ノイローゼ患者は奉仕と協力ができない。つまり人といっしょに仕事ができない。このような人間を部下や上司に持つと苦労は多い。生真面目に仕事をしようとすればするほど、そのようなノイローゼ患者は仕事のじゃまになる。