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(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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やさしくわかる!すぐに使える! 「介護施設長&リーダー」の教科書
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くらし
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第5章 忙しい現場を“楽”にする「引き算の運営」

『やさしくわかる!すぐに使える! 「介護施設長&リーダー」の教科書』
[著]糠谷和弘 [発行]PHP研究所


読了目安時間:40分
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01 現場に“引き算”が必要な理由


介護現場は“足し算”だらけ

「施設長、人手が足りないんです。あと1人、パートさんをお願いできませんか?」



 現場にいると、本当によく聞くセリフです。きっとあなたも、日常的にそんな声を聞いていると思います。


 確かに、今はどの施設からも「人手不足」を()()する声が聞かれます。しかし、求人に動く前に、本当にもう1人、採用すべきかを考えてみてほしいと思います。


 というのも、スタッフを増やすことが、かえって現場スタッフの“不幸”を招くケースがあるからです。



 あるデイサービスセンターでのことです。日中、5人のスタッフで運営してきました。しかし、残業が常態化し、スタッフの不満が日に日に大きくなっていたため、施設長は中途スタッフを1人採用し、6人で運営することを決断しました。


 さて、スタッフの業務負担は軽減されたでしょうか?


 答えは「NO」です。これまで、このような事例に何度も(そう)(ぐう)しましたが、「負担が減った」という話は、ほとんど聞いたことがありません。それどころか、また数カ月後には「人が足りません」と言い出すケースすらあります。



 カラクリはこうです。第1章でも触れましたが、スタッフが1人増えた瞬間に「今までできなかったこと」が実行されます


 例えば、散歩の回数を増やしたり、新しいレクを始めたり、おやつの時間に出す飲み物の種類を増やしたり……。こうして1人分の仕事が新たに生まれ、5人分の仕事量だったはずが、(またた)く間に6人分の量になるのです。


 介護士の「お客様に喜んでほしい」「もっとしてあげたい」という“優しい気持ち”は素晴らしいのですが、それが引き金で、サービスが“足し算”になる


 つまり、人手を増やしたことが、より忙しい現場を生み、更なる人手不足を招くのです。

“決断”から“引き算”へ


 何度もお伝えしていますが、売上に上限があるのが介護事業です。当然、「人件費」にも上限があるため、介護事業は限られたスタッフ数で運営しなくてはなりません


 お客様が求めるから、笑顔が見たいからと、サービスを次から次に増やすことは、あってはならないのです。


 むしろ私は“決断”が必要だと思っています。“決断”とは「断つことを決めること」です。


 つまり「やらないことを決めること」が、スタッフの給与を増やし、現場負担を軽減するうえで大事だと思っています。



 これは、前章に書いた「サービスをしぼり、武器をつくる」ことと同じロジックです。


 あれもこれもやるのではなく、“やらないこと(現状維持すること)”を“決断”して、強化するサービスをしぼり、限られた人材、労力を集中させる。この考え方が、あなたには必要なのです。


 ですから、もし残業が常態化しているのなら、人を増やして解決するのではなく、あれもこれもやろうとしていないかをチェックすべきです。



 次に大事なのが“引き算(効率化・短時間化)”です。日常的な人手不足を解消し、現場の負担感を軽減するために、とにかく“引き算”の運営に徹するのです。


 このとき注意したいのは、引き算の対象となるテーマ選びです。間違ったテーマを引き算して、大きな不満につながり、お客様が減っては意味がありません。


 まずは以下のような視点で、その項目を“仕分け”するのがよいでしょう。


<“引き算”するテーマ>

1)バックヤード業務の「時間」と「方法」


  □ 準備  □ 清掃  □ ミーティング・会議


  □ 情報共有・申し送り  □ 記録・データ入力・ファイリング

2)過剰介助・過剰サービスとなっているケア


  □ 残存機能を奪う(過剰な)介助  □ 過剰な安全対策


  □ お客様でもできるサービス(やっていただいたほうがよいサービス)



 今、行っている業務を、1つひとつ「引き算できないか?」という視点で、検討してほしいと思います。また、他の方法に置き換えることによって、劇的に引き算できることもあります。

機器の見直しによる“引き算”


 例えば、デイサービスセンターなどで施設到着直後に行っている検温ですが、(えき)()で測定するものを使っている施設が多いのではないでしょうか?


 しかし、この検温方法では、特に冬場は服のボタンを外したり、(わき)の下にしっかり入っているかを確認するなど、どうしても時間がかかります。最低でも1人3〜4分はかかっていると思います。



 これを私は、“非接触型”の機器に代替するようにアドバイスしています。非接触型なら、おでこに向けてボタンを押すだけで、1〜2秒で検温することができます。


 おでこの表面から放出される赤外線量で測定するため、多少の誤差は避けられませんが、それなりの機器を購入すれば大きなずれはありません。検温の結果、体温が少々高い場合のみ、腋下型のもので再検して、正確に測定すればよいのです。これで、1人3〜4分かかっていた検温が、数秒で測定できるようになります。


 お客様が30人いるとしたら、のべ90分以上(もちろん、同時に何人かを測定していますから、あくまで“のべ”ですが)。かなりの効率化ができます。



 また、同じくバイタルチェック業務で、こんな事例もありました。


 40名定員のあるデイサービスセンターでは、看護師が午前中いっぱいかけて検温を行っていました。私が「なぜそんなに時間がかかっているんですか?」と聞くと、彼女は「だって体温計が2つしかないんですから、同時に2人までしか測定できないんです」と即答したのです。


 思わず絶句してしまいました。体温計なんて高くても2000円くらいです。すぐに施設長に頼んで5本買い足してもらいました。たったこれだけで業務効率が飛躍的に上がったことは、言うまでもありません。



 これは極端な事例ですが、機器を見直したり、買い足すだけで、現場業務が劇的に“引き算”できることもあります


 ぜひ、過去の“常識”にとらわれずに見直してみてください。


02 これだけやればガラリと変わる! 簡単教育ツール


人手不足が採用基準の低下を招く

「うちを志望した理由を教えてください」

「家から自転車で通えるからです」



 採用面接の1コマです。さて、あなたが面接官だったら、この人を採るでしょうか?


 数年前だったら、絶対に内定を出さなかったと思います。面接の前に、ホームページを見て調べるなどして、噓でもいいから「御社の◯◯という理念に共感したからです」くらい、言ってほしいですよね。


 私が面接官だったら、「家から近い」などと言われたら、「もっと近い会社があったら、そっちで働きたいってことですよね?」と、意地悪な質問を投げ返していると思います。



 しかし今は、プロフィールに問題がなく、コミュニケーションが“そこそこ”取れて、勤務時間がマッチしていれば、たいていは“採用”だと思います。



 厚生労働省の「雇用管理改善事業」で委員を務めた際、さまざまな地域の有効求人倍率を調査しました。最も高かったエリアは(局地的ではありますが)“9倍”を超えていました。


 有効求人倍率が9倍とは、1人の求職者を9社で取り合っていることになります。1社は採用できても、8社は採用できないということです。


 このような状態では、人手不足になるのは仕方がありません。


 しかもこの状態は、一時的なことではありません。

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