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人生は出逢いである われ以外、皆わが師
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第4章 トップクラスの会計事務所への挑戦

『人生は出逢いである われ以外、皆わが師』
[著]高井法博 [発行]PHP研究所


読了目安時間:31分
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理念を語れ


 税理士事務所は、長い間法人化が認められなかったが、法律の改正があって法人化が認められた。税理士法人TACT高井法博会計事務所の定款の冒頭、第一条には「法人の位置付け」と題して次のように記されている。
「お客様の経営体質強化と健全経営の実現のために、お客様に対し『ビジネスサポート業』『情報発信基地』『社外重役』としての役割を果たし、お客様の事業の発展に寄与し、当法人の発展と全社員の物心両面の幸せを勝ち取り、もって国家・社会の発展に貢献することをTACTグループの共通の使命とする」

 定款というのは、いわばその企業における憲法のようなものである。経営者の方ならご存じだろうが、通常は定款にこのようなことは書かない。一般的な定款とは、たとえば税理士事務所であれば「税理士業務を行う」という文言が入る。建設会社ならば「建設業を行う」といったものがふつうである。要するに何をする会社であるかが明確であればいいわけだ。

 この定款というのは公式なものだから、通常司法書士などを通して、公証人が認証するという手続きを踏むこととなる。私がこの定款を提示したとき、公証人からは「こんな定款は見たことがありません。通常、第一条はこの会社が行う業務内容を記すものです」と言われた。そんなことは百も承知である。
「こういう文言を定款に入れることは法律違反ですか?」と問えば、とくに法律に違反することはないという。「ならばこれを入れさせてください」ということででき上がった定款なのである。

 私がなぜこの文言にこだわったのか。それは、当社の存在意義というものを定款の最初の第一条に記入することにより、つねに社員や社外のお客様に意識させたかったからだ。この会社はどういう業種なのか。どんな仕事をしているのか。もちろんそれだけで表面的なことはわかるだろうが、なぜ起業したのか、その会社が真にどのような理念、志・目的を抱いているかは見えない。企業としての理念、これを明確にすることこそが、経営者としての役割だと私は考えている。

 定款とは会社の憲法である。会社にとって最も重要なコンセプトである。これを全社員で共有することが、何よりも大事なのだ。なぜなら、すべての仕事の判断材料がそこにあるからだ。

 仕事を進めていく中で、判断に迷うときがある。いくつにも道が分かれるときがある。この道を進むべきか、あるいは別の道を行くべきか。この仕事を受けるべきか否か。日々訪れる選択肢の中で、的確なものを選んでいかなくてはいけない。それが仕事というものだ。

 どちらを選択するか。どの道に進むべきか。その指針となるのが、この定款である。迷ったときには、つねに定款に立ち返ってみる。そしてその精神に外れていると考えるなら、目先の利益に捉われないでその仕事は受けないようにする。当社の理念、目的を実現する仕事だと判断すれば、いかなる苦難があろうともやりきる。そうした覚悟を示すものこそが定款なのだ。

 会社の根本となる理念。この理念を経営者はしっかりと持ち、それを社員に語り続けなければならない。この理念がはっきりしなければ、社員はたちまち判断基準や方向性を見失ってしまう。方向性が見えないから、とりあえず目先の利益ばかりを追いかけることになる。お取引先やお客様のことを考えずに、自社の利益だけしか考えられないようになる。そんな会社が長く続くはずはない。京セラの稲盛名誉会長、パナソニックの松下幸之助氏、あるいはホンダの本田宗一郎氏といった世界的な経営者は、皆この理念をしっかりと持ち、それを実践してきた。経営者にとって理念がいかに大事かということは、歴史が証明してくれている。

 私は創業以来、この理念を社員に語り続けている。毎日のように、しつこいくらい言葉に出している。寝ていても私の言葉が聞こえてくるくらい、言い続けてきた。

 頭で理解するだけではだめだ。腹の中にしっかりと落とし込み、まさに理念と自分自身が一体化したような状態になる。意識しなくても理念、方針に沿った判断ができるまでになる、そこまでたたき込まなければいけない。人間の心は移ろいやすいものだから。そのうえで、どうしても私の理念に共感することができないという社員がいたとすれば、どちらが良いとか悪いとかいうのではなく、当社の経営理念、方針と違うのだから、当社を去っていってもらうしかない。残念なことだが、それがお互いのためにはいいことなのだと思っている。

決めたことをやりきる体質をつくる


 事業経営を続けていると、日々いろいろな問題が起こる。これに対応するために、皆が集まり対応策を検討し、生き残るための方策を決める。そしてこれを実行に移す。どの企業もここまでは、ほぼ同じステップを踏む。

 しかし、多くの企業ではなかなかこれが徹底されない。危機感を共有しない甘い幹部が、現実を変え会社を良くするための方策を自らが参画した会議で決定しても、自らが統括する経営の現場で、変革を嫌がる部下の抵抗にあったり、優柔不断な性格からその実行を一日延ばしにすることで、変革が進まずズルズルと業績を悪化させる。

 当社は、創業以来経営計画書を作成している。当初はすべてを私が作成し、皆を引っ張ったが、今では大方針と戦略を私が作成し、各部門の戦略や具体的実施事項は、各部門の責任者が部下および関連する部署と詰めて作成している。その後、何度も私と打ち合わせ、文案を練った後、経営計画書に記載される。いわばその内容は、私とのコミットメント(約束)である。

 しかしながら、その実践には雲泥の差が出る。そこが部門業績に大きな差となって現れる。
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