親に甘えたくとも甘えられず、恐怖することだけで成長してきた人は、どうしても神経過敏になる。小さい子供が親に甘えるということは、何も気がねしないで、とっぷりと情緒的一体感にひたれる、ということである。
ところが、親が情緒的に不安定な人だと、たとえ表面上子供は甘えていても、いつその一体感がこわれるかわからない。自分のちょっとした言葉づかいで、急に親は不機嫌になるかもしれない。そこで行動としては、一見、甘えているようでも、子供はたえずビクビクと緊張していることになる。
このような緊張のなかで、子供の側にどのような行動があっても、それは心から甘えていることにはならない。