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「瑞穂の国」の資本主義
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政治・社会
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第二章 日本の「立ち位置」を見直す

『「瑞穂の国」の資本主義』
[著]渡邉哲也 [発行]PHP研究所


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世界の多くの国は日本に好意と期待を寄せている


 日本人が自らの立ち位置を見直すうえで、いま日本人に最も不足しているものは、日本に対する認識である。

 あらためて世界地図を見てほしい。世界には一九五の国があり、広く取ればアジアだけで約五〇カ国、アフリカにも五四カ国の国がある。

 ところが日本のテレビを見ていると、中国、韓国、アメリカ、あるいは北朝鮮ぐらいしか話題に上らない。その内容も、まるで日本が悪者のように感じさせることが多いが、じつは他の百九十数カ国は、日本について批判するようなことは何も言ってはいないのだ。

 逆に親日的あるいは日本に好意的な発言をしたものをメディアはほとんど取り上げず、むしろ悪い部分ばかりを強調していることが多いように思える。

 たとえばインドは、自国のインフラ整備に対して日本の高い技術が活用されることに期待を表明している。二〇一四年一月の安倍総理のインド訪問では両国の投資関係を強化することで一致し、天皇陛下が二〇一三年十一月三十日から一週間インドを訪れた際には、両国における友好親善関係の増進が謳われた。

 インド当局は、インフラ整備を日本に要請した。トルコ、タイ、ベトナム、インドネシアも同様で、アジアだけを見てもそういう状況だ。

 かつてマレーシアのマハティール元首相は、西欧に代わって日本に学べという有名な「ルック・イースト」政策を掲げたが、最近この「ルック・イースト」政策をもう一度見直すべきだという論調が、同国内のメディアに出ている。

 二〇一四年三月八日にクアラルンプールを離陸したあと消息を絶ち、インド洋南部に墜落したとされるマレーシア航空三七〇便の事故で国民が大パニックに陥った。ところが、日本は東日本大震災が起きても、冷静沈着に対応している。わが国は日本から何も学んでいなかったのか、というのが記事の大まかな内容だ。

 アフリカについても、昨年六月に横浜で第五回アフリカ開発会議(TICAD )が行われ、アフリカ五一カ国、三一カ国の開発パートナー諸国およびアジア諸国、七二の国際機関および地域機関の代表をはじめ四五〇〇名以上が参加した。

 同会議は一九九三年から日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)、世界銀行と共同で開催しているもので、潘基文国連事務総長、ズマ・アフリカ連合委員会委員長、キム世界銀行総裁、クラーク国連開発計画総裁も参加している、国際的にも重要な会合だ。同会議で安倍首相は基調演説を行い、ODA約一・四兆円を含む最大約三・二兆円の投資を通じ、官民を挙げてアフリカの成長を支援することを表明し、「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」(ABEイニシアティブ)を含む人材育成や開発・人道支援などからなるアフリカ支援パッケージを打ち出した。

 世界の多くの国は、こうした日本の取り組みに対して非常に好意的で、大きな期待を寄せている。

 このように世界には二〇〇近くの国があるという前提で物事を見ていかないと、視野狭窄に陥るだけだ。

東京裁判の正当性や公正性にはさまざまな意見があった


 この問題は、いわゆる歴史認識についても言えることである。一九四六年五月から四八年十一月まで、第二次大戦の戦勝国一一カ国が日本の戦争指導者を裁いた東京裁判(極東国際軍事裁判)が行われた。同裁判では、東条英機元首相をはじめとする二八人の被告が、新たな法理である「平和に対する罪」「殺人」「通例の戦争犯罪および人道に対する罪」などに問われて二五人が有罪となり、七人に絞首刑、一六人に終身禁固の判決が下された。

 ところが、インド代表のパール判事が証言したように、先の戦争における日本の行動を全面的に否定できるものでもないのだ。

 パール判事は、「平和に対する罪」や「人道に対する罪」の適用は事後法であり、法の不遡及の原則に反しているとして、被告人全員の無罪を主張した。

 法理的な議論は措くとしても、パール判事は、同法廷に提出した反対意見書(いわゆる「パール判決書」)で、開戦前にアメリカが行った経済制裁やABCD包囲陣が日本に与えた影響について、こう指摘している。


 検察側は、対日経済封鎖はたんに軍事的補給品の減少のみを目的としたものであると評している。弁護側によれば、「封鎖はあらゆる種類の民需品および通商、さらに食糧にさえ影響を与えた」のである。

 弁護側はいわく、「これは圧倒的に優勢な軍艦をもって通商の出入を禁じたような、時代おくれな包囲陣以上のものであった。これは有力かつはなはだしく優勢な経済立国国家が、その存在ならびに経済諸条件において、世界との通商関係に依存しており、明らかに経済的に独立しえない一島国にたいしてとった行動であった」と。(中略)

 本官はすでに、日本のある特定の行動が侵略的であったか否かを決定するには、われわれは日本にたいする有害なプロパガンダ活動、およびいわゆる経済制裁等をふくむ関係国のそれ以前の行動を考慮に入れなければならないということを示すために、十分に説述したと思う。(東京裁判研究会『共同研究 パル判決書〈上〉』講談社学術文庫)


 ちなみにパール判事は、同判決書の中で南京暴行事件、いわゆる南京大虐殺事件についても、疑問を呈している。


 チャールス・アディス卿はそのさい同事件(南京暴行事件、筆者注)に言及してつぎのように述べた。
「戦争を交えている二国間においては、その戦闘員のいずれかが宣伝に訴えることによって、輿論(よろん)を自己に有利に仕向けようとする危険がかならず存在している。その宣伝においては種々の事件――悲しいかなこれはすべての戦争から分離することはできない――は偏見と感情を激昂させ、戦いの真の係争点を曖昧にしてしまう特別の目的のために拡大され、曲解されるのである」。

 以上のような目的がこの場合においても働いていたことは、全然無視することはできない。本官はすでに曲解とか誇張とかに関するある程度の疑惑を避けることのできないある事例について述べた。もしわれわれが、南京暴行事件に関する証拠を厳密に取り調べるならば、同様の疑惑はこの場合においても、避けられないのである。
(同書) 


 アメリカの上院議会の歴史に残る政治家として名高いロバート・タフトは、連合国がナチス・ドイツの戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判を、事後法による復讐心の発現として批判し、「おなじ過ちが日本においてくりかえされないことを切に祈る」(同書)と発言したと伝えられる。

 同裁判で禁固七年の判決を受けた重光葵(しげみつまもる)被告人の弁護人を務めたアメリカ人弁護士のジョージ・A・ファーネスは、「真に公正な裁判を行うのならば、戦争に関係のない中立国の代表によって行われるべきで、勝者による敗者への裁判は決して公正ではあり得ない」と法廷で述べた。また、終身禁固刑となった梅津美治郎・元陸軍大将を弁護したベンブルース・ブレークニー弁護人は「戦争での殺人は罪にはならない。(中略)たとえ嫌悪すべき行為でも、犯罪としての責任は問われなかったのです。キット提督(真珠湾攻撃により、第二次大戦で最初に戦死したアメリカ海軍の将官、筆者注)の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、われわれはヒロシマに原爆を投下した者の名を挙げることができる」と申し立てている。

 このように東京裁判の正当性および公正性について、戦勝国のあいだでも、法の正義や良心に基づいた、さまざまな意見があったことを日本人は知るべきである。

 にもかかわらず、戦後教育やメディア報道の影響を受けて、「日本が悪い」と日本人自身が一方的に思い込んでいる。

 たしかに戦争は何も生まないし、悪いものではあるが、少なくとも日本が戦前に行ったアジアに対する投資やインフラ開発までを全面否定できるものではない。

 かつての欧米諸国による植民地支配からアジア諸国を解放し、日本主導による新秩序の形成を謳った「大東亜共栄圏」構想そのものが悪いのでもなく、戦争そのものを是としてしまった当時の日本の軍部に問題があると私は思う。

 ABCD包囲網やハル・ノートなどにより、日本が開戦せざるを得ない状況に追い込まれたと見ることもできるが、究極的には戦争に負けたこと自体が悪いのだ。

 それも含めて、日本人がこれから国際社会の中で、どのような生き方をしていくのかを考える必要がある。

台湾と韓国とのあいだで、なぜ違いが生じるか


 正直なところ、日本の二十代、三十代の若者に、一度でいいから台湾に足を運んでもらいたいと私は思う。
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