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「瑞穂の国」の資本主義
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政治・社会
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第三章 輝ける二〇二〇年の日本

『「瑞穂の国」の資本主義』
[著]渡邉哲也 [発行]PHP研究所


読了目安時間:34分
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二〇一四年は輝ける二〇二〇年への折り返し地点


 第一章で、力による支配が弱体化しつつある世界において、「成績優秀」であり、お金を持っている日本が、新たな世界のリーダーになる条件を満たしていると述べた。

 さらに第二章では、メディアが報じない日本の実力と、世界の国々が日本に寄せる期待と好意の大きさについて、データやファクトを交えて論証を行ってきた。

 こうした作業を進めるなかで、大国が繰り広げるパワーゲームが目立つ世界のトレンドにおいて、日本が自他ともに世界のリーダーとして認められつつあるという、中長期的な流れが見えてくるのではないだろうか。

 世界のリーダーといっても日本はジャイアン、すなわち覇権国家もしくは「世界の警察官」にはならない。国民性からしても、アメリカや中国、ロシアがやっているように、他国を力によって押さえつけ、「日本の言うことを聞け」ということは日本人にはできないだろう。だが、そういう国々のあいだに入って「和を以て貴しとなす」を実践し、実利を取っていくことは可能だ。

 たとえば松下幸之助氏には、右腕といわれた大番頭・高橋荒太郎氏がいたが、そういう立場でいい。大企業でもどこでも、成長する組織にはカリスマ的なリーダーがいて、優秀な右腕がリーダーのカリスマを引き立てている。だから日本は世界の右腕であればいい。実際には右腕が実務を仕切るし、会社も仕切るし、国際世界も仕切るわけである。これも一つのワールドリーダーのあり方だ。

 振り返れば、日本はある意味で、冷戦構造の中でアメリカの右腕としての役割を果たしてきたのだが、冷戦構造の崩壊とともに右腕の立場を失い、バブル崩壊とともに自信も失った。その結果、日本はどんどん引きこもりの構造の中に陥り、自らの手足をどんどん縛っていったのだ。思うに、この呪縛を解いていくのが日本の未来像であり、本書のテーマである「瑞穂の国」の資本主義ということになっていくのだろう。これを世界に印象づけるものが、まさしく二〇二〇年の東京オリンピックなのだ。

 九〇年代初頭のバブル崩壊から始まった「失われた二十年」のなかで、日本は国民が共有する目標をいっさい持ってこなかった。ところが二〇二〇年の東京オリンピックの開催決定を機に、日本は国民が一つになって前に進んでいけるような、新たな目標を得たのである。

 日本人は、目標が設定されると、その達成に向けて物事やプロセスを丁寧に進めていくことが、最も得意な民族だ。

 同時にオリンピックは、後述するように、インターナショナルなイベントであり、ワン・ワールド、ワン・ルールに基づいたグローバルなものではない。その意味で、東京オリンピックは、日本人が日本というものをもう一度、見直すきっかけになるだろう。

 今年、二〇一四年はリーマン・ショックの引き金となったサブプライム問題から七年が経ち、二〇二〇年まであと六年を残す年である。つまり二〇一四年が、日本の輝ける二〇二〇年への折り返し地点であると言っても差し支えない。幸いにも、二〇一四年二月に行われた東京都知事選で、オリンピック反対派の候補は当選しなかった。

 現在、第二次安倍内閣が掲げる価値観外交の下で、日本による各途上国へのインフラ整備が急ピッチで進んでいる。いま手がけているインフラが完成するのが五、六年後になると思われるから、二〇二〇年には日本発のインフラもしくは発電、交通システム、水処理などの方式が、世界中に普及することになる。

 同時に、日本の金融機関が新興国を中心に海外にどんどん進出しているから、円の国際化も自動的に進むだろう。実際、日本の銀行が現地法人を数多く設立している。現地に銀行法人をつくることによって、日本の資産を担保に、現地で通貨を借りることができる体制を整えているのだ。これによって、日本企業の進出がスムーズに進むわけである。これはすべて、価値観外交によるインフラ資本の投下に連動している。

 一方、日本の商社が資源、穀物をはじめとする食料の世界的なサプライチェーンを牛耳っている。日本がアジア諸国の代理人として、世界中の資源や穀物などをアジア地域に供給し、またアジア地域から資源や農産物を世界に供給する構造をつくっているわけで、これと円決済が連動し、インフラの資本投下が加わると、アジアにおける経済的な支配権が確立する。いま日本はそのための努力をしているわけで、これの仕組みが完成するのがちょうど二〇二〇年前後になるのだ。

狭義のリフレ政策だけでは限界がある

「失われた二十年」以来、日本経済はずっと停滞し続けてきた。ところが民主党政権によってもたらされた三年三カ月にわたる外交の空白および産業の停滞が、二〇一二年十二月二十六日の第二次安倍政権誕生以来、大きく様変わりしたのは間違いない。

 もちろん変わり始めたとはいっても、経済政策が実際に効果を発揮するまでには時間がかかるのが通例で、前政権下で三党合意により決定された消費税率の八%への引き上げも、ついに実現してしまった。さらなる量的緩和の追加がなければ、実体経済の落ち込みをカバーし、政策目標である物価上昇率二%の達成は難しいだろう。

 しかも、金融政策だけで実体経済がよくなるという立場を取る、いわゆる狭義のリフレ政策だけでは限界がある。金融政策と公共事業を併用する広義のリフレ政策を採るべきだというのが、私の変わらぬ立場である。

 いまのところ株式市場に消費増税の大きな影響は出ていない。市場ではすでに消費増税の影響を織り込み済みなのだろう。四月一日の増税実施を目前に控えた週末に、日用品を買い貯める買い物客でスーパーなどが混雑し、増税実施後に客足が減ったようにも見えるが、街にはそれほど大きな混乱は起きていないようだ。国民の多くが比較的冷静に対処しているということなのだろうが、消費税増税は、景気回復に対して重い足かせとなることは言うまでもない。

 実際、景気動向指数を見ると、景気の動きに先行して動く先行指数が二〇一四年二月、三月と連続して落ち込んでいる。なかでも中小企業売上見通しD.I.と新設住宅着工床面積の落ち込みが大きい。
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