読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

12/21に全サービスをRenta!に統合します

(2021/12/6 追記)

犬耳書店は2021年12月21日に、姉妹店「Renta!(レンタ)」へ、全サービスを統合いたします。
詳しくはこちらでご確認ください。

0
-2
kiji
0
0
1241385
0
神の旅人
2
0
0
0
0
0
0
旅行
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
ガラテヤ人への手紙

『神の旅人』
[著]森本哲郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:10分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 ガラテヤ(びと)にあてたパウロの手紙は、キリスト教誕生の文書といってもいい。パウロの信仰、パウロの思想、そしてパウロの伝道が、この書簡のなかに鮮やかに記されているからである。この手紙によってキリスト教は、はっきりとユダヤ教から独立し、ユダヤの律法主義から解放されたのである。それは、端的にいうなら、人びとを救うのは信仰であって、律法を守ることではない、という確信であった。

 律法──それは戒律といってもいいが、そもそも戒律というものは、いかなる宗教にあっても、その宗教が生まれ育った風土、民族的な伝統、社会的な背景と不可分に結びついている。だから、当の民族にあっては、ごく自然に受け入れられるものであっても、異邦人にとっては遵守(じゆんしゆ)することがきわめて困難な桎梏(しつこく)となる。そこに万人の救済をめざす宗教の最大の難問(アポリア)があるのだ。

 それは哲学的にいえば、「特殊」と「普遍」との対立であろう。すべての存在は個としての特殊性を持っている。その特殊性のゆえに個は個として存在し得るのである。民族についても同じことがいえよう。ある民族が民族として生きるのは、その民族固有の性格によってである。もし、そのような特質を放棄するならば、その民族はアイデンティティを喪失し、民族としての条件を奪われることになる。

 だが、反対に、個が最後まで個としておのれの特質だけに固執するならば、この世界はたんなる個の集合体にとどまり、そこには何の共通性も見いだされないということになろう。それはもはや「世界」ではない。個人がたがいに越えがたい壁で隔てられ、すべての人間がまったく孤立しているような状況を「社会」と呼ぶことができないように。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:3997文字/本文:4716文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次