読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

12/21に全サービスをRenta!に統合します

(2021/12/6 追記)

犬耳書店は2021年12月21日に、姉妹店「Renta!(レンタ)」へ、全サービスを統合いたします。
詳しくはこちらでご確認ください。

0
-2
kiji
0
0
1241397
0
神の旅人
2
0
0
0
0
0
0
旅行
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
囚われの二年

『神の旅人』
[著]森本哲郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:10分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ


 カイザリヤのローマ総督ペリクスのもとで軟禁されていた二年のあいだ、パウロがどのような日々を過ごしていたのか、「使徒行伝」の作者ルカは、ほとんど記録していない。ただ、総督ペリクスが「たびたびパウロを呼び出しては語り合った」とあるだけである。いったい、総督は何についてパウロと話し合ったのだろう。

 総督の妻ドルシラはユダヤ人だったという。おそらく、ユダヤ人である彼の妻は、ユダヤ人のあいだで激しい憎しみをかっているパウロの信仰について、深い関心を寄せたにちがいない。そこで彼女は夫にすすめてパウロの話をききたいと思ったのではあるまいか。むろん、ペリクスも彼なりにキリスト・イエスに対するパウロの信仰に興味を抱いたのであろう。
「使徒行伝」は、こう(しる)している。

──そこで、パウロが、正義、節制、未来の審判などについて論じていると、ペリクスは不安を感じてきて、言った、「きょうはこれで帰るがよい。また、よい機会を得たら、呼び出すことにする」。彼は、それと同時に、パウロから金をもらいたい下ごころがあったので、たびたびパウロを呼び出しては語り合った。


 はたして総督ペリクスにそのような「下ごころ」があったのかどうか知る由もないが、そのころのユダヤは最悪の事態にあった。反ローマ運動は高まる一方であり、カイザリヤでも連日のように紛争がつづいていた。ペリクスはその騒乱を鎮めるのにあらゆる策を用いていたというから、おそらく彼は何よりも情報を必要としていたのではなかろうか。とすれば、彼がパウロから得ようとしていたのは、金よりもむしろ情報だったのではないかと思われる。ペリクスはパウロを呼び出して、いったい、この男のいかなる信仰がユダヤ人のあいだで騒ぎを引き起こしているのか、それが高まる一方の反ローマ・ゲリラと、どんな関係にあるのか、それをさぐりだそうと躍起になっていたにちがいない。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:3756文字/本文:4545文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次