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戦争と人間
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歴史
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民族 地球・二〇〇三の巻

『戦争と人間』
[著]森本哲郎 [発行]PHP研究所


読了目安時間:14分
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 骨肉相食(こつにくあいは)む──などという言葉もあるが、ふつう、人間は仲間同士では、めったに争わない。「兄弟(けいてい)(かき)にせめげども」それはあくまで内輪の争いであって、ひとたび外から攻められれば、必ず団結してこれに当たる。争いは、いつも外との戦いといってよい。

 この図式はそのまま“大きな仲間”に通じる。大きな仲間とは、すなわち民族である。古来、戦争のほとんどは民族の対決であった。そして、強い民族が弱い民族を征服する、それが世界史の筋書きだった。この筋書きはいまも続いており、現在の世界地図はその得点表のようなものだ。

 とするなら、戦争の火種は依然として民族間の緊張にある、とみなければなるまい。げんに、いま、地球のいたるところで起きている内紛、内乱、局地戦争は、その原因をさぐってゆくと、きまって民族の抗争につきあたるのである。

 では、民族の問題を、どう解いたらいいのか。その争いを調停するどのような秘策があるのか。これこそが二十一世紀の人びとに課せられている最大の難題ではないか、と私は思う。


 日本に住む外国人にとって、いちばん不快な日本語は「ガイジン」という言葉だそうである。私も何人かの外国人から直接、そうきいた。日本にすっかり馴染み、言葉も生活もまったく日本人同様というのに、なぜ「ガイジン」といわれるのか。ガイジンとは外の人ということである。日本に十年、二十年と住んでいても、けっして「ナイジン」(内人)になることはできない、と彼らはいうのだ。私たちは、それこそ何気なく(ヽヽヽヽ)「外人」というが、この表現は外国人には一種の差別語のように響くのである。

 しかし、おなじことはフランス語のエトランジェについてもいえまいか。英語ではストレンジャーだが、外国人を意味するこの表現は、いうまでもなくエトランジュ、ストレンジからきている。「奇妙な」という意味である。つまり、どんな民族にとっても、他国の風習(むろん、そのなかには服装その他の外見もふくまれる)は「奇妙」に思えるのであり、それがそのまま、ガイジンやエトランジェ、ストレンジャーという表現を生みだしているのだ。私には「ガイジン」のほうが、「エトランジェ」「ストレンジャー(奇妙な人間)」よりも、まだおだやかな響きのように思われる。

 こうした区別、差別は人間の歴史とともに古いが、その極端な例が古代ギリシアの通念であった「バルバロイ」であろう。彼らはヘレネス(ギリシア人)以外の民族を、十把一からげのようにして「バルバロイ」と呼んだ。
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