『あの偉人たちを育てた子供時代の習慣』
[著]木原武一
[発行]PHP研究所
あなたの心にどのような親の言葉が残っているだろうか。何も残っていないとしたら、とても残念なことである。親としても、とても残念なことであろう。「残念」というのは、まさにこういうことを言う。
親は、子供にとって価値の基準である。親の価値観が子に伝わる。価値観は、習慣といっても同じである。日日、何が正しいか、何が悪いかという学習を通して子供は成長する。まず第一に親が子に教えなければならないのは、何が正しく、何が悪いかという判断である。このことをモンテーニュは見事な説得力で次のように言っている。
子供たちに、悪徳を悪徳なるがゆえに憎むことを教えなければならぬ。また、それの本来の醜さを教えなければならぬ。そして彼らが悪徳を行為の上だけでなく、とくに心のうちでも避けるように、たとえ悪徳がどんな仮面をかぶっていようと、それらを頭に考えるだけでもいまわしいと思うように、仕向けねばならぬ。