『あの偉人たちを育てた子供時代の習慣』
[著]木原武一
[発行]PHP研究所
「ケネディ家の食卓」については、第2章で触れた。ケネディ家では、家族全員が集まる食卓は、みんなで議論し、知識をたくわえる教育の場でもあった。躾にきびしい母親のローズ・ケネディは、もちろん、道徳教育も厳格だった。
躾や道徳教育の基本は衣食住だと言ったが、彼女がとくに重視していたことのひとつは、子供たちに食事の時間を守らせることだった。家族一同がいっしょに食卓を囲むということが稀になった「孤食」時代の現代日本では、縁遠い話になってしまったが、昔の子だくさんの家庭では、子供たちに食事の時間を守らせることが、親にとって、とくに母親にとってはひと苦労だった。食事時になっても外で遊んでいて帰ってこない子供がいると、兄弟が呼びに行ったりしたものだった。それが都会の町の夕方のひとつの風物だった。おそらくこんなことを懐かしむ人は少なくなったことであろう。