『子どもの「いいところ」を伸ばすほめ言葉ブック』
[著]中井俊已
[発行]PHP研究所
この本を手にとっていただきありがとうございます。
いま本書を読まれている方は、わが子の幸せと健やかな成長を願う、きっとすばらしいお母さんかお父さんだと思います。
私も同じ願いをもってこの本を書きました。
私は大学の教育学部を卒業後、小中9年間一貫教育をしている私立学校で23年間教師をしてきました。その間、小学1年生から中学3年生までの子どもたちやその親たちと接し、たくさんの大切なことを子どもたちやその親たちから教えていただきました。
そのうち最も大切なことの一つは、本書のテーマである「子どもはほめた方が伸びる」ということです。
子どもは一人一人が違った個性をもちます。オールマイティーの子どもなどどこにもいませんし、逆にまったくダメな子も一人もいません。
ところが、伸び悩んでいる子の多くは、自分をダメだと思い込んでいることが多いのです。勉強しても成績は伸びない、スポーツがうまくできない、友だちと仲よくできない、がんばってもいい結果が出ない、などの悩みや劣等感をもっています。
本当はダメな子などいないのですが、子どもなりに自分とまわりの子を比べて自分はダメだと考えてしまいます。また、親や教師、あるいはクラスメートからマイナス評価を受けると、それを自分のすべてであるかのように思い込んでしまいます。
そんなふうに自信もやる気も失いがちな子にとって、自分をほめて認め励ましてくれる人が絶対に必要です。
たとえ人と劣るところがあっても、自分の長所が認められ、ほめられた子は、自信をもち、やる気を出し、前向きに変わっていきます。
なかでも、最も身近な存在である親の言葉は子どもに大きな影響を与えます。
親のほめ言葉は、子どもをグングン伸ばし、幸せに導いていきます。
この本では、特に若いお母さんやお父さんを想定して、ほめ言葉の原則だけでなく、いろいろな場面でわが子に与える具体的な言葉を集め、短く説明を加えることにしました。
これはいいなと思う言葉を、子どもとの生活のなかで、実際に会話に取り入れて使ってみてください。
子どもの表情が明るくなり、子どもが目を輝かし、子どもがやる気をもって自ら動き出すことを実感していただければと思います。
そうすることで、大切なお子さんが健やかに成長し、親子、家族みなが幸せになっていただければと願っています。