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(2021/11/26 追記)

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1本1000円のビールが飛ぶように売れる! 驚異のプレゼン
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第2章 「iPad」をプレゼンに活かす法

『1本1000円のビールが飛ぶように売れる! 驚異のプレゼン』
[著]森平茂生 [発行]PHP研究所


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サクセスストーリーで人を惹きつける


 グラス型の強化プラスチック容器に入った、イギリス発の飲み切り型ワイン、『チューリップ』。

 おそらく、一合瓶入り日本酒『ワンカップ大関』を想像していただけるとわかりやすい。プラスチック製のワイングラスに、普通のグラス約二杯分のワインを入れて、封をしてある。


 安っぽくてまずいワインを想像するかもしれないが、これがなかなか(あなど)れない味なのである。そうとうなワイン通でも納得すると思う。

 持ち運びも簡単だし、コルク栓を抜く必要もない。容器は燃えるゴミで捨てられる。

 “少しだけ飲みたいな”という人や、“赤・白、両方飲みたいな”という人の要望に応える手軽さ。それに、シーンを選ばない携帯性がウケて、イギリスでは大人気商品となっている。

 私がこの商品を知ったのは二〇一一年春、とあるウェブニュースの記事だった。

 イギリスに『ドラゴンズ・デン』という人気のリアリティー番組がある。日本に以前あった『マネーの虎』(二〇〇一〜〇四年放送/日本テレビ系列)のイギリスバージョンである。投資家を前にプレゼンをして、いいアイデアのビジネスならば投資してくれるという内容だ。

 このグラスワイン『チューリップ』は、その番組で提案された。

 しかし、散々な評価を投資家たちから下され、ノーマネーでフィニッシュしたのだ。

 この話はそこで終わらない。放映翌日、なんと別の出資者が現われたのだ。さらに国内で六百店舗を展開するイギリスの高級スーパー、マークス・アンド・スペンサーまでもが、「ぜひ、君と取引したい」といってきたのだ。

 こうして『チューリップ』は、(またた)()に大人気商品となった。

 その痛快な記事を読んだ私は、社員を連れてアポなし、飛び込みでイギリスに渡った。

 そして、『チューリップ』の開発者、ジェームズ・ナッシュと出会った。

 彼は以前、警備会社を運営していた。コンサートの警備をしている最中、散乱したワイングラスの欠片(かけら)をみて、「割れないグラスに入った、持ち運べるワイン」を思いついたという。

 はるばる日本から、しかも看板も出してない会社を探し当てたのだ。ジェームズとはすぐに打ち解けて、日本で商品展開する許可を得た。ここまでは順調だ。

 次に、この商品を日本でどう展開させていくか。日本にもってきたあと、百貨店や酒屋のバイヤーさんにどう売り込んでいくかを考えなければならなかった。

 私は、このワインは普通の売り込み方をしても難しいのではないか、と考えていた。

 日本でもワインが普及したとはいえ、まだ歴史は浅い。

 ワインはボトルで売るもので、普通は家やレストランで飲むものだという固定観念がある。ワインを持ち歩くという発想自体、ないのだ。

 グラスワインは、瓶では飲みきれない人には喜ばれるかもしれない。しかし、あまりお酒を飲めない人は、そもそもワイン売り場にこないだろう。
「持ち運びができるワイン」というだけでは、訴求効果が弱いのだ。
『ドラゴンズ・デン』という番組で投資家が難色を示したのも、そこに原因がある。
「一杯じゃ、もの足りないんじゃないの?」
「こんなカップ入りのグラス、いったい誰が飲むの?」
「プラスチックカップじゃ、おいしくないでしょ?」
「この商品は利益が取れないでしょ?」

 この商品はいままでにない商品である。いままでにない商品だからこそ、誰に求められているのか、どうやって売ればいいのか、見当がつかないのだ。

 バイヤーさんからも同じようなツッコミは入るだろう。流通に乗るまでを慎重に攻めないと、簡単につまずいてしまう。

 私の場合、こうしたバイヤーさんに対する商品のプレゼンがメインである。

 この本を読んでいる方たちも、取引先や顧客に対してプレゼンをする機会がある人は多いだろう。

 一般的なプレゼンでは、商品やサービスの特徴、スペック、メリット・デメリットなどを相手に説明する。販売実績や予測も、データとして見せるだろう。

 しかし、それは誰でもやっているプレゼンだ。

 相手のバイヤーさんや取引先は、毎日、多くの売り込みを受けている。

 その状況で、誰もがやっているような見慣れたプレゼンをして、相手の記憶に残るだろうか?

 そこで私は、普通の形式のプレゼンを捨てた。この商品にまつわるストーリーを伝える方法をとることにしたのだ。

 この『チューリップ』には、伝える価値があるストーリーが十分にあったからだ。

 ワインの専門家でもない警備会社のオジサンが、ワイン業界に足を踏み入れたきっかけ。それも専門家やワイン好きからみたら、常識ではありえないワインをつくったのだ。

 開発は簡単ではなく、何度も失敗している。それでも彼はあきらめなかった。

 一度は投資家にそっぽを向かれた。しかし、そこから逆転し、敗者復活している。
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