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ほのぼの家族のふれあい心理学 すてきな主婦の幸せさがしと家庭づくり
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生き方・教養
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第2章 結婚は契約である

『ほのぼの家族のふれあい心理学 すてきな主婦の幸せさがしと家庭づくり』
[著]國分久子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:37分
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 第一のトピックとして、子育ての心がまえをとりあげましたが、第二のトピックとして結婚をとりあげたいと思います。子どもが順調に育ち、夫婦も円満に生活できれば、晩年の人生もハッピーといえるでしょう。そこでどうすれば、夫婦円満の状態が保持できるでしょうか。その着眼点を三つ述べようと思います。


 これら三つの着眼点には、それぞれ理論的背景があります。


 第一の役割意識という着眼点は、私が大学を出たての二十代の頃、イギリスの教育家ニイルの研究で有名な霜田静志先生の研究所で教わった役割理論に由来しています。


 第二の遊び心という着眼点は、交流分析(精神分析の口語版といわれているカウンセリング理論)の各論のひとつ「時間の構造化」に示唆されたものです。


 第三のワン・ペアの原則ということばは、私のとりあえずの造語です。学術用語として定着しているわけではありません。これは家族カウンセリングの概念「境界 boundary」にヒントを得て使いました。


 たいていの人が当然のように結婚していくので、独身の人は結婚はそんなにむずかしいものではないと思いがちです。しかし、少なくとも三つの観点くらいは心得ておかないと、やりくりがむずかしい人間関係なのです。


 役割をはっきりさせる



 夫婦円満の秘訣は「恋愛と結婚はちがう」ということを知っておくことです。恋愛は好き・嫌いの感情が二人を結びつけていますが、結婚はちがいます。お互いの役割(権限と責任)を認め合うことによって、二人が結びつけられているのです。


 企業では部長と課長は好き・嫌いの感情で連合しているのではなく、お互いの権限と責任(義務)の関係が、二人を結びつけています。原理はそれと同じです。「結婚は企業と同じである。給料の出ない会社を二人で設立し、経営しているのだ」と思っておけばよいのです。


 部長と課長はいくら仲良しでも、お互いにけじめは保っています。出しゃばらないように、いばらないようにと注意しているのは、お互いに、自他の役割(権限と責任の束)を意識しているからです。


夫婦の役割


結婚はお互いの役割を果たすこと


 結婚が崩壊するのは、

お互いの役割がはっきりしないこと

役割ははっきりしているが、夫婦のいずれか一人、もしくは二人ともが、役割を遂行しないこと


 から起こります。かりに、好きな感情が消えてしまっても(愛情が冷めてしまっても)、お互いに役割(権限と責任の束)を遂行し続ける限り、その結婚は続くでしょう。


 愛情のない結婚なら、崩壊してもよいではないかと思われるかもしれません。しかし、そこが恋愛とちがうところです。愛情のない恋愛なら、崩壊してもよいのです。義理や義務で、恋愛することはありません。


 ところが結婚は恋愛とちがいます。嫌いになったからといって簡単には解消しにくい人間関係です。社長を嫌いになったからといって簡単に転職しないのと同じです。結婚は恋愛よりしがらみが多いと思います。


 お互いに好きで夫婦関係を維持していたら、それにこしたことはありません。しかし義理で持続しているからといって、その結婚は欺瞞的である、夫婦不和であると言い切るわけにはいきません。


 心情としてはそれほど恋しい仲でなくても、行動の仕方が崩れない限り、二人は夫婦円満といえるのです。部長と課長は、酒を酌み交わすほど親しくなくても、仕事のうえではスムーズに話が流れるのと同じことです。


感情よりも行動の仕方が大事


 これと逆に二人は好き合っているのに、けんかのたえない夫婦がいます。たとえば、夫の金遣いが荒いとか、つきあいで夫の帰宅が、深夜に及ぶことが多いなどの理由からです。私は夫婦円満とは心情の世界がどうかというよりも、行動の仕方が上手かどうかにかかっていると思います。専門用語でいえば、コーピング・スキル(対処行動coping-skill)を身につけている夫婦が、夫婦円満のように思います。


 対処の仕方がうまいという意味は、配偶者の権利と義務をおかさない範囲内で、自分のしたいことをしているということです。


 たとえば、夫も妻もクラス会に出る権利はあります。このような妻の権利を認めるということは、夫としては、家でベビーシッターをする義務(役割)が生じるということです。「ベビーシッターは好きではないけど、お互いさまだ、仕方がない」と子守役を引き受けるのが、私のいう対処行動です。これは契約の精神に由来しています。


 私にいわせれば、夫婦不和の人というのは、嫌いなことはしない、あるいはするけれどブツブツ文句を言いながらする人です。夫婦円満の人は、嫌いなことを無理に好きになろうとせず、嫌いだけれども、夫婦円満のためにはしたほうが得であると、割り切ってする人です。嫌いなことをしないために生じるストレスのほうが、ずっと耐えがたいことを知っている人が、夫婦円満の人です。


相手の役割を思いやる


相手の「世界」を踏みにじらない


 自他の役割、つまり自他の権利と責任を意識することが、契約の精神ですが、配偶者の権利として、まず認識したほうがよいことは何でしょうか。私はいくら相思相愛の仲だとしても、それぞれが、自分だけの世界をもつ権利はあると思うのです。この権利を押しつぶすとき、夫婦の不和が起こるのです。


 自分だけの世界をもつ権利とは、自分の考えたいように考え(たとえば、人生観)、自分の感じたいように感じ(たとえば、喜恕哀楽)、自分のしたいことをする(たとえば、英会話の学校に通う)権利のことです。これを無視して「明日、友人を連れてくるから、メシの用意をしておいてくれ」とか「俺のおふくろと一緒に住むことにしたから……」と一方的にものを言う夫がいます。妻としては不快きわまることです。この不快感は愛があるとか、ないとかの問題ではなく、人間としての権利が、守られているかどうかの問題です。愛があってもそれとは知らず、権利を押しつぶすことがあります。愛がなくても、人の権利を尊重することは可能です。


 好き嫌いの感情(たとえば、恋愛感情)には起伏があり、消滅することもありますが、相手の権利を尊重するというのは、思想(思考)の問題ですから、感情より持続性はたしかです。感情ほどに起伏もありません。


 ですから、配偶者の人間としての権利を考慮できるカップルは、円満な人間関係をもっているといえます。


 早い話がうどんを注文する場合に、「天ぷらうどん」と「カレーうどん」のどちらにしようかと話し合う夫婦と、どちらか一方が、自分の食べたいものを勝手に注文する夫婦がいます。自分は「天ぷらうどん」が食べたいけれど、相手はどうかを確認するのは、夫婦なのに水くさいと思う人もいるかもしれませんが、水くさいほうが、夫婦円満の率は高いと思います。

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