読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/9/29 UP)

犬耳書店は、姉妹店のRenta!(レンタ)へ統合いたします。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-2
kiji
0
0
1244676
0
ほのぼの家族のふれあい心理学 すてきな主婦の幸せさがしと家庭づくり
2
0
0
0
0
0
0
生き方・教養
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第3章 家族のコミュニケーション

『ほのぼの家族のふれあい心理学 すてきな主婦の幸せさがしと家庭づくり』
[著]國分久子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:41分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ



 出席率のわるい学生を、機械的に落第させるのはあと味がよくないので、せめて事情を確認してからにしようと思い、学生の自宅に電話することがあります。「あのう、私、心理学の國分と申しますが……」と話し出したとき、電話口に出た親の反応がふた通りあります。「いつもワカメがお世話になっています」とあいさつするタイプの親と、あいさつはせずに、いきなり「おーい、ワカメ、電話だぞー」と子どもを呼ぶタイプの親です。


 前者は家庭内のコミュニケーションがよく、家族全員がまとまって外界に対応しています。後者は家庭内のコミュニケーションが不足しているので、娘が人からどんなケア(世話)を受けているかを親は知らないわけです。それゆえ、外界への姿勢が能動的でないし、好意的ともいえないことが多いようです。つまり、家族内でのコミュニケーションのよさが家族内での人間関係をスムーズにすることはもちろんですが、家族外の人との人間関係もスムーズにするのです。この人間関係の輪のことをヒューマン・ネットワークといいます。


 さてそこで本章では、まず「なぜヒューマン・ネットワークが大切なのか」を述べたあと、家庭の人間関係を育てる原理に焦点を絞って話をすすめます。そして、第三節ではたいていの家庭生活で生じがちな問題を三つとりあげ、その対応を考えたいと思います。


 ヒューマン・ネットワークの大切さ



 私の経験では、このヒューマン・ネットワークが外界に向かって開かれている家庭は、問題の子どもの立ち直りも早いようですし、夫婦の連携もうまくいくように思います。アメリカでは、児童虐待家庭は電話番号を人に教えない傾向があるといわれています。世間づきあいの「ある」「なし」は、夫婦(家庭)生活の質を示唆しているように思われます。ヒューマン・ネットワークは、なぜそれほどまでに大切なのでしょうか。


ヒューマン・ネットワークは外界とのパイプである


情報が集まりやすい


 ヒューマン・ネットワークが大事な理由は三つあります。


 ひとつは、情報収集あるいは伝達のパイプになるからです。たとえば、私がAさんに仕事をまわそうとして電話をします。しかし、留守番電話がないらしく、ベルが空しく鳴り続けるだけです。急いでいる私はBさんに電話をします。「ただ今外出中です。午後十時以降に電話してください」と留守番電話は言います。急いでいる私は十時まで待つよりは、別の人に当たってみようと思います。そこで、Bさんも候補者からはずし、Cさんに電話します。「ただ今外出中です。こちらから、お電話いたしますので、あなたの電話番号をどうぞ」と留守番電話が言います。この三番目の応答が最も社交的です。若い研究者にとって、執筆依頼や講師依頼はうれしいようです。しかし、この幸運は社交性の高い人にまわることになります。


 一般的にいって、社交性のある人間を「要領がよい人」とさげすむ傾向があります。これは大間違いです。社交性とは、

自分の考え方や、感じ方を周りの人々に伝えること

人が伝えてくれた考え方や、感じ方に反応を示すこと


 このふたつを行なう能力のことです。その結果、ヒューマン・ネットワークができ、定着すれば人脈になります。


 ネットワークが広がると情報もたくさん入ってきますし、こちらの情報も流れやすくなります。一人で歯をくいしばって……という労力が省けます。その分だけ仕事の質の向上に向けられます。たとえば、私と夫がワークショップをすることを数人の学生に告げると、すぐ定員をオーバーするくらいに申し込みがきます。ワークショップの改善点についても、多角的な意見が伝えられてきます。


人間的成長の要因になる


 社交性が大事な第二の理由は、社交が夫婦を規制することです。人にわからないようにこっそりと結婚したのであれば、こっそりと離婚しても人に気づかれません。ですから、些細な原因で結婚解消ということがあり得ます。ところが社交性の高い結婚なら、観客の前で結婚しているので、そう簡単に別れられません。観客の手前、何とか家庭での人間関係を工夫したり、補修せざるを得ないからです。人に見られているという意識は人間の成長や、活力の源泉になります。


問題解決のヒントを得やすい


 家庭生活が外界に開かれているほうがよい第三の理由は、問題解決のヒントが得られるからです。現代はテレビから得られるヒントもありますが──たとえば、ブタ肉のほうがトリ肉(ブロイラー)よりコレステロールが少なくて体にいいらしいとか、家族と同居している高齢者より、一人で住んでいる高齢者のほうが長生きしているらしいということなど──しかし、社交を通して学ぶことも少なくありません。


 育児とか、家族の看護・介護とか、勉強の仕方とか、職場の人間関係のやりくりなど耳学問の効果は大です。それゆえ、私たちは学生の合宿時には「睡眠は一日四時間とること」とガイダンスしています。その心は、体力の許す限り仲間と語り合うことを勧めたいからです。夜中のインフォーマルな談話が、青年たちの人生観への刺激になると思うからです。


 日本では週末にカップル同士が集まって、ビールと簡単なスナックで、雑談をするという風習がありませんので、せめて夫婦は帰宅してきてから、それぞれが外で得てきた話を語り合うようにしたほうがよいと思います。


 たとえば、私の夫は血圧が高いので、やせたい一心でジョギングをしようと考えていたのですが、「高血圧の人はジョギングはよくないらしいから、早足にすれば?」という私のことばで、早足に切り替えました。また、ある不動産会社から別荘を勧められたのを機縁に、休暇の過ごし方を話し合ったすえ、レジャーと執筆をかねて郊外に出かけるというパターンができたのは、十年ほど前からです。それまではよくいえば、「ひたすらに」、わるくいえば「強迫的に」生きてきたように思います。


 以上私は社交性の功徳を三つあげました。しかし、夫婦そろって社交性の乏しい場合があります。なぜでしょうか。それが次のトピックです。


人間関係が苦手なわけ


夫婦で共有できるつきあいをもつ


 冠婚葬祭のつきあいもせず、勝手口から出入りする人生を選ぶ人とはどんな人でしょうか。ひとことでいうと、世間づきあいが重荷になる人とはどんな人でしょうか。


 社交のために、かえってストレスが増える場合です。それは配偶者が好まない人たちとのつきあいです。たとえば、妻が大学のクラス会に出たいのに、夫が反対します。クラスメートの大半が男性だから、夫はおもしろくないのです。そこで、妻は「デパートにショッピングに出かけます」とウソをついてクラス会に出ることになります。妻はウソをついているので、心が晴れません。夫をだました罪意識があるからです。こんなに気が重くなるくらいなら、次回からは諦めようというわけで、クラスメートとのつきあいを断念することになります。


 私の考えではこういう場合は、三回に一回は夫婦そろって出かけることです。夫の拒否感が少しは軽減するからです。宗教関係、勤務先関係、出身学校関係、親戚関係など、すべてのヒューマン・ネットワークを配偶者が好きになってくれたらよいのですが、どれもこれも気に入らないということも、大いにあり得ます。「あなたと二人だけの世界で十分です」ということがあります。このようなカップルが社交性の乏しいカップルです。


 このような場合は、「夫婦で共有できるネットワークづくり」を考えることです。

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:17130文字/本文:20189文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次